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【鉄道ネタ】北陸新幹線の今回の延伸と今後を考えてみる(後編)

(前編はこちら)

前編より、JR西日本と北陸地方の方にとっては、
敦賀〜新大阪の早期開通が悲願だと思われます。
後編では北陸新幹線の今後について触れたいと思います。

3.北陸新幹線、敦賀〜新大阪のルートは「小浜・京都ルート」で決まってはいるが…

立命館大学新聞社より

敦賀〜新大阪のルートとしては
様々な選択肢を議論のうえ
「小浜・京都ルート」で決定されています。

しかしこの「小浜・京都ルート」は
着工不可能で、北陸新幹線の延伸は今回の敦賀延伸で終わりだと個人的には思っています。
着工できたとしても、完成する頃に私が生きているかどうか。

その理由を述べていきます。

3.1 早期着工を熱望するのは福井県

Wikipediaより、現在のJR小浜駅。

福井県にとっては、まずは早期の関西圏までの直通が悲願。
そして小浜・京都ルートならば小浜に新幹線の駅ができるので、小浜の活性化が図れる。
とにかく福井県としては小浜・京都ルートでの早期開通を願うところ。

3.2 着工を阻むのは京都府の反対

MBS毎日放送より

この小浜・京都ルートに反対なのは京都府。
北陸新幹線は整備新幹線なので、国やJRだけでなく、
線路が通る自治体も建設費用を負担しなければならない。

敦賀~新大阪のルートの多くを占めるのは京都府内。
しかもその殆どはトンネル区間であるため、
通常よりも費用が嵩む。
京都駅に停まり、新駅として松井山手の新幹線駅ができるものの
負担費用に対して得られる恩恵が釣り合わないと京都府は考える。

エコハウス研究会より

問題はそれだけでなはい。
リニア新幹線でも挙げられている工事による地下水の問題。
北陸新幹線の京都駅はスペースの都合上、地下深くに設けられることが予想される。
京都の京料理や和菓子づくりを支えるのは地下水。
実際のリニア新幹線のトンネル工事でも
トンネルを掘ったら地下水が出なくなったという事例が起きているらしい。
地下水が出なくなるのは京都の産業にとって死活問題である。

小浜・京都ルートの実現の肝は、
いかに京都府を説得することができるかどうか。
なかなかの難工事であると思われる。

3.3 滋賀県は湖西線の第三セクター化を認めるか

Wikipediaより

また、整備新幹線の問題として必ず出てくるのが
並行在来線の問題。
小浜・京都ルートが完成した暁には、
JR西日本としては湖西線を並行在来線として
自社からは切り離して第三セクター化したいところ。
しかし、それを滋賀県が果たして認めるかどうか。

滋賀県にしてみたら、
小浜・京都ルートの場合は県内に新駅ができるどころか
ルートが滋賀県内をかすりもせず、
新幹線延伸が自分たちに全く関係ない。
にもかかわらず、県内の路線である湖西線がJRから切り離され、
その運営を押し付けられる。
滋賀県にしてみたら理不尽極まりない話である。
どう考えても滋賀県が湖西線の第三セクター化の話をのむはずがない。
小浜・京都ルートの場合、湖西線の第三セクター化は諦めざるを得ないだろう。

4. 改めて敦賀〜新大阪間のルートをどうするか

4.1 米原ルート

日テレNEWSより

個人的にはこれが一番現実的ではないかと考えています。
米原ルートは、敦賀~米原を建設し、
米原から先は東海道新幹線に乗り入れて新大阪を目指すルート。
新たに作る距離も短く、コスト的にはこれが一番安く済むルートである。

しかし、現時点ではJR東海が米原~新大阪の
北陸新幹線の乗り入れを認めることはないだろう。
現状としては、すでにダイヤが飽和状態で
そこに北陸新幹線を入れる余地がない。
しかも、東海道新幹線は全車16両編成で走っているが、
北陸新幹線は12両編成と東海道新幹線と比べて短い。
しかも、車両の運行システムにも違いがあり、
その問題をクリアする必要がある。

