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【読書メモ】スマホ脳/アンデシュ・ハンセン、久山葉子訳

「2021年1番売れた本」ということで、
前から気になっていたので読んでみました。

この本では、現代のスマホ社会に対して警笛を鳴らしていますが、
人間の脳の構造・考え方のパターン等がよく分かる内容で興味深くて面白かったです。

ただスマホを悪者として叩くのではなく、
スマホに呑み込まれるのではなく、
適切な距離感を持って、スマホを自分で使いこなしていくことが大切だと思います。

1.人間の脳は狩猟生活に適するようにできている

人間の歴史において、現代のような文明社会であった期間よりも、狩猟生活を営んできた期間の方が遥かに長い。

例えば、日本の場合、縄文時代は約1万年間、弥生時代が約600年間、それ以降は約2000年間。
これだけでも縄文時代より後の期間がいかに短いかを感じるが、縄文時代以前の期間もある。

人間の歴史において、大半を占めるのは狩猟生活時代、ここ最近で人間を取り巻く環境が急激に変化している。
人間の適応は緩やか。

つまり、人間や人間の脳回路は狩猟生活に適するようにできている。

狩猟生活において、人間は猛獣等、外からの脅威に対抗するため、社会をつくり、社会の中でまとまって生きてきた。
社会の中で生きるには、他の人から認められなければならない。
そのため、人間は「承認欲」を生まれながらにして持っている。

また、狩猟時代は外からの脅威以外にも、
人間同士の殺し合いも多かった。
どこに脅威があるのか、また、自分を殺そうとしているヤバい人間は誰なのか。
人間は情報を欲する欲求を持っており、特に人に関するゴシップ等に強く反応するようにできている。

2.人間の脳のスキマにうまく入り込むスマホ

上記で挙げた欲求は人間の持つ欲求の一部であるが、スマホはそれらの欲求をうまく満たしてくれる道具である。

インターネットやニュースアプリ、Twitter(現X)などで莫大な情報が流れているため、それらが情報を欲する欲求を満たしてくれる。

また、SNSのいいね機能やフォロワー数は、他人からの承認欲を満たしてくれる。

しかし、人間の欲望は際限がない。
欲求が満たされた、と思ったら更に欲求を欲するようになる。

できた人ならばある程度のところでブレーキをかけることができるが、全員がそうではない。
特に、子供の場合はそのブレーキ役を担う前頭葉がまだ未発達であり、スマホ依存症に陥りやすい。

こうして、スマホを使い込む時間が増え、身体を動かしたり、現実と触れる時間が減っていく。

スマホから得られるものはあくまでバーチャル。リアルに勝るものはない。

3.運動で人生の質の向上を

本書後半では運動の効用性について述べられている。

身体を動かすと心が健康になるというのは、ただの始まりに過ぎない。基本的にすべての知的能力が、運動によって機能を向上させるのだ。集中できるようになるし、記憶力が高まり、ストレスにも強くなる。

人間は狩猟生活に適するようにできている。ということは、人間は運動をすること前提にできている。
逆に言えば、運動をしなければ、身体や心に何かしらの異常が生じてくる可能性がある。

運動が精神の安定に良いのは、現在の自身の生活から納得できる。
現在、仕事から帰ってきたら20〜30分程度、「切替タイム」と称して何かしらの運動をしている。
その割には身体がたるんでいる、と言われてしまいそうだが、精神の安定には十分に貢献していると感じている。

また、私のメンタル疾患の症状が出てしまったときは、大体運動不足の状態のときである。

スマホは確かに便利な道具である。
ただ、スマホを使う時間が長くなりすぎると、
心身に様々な支障が生じてくる。
スマホとの適切な距離感が必要である。

それでは。

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