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猫と、わたしと、

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猫とわたしの、ちょっとしたストーリーをまとめたマガジンです。 「#猫とわたしと」をつけて投稿いただければ、マガジンに追加いたします。
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2022年6月の記事一覧

窓辺で待つ猫

14歳。人によっては、人生で一番楽しく自由な年齢と答える人もいるかもしれない。しかし、私の場合、当時の生活はまさに戦いの日々だった。 父の仕事の都合で広島から遠く離れたベルギーに転勤になってから、ひと月が経っていた。中学3年生の秋。私は14歳だった。 「高校受験をしなくて済むから」という親の言葉を信じて、中学受験で入学した中高一貫の学校を泣く泣く辞め、転校した先はベルギーの首都、ブリュッセルにあるインターナショナルスクール。 校舎は森の中の広大な敷地にあった。学校の事務

仔猫の「そら」と「まめ」がやってきた。生後1ヵ月未満の“乳飲み猫”を育てる夫婦の話

2020年5月16日。その日は私の誕生日だった。 私と夫は数日前からこの日を心待ちにしていた。誕生日プレゼントやケーキ、豪華なディナーではない。 この日、我が家には猫がやってくるのだ。 不安と期待が混ざる、保護猫のお迎え午前中に予定していた友人たちとのオンライン通話を早々に切り上げ、私達夫婦は予約していたレンタカーに乗り込む。横浜の家から1時間くらい、伊勢原までのドライブだ。 ここ数ヵ月間ずっと「猫を飼いたい」と夫に訴えていた。はじめは乗り気でなかった夫もだんだん猫を

僕の毎日は、猫に救われてはじまっていく。

とある、猫。猫は猫。というのが、僕が猫に向き合う時のスタンスです。飼っているという感覚もないし、過剰に敬ったりしない。猫の下僕という表現も、どうもしっくりこない。 ただ対等な関係として、リスペクトを持ちながら一緒に暮らしている。だから足りない部分を補い合う。だたそれだけ。 そんな僕も、三毛猫は贔屓目でみてしまう。 きっかけは大学受験を目前に控えた僕の目の前に現れた、1匹の猫。実家近くにある食品工場のねずみ取りに引っかかるという、笑えないエピソードを持つ、1匹の猫。 捕