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GDPの欺瞞、理想郷には程遠い、いまの世界

日本が世界のGDPランキングで、ドイツに抜かれついに4位に下がった、という。
報道では、基本的に悲観的なニュースとして伝えられている。

日本がGDPが伸びない原因についてはあまり詳しい分析的なレポートが出ていないようだ。
いくつか散見された意見としては、
賃金が増えていないこと
技術革新が起きていないこと
労働生産性が悪いこと
などが挙げられている。

まあ、それはそうなんだろうけど。

ただ、日本に住んでいる実感として、本当に日本は貧しくなってきているのかな?
と首をかしげてしまう。

欧米に引っ越した知人たちは、生活必需品はじめ、物価が高すぎて普通に暮らせない、
外食するのも、1食2000円くらいはかかるので、とても外では食べられない。おまけにチップ文化だし、
と嘆いている。

GDPは端的に言って、社会全体でやり取りされたお金の積算額だ。
ということは、物の値段を吊り上げれば数字は膨らむことになる。
だから、私は、「え、いまだにGDP礼賛しているの?」と苦笑してしまう。

私の中学の時の社会の副読本に
「GNP・GDPは、必ずしも社会の豊かさを反映しない。
たとえば物々交換がいまだに活発な社会ではこの数字は不当に低くなるだろう」
「あるいは、蚊のいない島に蚊を持ち込んで、殺虫剤を売り込めばGDPは増大する」
という例が書かれていたのを思い出した。

蚊の例は極端に思われるかもしれないが、似たようなことを欧米はしていないか?
海外旅行した時にちょっと見ただけではあるが、
欧米の労働者って、ちっとも働かない者が一定割合存在する。
その場に居るだけでお金をもらうのが労働だと思っているようだ。
それに対して、極端に高い最低賃金が設定されているので、それなりの額の給与が支払われているはずだ。
この図式はまさに「蚊のいない島に蚊を持ち込んで殺虫剤を売る」のと同様ではないか?
裏付けなくお金をばらまいているのに等しいのではないか?

また、同機能でより安いものが開発されることも、GDP上は少なくなる方に働く。
情報革命で浮いた人件費を、物を安くすることに振り向けていけば、GDPが下がるのは当然の帰結だと私は思う。

日本は、欧米よりかは正しいことをしているので、豊かであり、GDPが減っている、というのが
逆説的であるが、私の意見だ。

ケインズは時代が進めば、人類は豊かになって労働から解放されていくであろう、と予言した。
しかし、それは当面かないそうにない。
正社員はがっちり働き、非正規社員は割を食って切り売りされた仕事にしかつけない状況になっているからだ。
理想は、モノの値段は下がっていき、人間はゆっくりと労働時間を減らし、ついにはほんの少しの労働で済む、
というふうになることだと思う。
そして、その過程ではGDPは、どんどん減っていく。

理想郷の実現を妨げているのは、誰だ?

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