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自責で考えるということ

いつも熱中する組織のnoteをお読みいただきありがとうございます。
今週は壽田が投稿致します。
 今回は「自責」を取り上げたいと思います。昨今では働くメンバーのメンタルヘルスの観点から、相手の心情に配慮せずに「自責で考えろ」と言うことが、はばかられるようになった気がします。しかし、「自責」はマネジメントにとって、とても大切なことですので、「自責」とはどうあるべきなのかについて整理してみます。今回は、いつもよりも少ない文量でまとめてみようと思いますので、お付き合い下さい。

自責とは何か

 かつて、「炎のコンサルタント」と呼ばれ、社長を怒鳴りつけるほど情熱的な指導をしていたと言われる一倉定氏は、よく「郵便ポストが赤いのも電信柱が高いのも社長の責任」と言って、「全ては社長の責任である」ことを説いていたそうです。これは、自らの意識改革を徹底させ、それくらいの強い責任感を持って経営にあたることを、社長に決意させるための表現だとは思いますが、皆さんはどうお感じになりますか?
 私はどうもこの表現が好きになれません。一倉氏がご存命なら間違いなく頭ごなしに怒鳴られるでしょうが、「そんな訳ないでしょう!」と思うだけでなく、言語化を求められる現代では相手に全く伝わらないばかりか、「自責」が違う意味で浸透してしまいそうでなりません。
 そこで、令和の時代における「自責」を以下のように定義してみました。

自責とは・・・
 影響を与えられる範囲の結果は、すべて自分に責任があると考えること

 いかがでしょうか。このように定義したのは、「じゃぁ、『影響を与えられる範囲』というのはどこなのか」ということについて考えを巡らせていただきたいからです。

影響を与えられる範囲

 自分が影響を与えられる範囲について一度じっくり考えてみましょう。例えば、あなたがある会社の「営業部長」だとしましょう。この時、配下の役職者やその他のメンバーの行動には直接影響を与えられるでしょう。これが「否」だとすると、マネジャーとしての役割を果たせていないことになりますが、違和感はないと思います。では、以下のものについては、自分が影響を与えられる範囲に含まれるでしょうか?
 ① 他部署の活動(商品企画など)
 ② 社長/上司の行動
 ③ 売上高(お客様の行動)
 このように考えながら、影響を与えられる範囲を確かめていきましょう。ちなみに、上に挙げたものは、すべて影響を与えられる範囲に含まれると考えられるでしょう。これについては異論がある方もいらっしゃると思います。もちろん、それは「意のままになる」ということではありません。直接または間接的に働きかけることができる対象は、すべて「影響を与えられる」と考えるべきだと思います。大袈裟に表現すれば、「これから自分の周囲で起こることはすべて影響を与えられる」と考えても良いくらいです。これでは、「赤いポストや電信柱の高さ」と何ら変わりがないと言われそうですので、もう少し説明を加えてみましょう。
 影響を与えられる範囲に対する考え方は個人によって異なりますが、それは「自分が主体的に行動する範囲」と密接な関係があります。つまり、主体的に行動する範囲が広い人ほど、影響を与えられる範囲を広く捉える傾向があるということです。マネジャーは、成果を上げることを求められますので、主体的に行動して影響を与えられる範囲を拡大していかなければなりません。先に「これから自分の周囲で起こることはすべて影響を与えられると考えるべきだ」と書いたのは、その方が大きな成果を上げることができるからです。

自責をどう使うか

 私はかつて上司から、なかなかの剣幕で「自責で考えろ」と繰り返し言われたことがあります。最初は、「どこか自責で考えられていないところがあるのか」と思いながら、その上司の発言を聞いていましたが、あまりにも執拗に言われるので、内心「うっせーな」と思って聞き流していました。あるとき、その上司自身が自責で考えていないのではないかと思うようになり、それがかえって「自責とはそういうことか」と気付かせてくれたような気がします。太公望から兵書を伝授された張良の御伽噺のようですが、これは、マネジャーが「自責で考える」ことをどのように扱うべきかを示唆しているように思います。
 部下が期待する結果を出せなかったとき、マネジャーがイライラしたり、部下を叱責したりしているうちは、「自責で考える」ことができていないのだと思います。悪い結果の責任が部下にあると思っているからこそ、そういう行動になると考えることができるでしょう。かといって、何でも「自分の責任だ」と考えて、自分を咎めるということでもありません。
 自責で考えることの本当の使い方は、各々の立場において自責で考え、お互いにその責任を認め合うということだと思います。これが信頼関係に立脚した「自責で考える」ではないでしょうか。ですから、上司は「仕事を任せる」、または「部下を指導する」という立場から自責で考え、部下は「仕事を遂行する」という立場から自責で考える。そして、お互いにそれを口にして、具体的に一緒に次の対策を考える。そんな姿が、本当の「自責で考える」だと思います。

最後に

 いかがでしたでしょうか。短く書くつもりでしたが、2,000字を超えるものになってしまいました。「自責で考える」ことを盾に、部下を責めるマネジャーが一人でも減ったらいいなぁと思いながら書いてみました。今回も最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

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