【読書メモ】もっともわかりやすいラグビー戦術入門ガイド/井上正幸
ラグビーワールドカップ2023フランス大会の開幕まで約2週間を切りました。
日本代表の7月に入ってからのテストマッチの結果は1勝5敗。
色々と心配な部分はありますが、
W杯本戦に入ったらそれらが杞憂であったと感じさせてくれるような活躍を期待しています。
今回紹介する本は、ラグビーワールドカップ2023を観る前の予習にお勧めだと思います。
特に、昔は実際にプレーしていたが長くブランクのある人が最新の動向について確認するのに良い本だと思いました。
内容としては、基本的なルールの説明に始まり、
最新の戦術の解説、2019年日本大会の解説から、最新の各国の傾向の説明となっております。
1.新ルールについて
スポーツのルールはその時代の状況に合わせて、逐次、ルールが変わっていきます。
ラグビーについては、2021年8月からいくつかの新ルールが適用され、そのなかでも特に影響が大きいと思われるルールは「50/22ルール」と「ゴールラインドロップアウト」。
「50/22ルール」について、
今まではどこからキックを蹴った場合でも、
ボールが地面でバウンドしてからタッチラインを出た場合、
タッチラインを割った場所から相手側ボールのラインアウトで試合再開となっていました。
しかし、「50/22ルール」の採用により、
自陣内から蹴ったボールが相手陣22mラインより内側でバウンドしてタッチラインを出た場合、
タッチラインを割った場所から、キックを蹴った側のボールのラインアウトで試合再開というように変わりました。
次に、「ゴールラインドロップアウト」について、
今までは、攻撃側が蹴ったボールが相手のインゴールに入り、防御側がボールを押さえた場合、
防御側が、22mラインの内側からドロップキックを蹴る「ドロップアウト」が採用されていました。
しかし、「ゴールラインドロップアウト」が採用されたことにより、ドロップキックを蹴る場所が22mライン内側から自陣インゴール内に変更となりました。
両ルールとも、キックによって攻撃が有利になるルールで、試合中のキックの比率が大幅に上がっているとのことです。
以前と比べて、キックの重要性が高くなっているといえます。
2.現代ラグビー戦術のトレンド〜ポッドによる攻撃
現代ラグビーの戦術、および著者の戦術解説で肝となっているのが「ポッド」。
ポッドが導入される前は、
FWはBKのサポートとブレイクダウン(ポイント)付近での攻撃、BKが空いているスペースにボールをパスして突破するという、各ポジションの選手が各ポジションの役割を果たす、という形でした。
ポッドとは、数人で構成される小さなユニットで、
サッカーのように人の配置を決めます。
ポッドの導入により、
FWがボールを追いかける形から、
ポッド間でボールを動かす戦術となり、
また、選手にもオールラウンダー的な能力が必要とされるようになりました。
ポッドの配置がわかると、観戦もより面白くなると思います。
3.ラグビー戦術の基本的な考え方
本書ではシチュエーション別の戦略について詳しくされていますが、
どの戦術でも共通していえることを簡単に言うと、
「空いているところを攻める。空いているところがなければどう崩すか」。
自分がプレーしていた頃は、それが基本的な考えだと思っていましたが、
色々戦術等が変わった今でもその部分は変わらないのでしょう。
観戦時はボールの動きを追いながら観る形でも十分に楽しめますが、
特に、現地観戦の機会があれば、どのように人が配置されているか、どこかに空いているスペースがあるか、もチェックできればより面白くなるでしょう。
ラグビーワールドカップ2023フランス大会の開幕も間近で、
日本代表も戦術を綿密に練っていると思われますが、
最近数試合を見ると、それ以前のところで足をすくわれているような感じを受けます。
2015と2019のW杯の成功で、
今、日本はラグビーバブルとも言える状況のように感じますが、
その勢いが今後も続くか、
それともこれで終わってしまうかは、
今回の2023年W杯の内容にかかっているでしょう。
私は日本代表を応援します。
それでは。
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