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ある歌人神官がみた明治

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物置から出てきた史料から、先祖は代々古い神社に仕えていたと判明。明治27年~明治33年に高祖父が詠んだ歌を紹介しつつ、ファミリーヒストリーを追っています。
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#恋愛

Missing…言葉にできるなら少しはマシ/ある歌人神官がみた明治(12)

会いたくて会いたくて震えていた葦の舎あるじである。つのる想いとは裏腹に、彼に訪れた運命とは。 前回はこちら まるで織姫・牽牛みたいに逢えない二人だねって ボクは  前回から引き続き、逢いたいのに逢えない恋に、葦の舎あるじの心は乱れていた。  七夕に詠む歌も、あきらかに逢えない自分を仮託している。  明治29年の七夕。葦の舎あるじは帰郷中だったと思われる。おそらく東京にいる我が織姫を思い浮かべ、再会を待ちわびていたことだろう。  だが、9月になって彼が須磨で途中下車して