【マンガメモ】のんのんばあとオレ/水木しげる

水木しげる氏は人間的なスケールが大きく、
幸せな生き方を知っていた人だと自分の中で勝手に思っています。

自分が水木氏の真似をすることはできませんが、
定期的に水木しげるの世界観に触れていたい。
その一環として今回本書を読みました。

のんのんばあとオレ (講談社漫画文庫)

1.概要、あらすじなど

「のんのんばあ」とは、茂の家にお手伝いに来ていた老婆のこと。
本作では、のんのんばあや妖怪との交流、
ガキ戦争に明け暮れる日々、
女の子との交流と彼女らとの悲しい別れなど、
しげる氏の少年時代の様子が描かれています。

2.のんのんばあの名言集

水木しげるが妖怪漫画でヒットしたのは、この人の存在があったから。
以下に作中ののんのんばあの台詞で印象に残ったものを挙げていきます。

みえんからおらんというのが
まちがいのもとじゃがな

見えるのものも勿論大事ですが、世界はそれらだけではないと思います。

どげな骨でも骨は土に帰してやらにゃいけん。
そげせんと魂がいつまでも迷っちょるけんねぇ。

この世界・自然は循環している。
その循環の中で人間は生きている。

自身が農業をやっているときに強く感じたことは、
自分たちは大地の恵みによって生かされていること。
自分たちが死んだら大地に戻り、他の生き物が生きるための素になる。

あんたもお天道さんの下でまっとうな暮らしをしちょったら、
妖怪なんぞにとりつかれないですむんだよ

やはり、基本はまっとうに生きることか。

人の心はなあ、いろんな魂が宿るけん成長するんだよ。
小さい頃からいろんなものを見たり触ったりしてきちょるだろ。
そげん、さまざまな魂が宿ったけん、
しげーさんはここまで成長したんですなあ。

今の自分があるのは、今まで出会ってきた、見てきた、触れてきたすべてのものがあるから。

こちらが優しい気持ちで向き合うたら、
霊も優しくなるもんでなあ。

人の気持ちは周りに伝染する。
できる限り、穏やかな心持ちであるよう努めたい。

3.茂パパの名言集

この人は普通の人とは違う、なかなか自由な人。
水木しげるという人物像は、この人の影響や受け継いだものも大きいと思われます。

いいかその気持ちが大事なんだ。
シャレを愛する心が文化なんだ。
金なんか飢え死にしない程度にあったらええ。

なんとかなるだろう。

この父の考えが息子にも引き継がれているのかと。

いやいや、その素人の直感が大事なんだ。

特に仕事の場面では慣れてくると忘れがちなこと。
素人からの視点も大事かと。

茂、人を感動させるのは
ありのままの形だけじゃない

やはり世の中は見えるものだけではない。

その悲しみは宝物だ。ええ思い出をもらったな。
勉強なんか落第しない程度にしたらええ。
それよりいまは、いまでしか作れん財産をいっぱい作ることだ。
それがいつか役に立つときがくるけんなあ。

こういうことを言えるのは、やはり良い父親だな、と。
自分も子供ができたら、子供に対してそう言える父親になりたい。

こらこら、そげな肩書きなんからどうでもええ。
人間にとって大事なのは中身だ。

まさしく。
ヒラの肩書きでも尊敬できる人はいるし、
言い方は悪いが、肩書きと中身が伴ってない人もいる。
肩書きに気を引かれないように。

バラの花は他の名で呼んでもいい匂いがするし、
ライオンを他の名で呼んでも勇敢さに変わりはない。

どんな名前でも、良いものは良いものに変わりはない。

男にとって女は教師だよ。
学校なんかじゃ教わらないいろいろなことを教えてくれる。学校なんかやめてもええが、
女に恋することをやめたらあかん。

この台詞は自分の心にグサリときます…

茂、本気で人を幸せにしようと思ったら、
自分が傷つくことくらい覚悟しなくちゃいかんのだ。
人間はだれしも住みたい場所に愛する者と一緒に暮らせるとは限らんのだ。

人に影響を与えるには、ある程度の自分の犠牲が必要。
私は、まず自分が幸せであることに精一杯ですが…

でもな茂、不幸の中にも何らかの幸せの芽は
きっとあるはずだよ。

どんなに辛い出来事・経験も幸せに繋げることができるか。

4.小豆はかりの名言集

本作では様々な妖怪が出てきますが、小豆はかりもそのうちの一人。
自分にとって納得できる台詞がいくつかあったので、挙げていきます。

すべてのものが運命に定められた存在なのだ。

世にある万物はすべて運命とともにある。
運命に逆らおうとするのは人間だけだ。

その運命というものがどういった内容なのか、
まず見極めることが難しいですが。
運命に逆らおうとすることほど苦しいことはない。
運命をちゃんと理解し、その流れに乗ることができるか。

強がりは弱さの裏返し。
弟の親切を無下に断るとは愚かな小者よのう。
一人では生きられない下等な存在、
それが人間だと思い知るがいい。

昔は何でも一人でやろうとして苦しかったが、
人に頼ることを知ってから大分楽になったかな。

もっと自然体を学ぶことだ。
運命に逆らうな。
天にツバを吐けば己れに災いがふりかかる。

まさしく。自然体とは何か、今自分は自然体でいられているのかに気づけること。

それでは。