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部下が「行動する前」のタイミングで働きかけよう!

いつもお読みいただき、ありがとうございます。
今週は中島が担当させて頂きます。

マネジャーの方とチームの業績向上へ向けた対話すると、最終的に部下育成の話しになるケースが多々あります。

「部下育成」「人材育成」というキーワードは世の中にありふれた言葉であり、この言葉を聞いたことがない人はいないでしょう。ただ、これほど難しく、多くの人が悩んでいるテーマもないでしょう。

今回は「部下育成」の観点から部下に対して、どのタイミングで、どういう働きかけをすればいいのかについて考えてみたいと思います。

部下を責めてしまうのには原因があった

皆さんも「原因と結果の法則」はご存知だと思います。
今ある「結果」の全てに、その「結果」に至った「原因」がある。

簡単に言えば、こういうことです。
例えば、「オリンピックで金メダルを取れた」という結果には、それ以前に「血の滲むような練習をした」という原因があった、と。まずはその程度の理解でOKです。

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実はこの原因と結果の法則を時系列で見ると、大きく2つの流れがあることが分かります。それが以下のスライドです。

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人は「今、現在」を生きていますから、「現在」に着目してみると、過去を含めて出てしまった「結果」 と これから出そうとしている「結果」へ向けた「原因」づくりの2つのことがあります。

経験上、「チームを目標達成に導けていない」「部下を成長させられていない」マネジャーの多くは、この出てしまった「結果」に対する働きかけになってしまっていると感じます。

出てしまった「結果」やその「原因」を今から変えることができないことはどなたでも分かるでしょう。その変えられないものを追求しようとするから、特に結果が思わしくないときは“追及”になってしまったりします。

(※是非、「追求」と「追及」の意味の違いについては、一度、調べてみて頂けるといいでしょう)

これから出そうとする結果に着目する

では、どうすればいいのでしょうか?

もう気づいている方もいるかもしれませんが、実は難しく考える必要はなく、前述のスライドの下側、つまり、「これから出そうとする結果」に着目し、その「原因づくり」に焦点を当てるようにします。

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先ほどの「オリンピックで金メダルを取る」例で言えば、2024年パリ大会で金メダルを取るためにはどういう練習をすればいいのか、に焦点を当てるようにするということです。

では「出てしまった結果」、例えば2020年東京オリンピックでメダルを取れなかったことの振り返りをしなくていいのでしょうか。もちろん、パリ大会を目指すなら振り返りをした方がいいでしょう。そして、このときに一つ心がけることがあります。

それは、次の「原因」づくりへ繋がることを必ず見出す、ということです。

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つまり「これからの行動」や「今の仕組み」の改善につなげるようにします。

ここで少し立ち止まって、これまでの原因分析がどのように実施されてきたのか、他のマネジャーはどのように実施しているのか、この機会に振り返ってみてから、この後を読み進めてみて頂くのもいいと思います。

「プレビュー」のタイミングで「フィードフォワード」を心がける

では「部下育成」という面から上司はどのタイミングで、どういう働きかけをすればいいのでしょうか。

部下の「一日の仕事」を例に考えていきたいと思います。

仕事の進め方をプロセスで表してみると、以下のように単純化することができるでしょう。

事前準備 → 行動 → 振り返り

そして、上司はこのプロセスに対して、次のように働きけていきます。

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このように部下育成の観点から言えば、部下が行動を起こす前後の働きかけがポイントになります。そして、これから出そうとする結果に対する原因づくりに働きかけをするという意味では、行動する前(事前準備)のタイミングで働きかけることが特にポイントになります。

もう少し具体的にするために、営業マネジャーになったつもりで考えていきましょう。

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①事前準備(商談前)
営業マネジャーであれば部下の一日の商談計画を確認します。そして、商談のゴールやゴールに到達するためのシナリオ(段取り)、準備している資料などをチェックし、ゴールへ到達するためのアドバイスをします。

ちなみに設計や製造であれば、一日にどこまで設計書を仕上げるのか、一日に何個製造するのかを確認します。どんな点に注意して設計や製造すればいいのか、過去のどんな案件が参考になるかなど、仕事がスムースかつ効率的に進むようなアドバイスを心がけてみるといいでしょう。

②行動(商談時)
部下が行動するステップでは、部下の仕事ぶりを観察します。営業であれば部下の商談に同行し、事前に立てたシナリオ通りに商談を進めることができたのか、そして、商談のゴールを達成したのか、を客観的に見ていきます。さらに部下が身につけるべき営業スキルなどを見極められると、なおいいでしょう。

③振り返り(商談後)
行動した後、一日の仕事を振り返ります。ここでの目的は、次の行動へ繋げたり、仕事のルールや仕組みを改善するネタを見つけるということです。どうしたら成果に繋がったのか、どうしたら効率的に仕事ができたのか、どうしたら当初立てたゴールを達成できたのか、こんな観点で振り返っていきます。

商談後の振り返りでは、商談ゴールが達成できたのか。そして、達成でも未達成でもその要因について検証し、次の商談ではどう行動すればいいのか、商談前の事前準備段階ではどのようなことを想定しておかないといけないのか、どんな資料を用意しておけば、お客様の理解を得やすかったのか、などを部下が振り返ることができるようサポートし、足りない部分を上司からフィードバックできるようにします。

ちなみに、私は行動前の働きかけのことを「プレビュー」と呼び、前向きなアドバイスを「フィードフォワード」と呼んでいます。一方、行動後の振り返り時の働きかけを「レビュー」と呼び、その時のアドバイスを「フィードバック」と呼んでいます。

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行動の前後の働きかけのタイミングを意識してもらうために、あえて違う言葉を使っています。「プレビュー」という言葉は聞き慣れないかもしれませんが、印刷を出す前のプレビュー画面を想像するといいでしょう。紙を出す(行動)前にプレビュー画面を見て、資料の修正点をアドバイスする、というようなイメージです。

このように行動する前に上司の働きかけがあるからこそ、部下の行動の質が高まり、たとえ行動がうまくいかなったとしても、予め仕事(行動)のゴールを設定し、段取りしておくことで、振り返りの精度も高まるのです。そして、振り返りで得た学びや教訓が次の行動へとつながっていきます。

このようなサイクルで働きかけていければ、部下は自ら仕事のゴールを設定し、ゴールに辿り着くためのシナリオを考えられるようになります。そして、行動した結果を振り返ることで、行動の軌道修正を自らしていけるようになります。

そうなれば、部下は自ら考え、行動していくようになるのです!

まずは小さくはじめる

行動を変えていこうとするとき、範囲を広げ、完璧にやろうとしても挫折してしまうものです! ですから、こういう場合は範囲を狭め、完璧にやろうとせず、小さくはじめるようにするのが、うまくいかせるコツです。

今回のケースで言えば、まず一人の部下からはじめてみるようにするのもいいでしょう。仕事を始める前のプレビュー。仕事ぶりを観察する。そして、仕事が終わった後のレビューを実施してみるようにしてみます。

その上で、一人の部下でうまくいったなら、その範囲を少しずつ広げていけばいいのです。

まとめ

このように部下に対する働きかけのタイミングや働きかけることを変えることで、部下の成長や成果は大きく変わっていきます。そして、自然と部下のエネルギーはなすべきことへ向かうようになるでしょう!

ですから、是非、その第一歩を、明日から踏み出してみるようにしましょう!

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