短気で獰猛

気性は荒いが社交性があるので、にこやかに怒り狂っています。

短気で獰猛

気性は荒いが社交性があるので、にこやかに怒り狂っています。

最近の記事

好きなもの発見記①

好きなもの発見したら書く記録、そのいち! 夏夜の公園に、ぽつんと立つ百日紅が風に揺れるのが好きだと思った。横に広がった葉の表面の、電灯に照らされた半分だけに、小さくあつまったピンクの花弁がかろうじて認識できる程度で遠くから見るのがいい。 百日紅は「ひゃくにちこう」ではなくて、「さるすべり」と読む。千日紅は「せんにちこう」と読むのに、百日紅ばかり特別な名前を持っているから、千日紅は羨ましがると思う。小学校低学年の頃、私には友達がいなかったからいつも図書館にいた。だから千日紅

    • つめたいごはんが好き、という話

      「冷製」とつく食べ物が大好きだ。コーンやカボチャのポタージュは、冷たい方が殊更もったりとした舌触りを感じられるうえ、旨味の中の独特の甘さが際立つ。昔から炊き立てほかほかのご飯より、冷たいご飯が好きだった。小学生の頃、放課後帰宅して、家族が食べきれなかった昼の残りのご飯を、しゃもじ片手に炊飯器から直接米を食べていた。たった1人で、働く両親に代わり、私と弟の面倒を見ていた祖母は、私のあまりの行儀の悪さに「なんだ、妖怪かと思ったわ。おお、怖い」と毎回とても嫌な顔をしていた。  幼

      • たゆたう私とつややかなガラスの目

        国立科学博物館、まっくらな空間に展示を照らす青いライトだけが明るくて、まるで深海にいるみたいだなといつも思う。深海は私の想像を絶するほど暗く、こんなもんじゃあないことをちょうど目の前に展示してあるのだけれど。 我々人類がたどってきた偉大なる歴史や、美しい星々の一生を、我ながら感心するほど熱心に見てまわるのだが、数時間・数日経って覚えているのはいつも、ガラス玉の黒い艶めきだけである。それは地球館の最上階に並ぶ剥製たちの目玉。神秘的なライトを反射して、濡れたように光っている。

      好きなもの発見記①