米原ルートの実現があるとすれば、
リニア新幹線の東京~新大阪間が開通し、
その区間の移動の主流が現在の東海道新幹線からリニア新幹線に移行し、
東海道新幹線のダイヤに余裕が生まれた場合。
しかし、リニア新幹線の東京~新大阪開通がいつの話になることやら。

また、同じJRといっても、
JR東海とJR西日本は別会社でライバル関係でもある。
米原ルートにした場合、
JR西日本にとっては、これまでの米原~新大阪で得られた利益を
JR東海に持っていかれることになる。
JR西日本としては面白くない話であり、
これを積極的に推すことはないだろう。

4.2 湖西線の標準軌化

トレたびより、在来線区間を走る秋田新幹線。

こちらもこれまでのルート選定の中で挙げられていたものですが、
山形新幹線や秋田新幹線のように在来線の部分の線路を
新幹線の線路幅と同じ標準軌に変更するもの。
ここでは湖西線を標準軌化します。
このことにより、並行在来線の問題が解決し、
新幹線と湖西線が共存できる。

しかし、線路を標準軌化するには工事が必要で、
その間湖西線の運行をストップする必要があり、
それをどうするか。
また、標準軌化することにより、
湖西線の車両を標準軌に対応した新しいものにする必要がある。

更には、湖西線を標準軌化したとしても、京都・山科より先をどうするか、
湖西線と新快速の乗り入れはどうするか、
といった等の問題もあります。

4.3 フリーゲージトレインの導入を再度考えてみる

東洋経済オンラインより、FGTの試験車両

私が推したいのはこの案。
フリーゲージトレイン(以下、FGT)は
列車の軌間を線路幅に合わせて変えることができる列車のことです。
FGTならば新しく線路を作ったり線路幅を変える必要がなく、
大阪方面は湖西線の線路をそのまま使い、
更には北陸新幹線を特急しらさぎのルートと同じ
米原・名古屋方面へも走らせることもできます。

日本のFGTは西九州新幹線への導入を目指して開発が進められていましたが、
実現不可能ということで開発が終了しています。
しかし、小浜・京都ルートの完成を待つよりも、
莫大なコストがかかったとしても
FGTが実現する方が早いのではと素人の私は思います。

西九州新幹線でのFGTが駄目だった理由は「技術的な問題」とのこと。
詳しい内容についてはよく分かりませんが、
大きい要素として挙げられるのは「車軸の強度」の問題があるとのこと。
国外を見るとFGTを実際に導入している国もあり、
何故日本では駄目なのか、と思われるかもしれません。

FGTの導入を阻む日本固有の問題は
「変更幅が大きい」ことと「高速運転」。
日本の在来線の線路幅は狭軌(1,067mm)で
対して新幹線の線路幅は標準軌(1,435mm)。
その変化幅は実際にFGTを導入している国よりも大きく、
日本でのFGTの導入を妨げる要因になっているとのこと。

また、「高速運転」について。
日本のFGTは高速運転を行う新幹線での導入を前提に開発が進められてきた。
特に西九州新幹線の場合は、
時速300km/hでの走行を行う山陽新幹線への乗り入れを前提に開発が行われてきた。
しかし、北陸新幹線は整備新幹線であるため最高速度は260km/hであり、
このことは技術的ハードルを下げる要因にはならないだろうか。
仮に260km/hでも困難な場合でも、
まずは現在計画されている蒲蒲線(東急蒲田と京急蒲田を結ぶ路線)での導入を目指して
開発を進められないだろうか。

そして、仮に日本でのFGT導入の技術的な問題が解決したとしても、
車両自体のコストやメンテナンス等の問題もある。
FGT導入が可能になった場合、北陸新幹線の車両を全部FGTにする必要はあるのか?
その必要はなく、東京発着のはくたか・かがやき号は今までどおり標準軌のみの対応で、
最遠で富山で折り返すつるぎ号だけをFGT使用にすれば良い。

とにかく、実現性は置いといて、
FGTの開発が成功すれば、日本の鉄道界全体にブレイクスルーをもたらすと思っています。
新幹線が鉄道業界全体に革新をもたらしたように、と言ったら大袈裟でしょうか。

有識者が読んだらツッコミどころ満載かもしれませんが、
それでは。

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