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【人狼ゲーム】何度でも失敗できる

※長文注意

この文章は、人狼ゲームから学んだ対話についての考察です。

暇な人以外は読まないでください。



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人狼ゲームが好きで、 上手とは言えないものの自分なりに楽しむ遊び方をしている。

 上級者の試合を観戦する事が好きだ。

 しかし、ほとんどが「議論の素人」よって行われる対話ゲームであるため、 ”内容”よりも、”言葉の使い方”で勝敗が決まる瞬間を、何度も目撃した。

端的な言い回しというのは、無駄なくシンプルで正直である。 

しかし、それを”無機質で冷たい”と評価する人もいる。 

評価のものさしが、そもそも他人同士で異なっているため、 ”対話に正解はないが失敗はある”という事が、このゲームをすると良くわかる。

 普段意識する機会のない気づきが、突然降ってくる。 

かように油断ならないゲームである。

「対話の目的と失敗」

他者に向かって言葉を発するとき、その目的は”意思を伝えたい”だろう。 

誰かを説得したり、相手を尊重したり、意見をまとめたりするために人間は言葉を駆使する。

では、「対話の失敗」とはどのような状態を指すのだろうか。

・意味が伝わらない
・相手に不快感を与える 
・第三者にも不快感を与える 
・結果的に他者からの自分への評価が下がる


私が考える最悪な結末は、上記4つの工程を踏む。

この状態になると、相手と私は対話することを諦めるという点で合意するだろう。

これはゲームの中の話だけではない。


逆に、この状態以外であれば、改善の余地があり”最悪よりはマシ”と言ってよい。

言葉尻に相手が怒ってしまっても、どこかで軌道修正する。

第三者がジャッジして正当だと評価してくれる。

最終的に真意が相手に伝わっている。

その様な対話が出来れば、それは”最悪よりはマシ”なのである。 

話がこじれた時は、いつも振り返って、この状態のどの部分に陥っているのかを冷静に見極めた い。

「なぜ、対話が不完全燃焼で終わるのか」 

身近な人と会話をしているはずなのに、なぜか話が弾まない。

この会話はどこに決着するのかわからない、そんな不安な気持ちを抱えながら言葉を並べたことは無いだろうか。
話す方も聞く方も、どちらかが会話がつまらないと思ったとき、その理由は主に2つある。 

①話している内容または人物に、興味が持てない。
②話し方が不快である

②については、読書でもして教養を身につけて頂きたい。今回は割愛する。

ここでは①について考える。


「相手がつまらないことは、理由にならない」

「この会話がつまらないのは、話している人物がつまらないからだ」と他人のせいにしたくなる時はないだろうか。

傍から見ていると、露骨にその考えが態度にでる場面に出くわす。

しかし、前述したように、ほとんどの人間はそもそも取るに足らないつまらない人間である。

そのことをわきまえて会話に臨みたい。

例えば、つまらなくない人物はどのような者か。

世界一周フェリーの船長を務めた経験者や、 普段は写真を売っておりカンボジアで地雷撤去する活動資金を貯めている人などが該当しそうだ。

世間話のスケールが各段に大きく、引き出しが多そうな人物である。 

しかし、そのような人物は概ね近い志の人の前にしか現れない。

 鏡をみて、そのような人物が、はたして映っているだろうか?

一般人であり、取るに足らない私のような人間が会話するチャンスを得る人というのは、 

高確率で私と同等以下の魂のレベルにあり、似たような範囲で生きてきた人物と言える。

 その程度の”どこにでもいる”人物と会話をするにあたっても、1秒も無駄にせず、なにかを吸収して学びたい。
そして、出来れば相手にも同じようにギフトを持ち帰ってほしい。 

それが、日常の会話ではなく、時間を工面して行う対話ゲームの目的になりうるのではないかと仮説を立てて臨んでいる。

自分が話している事は、相手が聞きたいことか?
相手が話していることは、自分が聞きたいことか?

話しながら、常にこれを意識しているだろうか?

「どうすれば有意義な対話になるのか」
 

その場に居合わせたメンバーが、不運にもみな同レベルにつまらない者であった場合、 せめて対話を成功させるために何ができるだろうか考えたい。
ゲームにも日常にも有効な切り口として、以下を提案する。

おすすめ

①相手に質問する
②回答から、拡がりそうなものを他の人に再度振ってみる
③相手に、質問は無いか聞いてみる

失敗

 ④自分が考えていることをとりとめもなく話す
⑤居合わせたメンバーで順番に感想を言う


①〜③と④⑤を並べるとよくわかるが、後者はまさに出口のない迷走が始まる例である。

よほど感性が近い者以外には使用しない方が得策である。


人狼ゲームの話に戻そう。

ゲームの議論時間はとても短い。

そして、多くの人は序盤では自分の考えを持っていない。

他人に伝える情報がはっきりしないまま言語化しようとしても、④⑤に終始するのがオチだ。


そこで、意識的に①~③を使ってみてはいかがだろう。 

まずはクローズドな質問を向ける。

「あなたは緊張していますか?」 

「怪しいと思っている人はいますか?」 

「あなたが狼なら噛みたい人はいますか?」

 YesかNoで答えられる質問を投げてみよう。

 その回答に対して、「なぜ?」と再び問いかけてみよう。


④⑤を行った場合よりも各段に議論が進むだろう。

もし他者が①〜③の行動を先に取ったなら、その人は前向きな議論姿勢を見せているので協力しよう。

きっとあとで効いてくる。


「ゲームだから何度でも失敗できる」


人狼ゲームでは、時に自分が重要な役職を持ち、村人を正しい方向へ導かなければならない場 面に出くわす。 

しかし、このゲームはすべてが自己申告により進むため、だれが、どうやって、いつ、自分は”た だ者ではない”事を公表するか、そのスタートから信用をもぎ取りに行く能動的な姿勢が求められる。 

自分から見えている事実を述べた所で、自動的に他者が自分を認めてくれるシステムでは無い。

見学している立場からでは「さすがにいくらなんでも、これは信じるでしょう」 と思うような状況でも、信じてもらえない場合も頻発する。

村人は一刻も早く占いの結果を知りたいのに、それを出し惜しみ(伏せる、という)する者がいたり する。
日常に居ないだろうか?


自称占い師が2人出現し、片方は明らかに矛盾のある発言をしているのにバランスをとるために 共に吊られる占い師になることもある。
日常で陥る可能性はないだろうか?


その時は本当に悔しく、なんとか議論で巻き返しができなかったのかと自問することになるが、ハ タと気づく。
「ゲームでよかったな」と。

そう、人狼ゲームはただのゲームである。

私たちは社会で生きていく限り、対話というコミュニケーションから逃れることはできない。

従って、対話能力を一定以上にキープするという事が非常に重要になってくる。

なぜなら、先に述べた「最悪の状況4ステップ」を迎えることは、ただのゲームセットではない。

言いたいことが誰にも伝わらず、しかも、その状況を理解してくれる人がいない孤独な人生を送 ることに直結するからだ。
そのエンディングはあまりに長く辛い。

そのような事態が現実社会で起きる前に、人狼ゲームで何度もPDCAを繰り返すことは非常に重要で、価値があると私は考える。

ただ面白い、ゲームをする理由なんてそれだけでいい。 

それ以外に意味が欲しくなった場合に、このような言い訳を私は用意している。

これもまた、長く楽しむためのコツであると信じて。


以上


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