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メンバーへの寄り添い方の幅を広げる

いつもお読みいただき、ありがとうございます。
今週は中島が担当させて頂きます。

成果を出す上で、チームへの寄り添い方はいくつかのスタイルがあると思っています。

例えば、チームを「マラソンを走っている集団」に見立てたとき、リーダーが先頭で集団を引っ張っている場面もあれば、並走して横で客観的に集団を見ている場面もあるでしょう。また、後方で集団の後押しをしている場面もあるかもしれません。

どのスタイルが正しいということではなく、チームの状況やチームが置かれている環境によっても異なるのではないでしょうか。

これと同じような話で、部下に対する寄り添い方、特に部下が「実行」する段階における寄り添い方について話題になることがあるのですが、「自分がやってしまう」のか、「部下に任せる」のか、この2択しか持っていないマネジャーに出会う場面が少なくありません。

今回は部下に対する寄り添い方について、本当にこの2択しかないのかを一緒に考えていければと思います。

1.ありがちなビジネス現場での実態

日本の組織構造の特徴として「プレーヤーとして活躍した人がマネジャーになる(昇進する)」ということがある思います。少なくとも私が携わってきた組織では、ほとんどのケースがそうでした。

例えば、営業部門だと顕著なのですが、営業担当として成果をあげた人が課長や部長へ昇進していくケースです。「自分もそうだ」とは言いづらいかもしれませんが、おそらく実態は成果をあげた人=できる人が上に立っているケースがほとんどではないでしょうか。

もちろん、昇進の条件が「成果」だけではなく、1〜2名のメンバーを率いることで、マネジャーとしての素養を見られたケースもあるかもしれませんが、実態は「成果をあげた」に近いと言っても過言ではありません。

というのも、部下の成果と思っていることでも、上司がやって成果を出してしまっているケースを数多く現場で見てきました。おそらく、その上司の方も部下時代にやってもらったことをしただけなのでしょう。

ですから、そんな上司の方に、
「そのようなやり方で部下の実力は上がりますか?」
「それが本当に部下のためなのでしょうか?」
と質問すれば、ほとんどの方は「実力は上がらない」「部下のためではない」と直ぐに気づきます。

しかし、ここからがポイントなのですが、
上司の方からは次のような言葉が返ってきます。

「部下にもっと任せた方がいいんですかね?
 でもそうすると成果は出ないと思うのですが...」

このような会話から色々なことが透けて見えてきました。

そして一番のポイントだったのは、どうして「部下に任せると成果は出ない」という思考になってしまうのか、という点でした。

このことを現場で掘り下げてみたところ、多くの上司の「部下に任せる」は「部下の仕事ぶりを見ない」「部下にはほとんど関与しない」という言わば「放置」に近い状態だったのです。

確かにそれでは成果は出ないと私もうなずけました。

こうして多くの上司の方に「自分がやる」か、「部下に任せる(放置)」かの選択肢しかないことが見えてきました。

2.「自分がやる」「部下に任せる」以外の寄り添い方を見出す

では「自分がやる」「部下に任せる(放置)」以外の寄り添い方をどう見出していけばよいでしょうか?

見出し方のポイントは、今の業務や役割のまま考えるのではなく、別のことに置き換えて考えるようにするといいでしょう。ちなみに私がコンサルティングする際、ミドルマネジャーの方には「プロ野球のコーチ」に置き換えて考えてもらっています。

それは以下の3つの理由からです。

①プロ野球のコーチのほとんどが選手(プレーヤー)にはなれないから
②プロ野球の組織を会社組織に照らし合わせるとコーチがミドルマネジャーと同じような役割を求められるから
③「実行」ステップにおけるマネジャーの役割について照らし合わせやすいから

特に①の理由が大きいのですが、多くの上司はプレーイングマネジャーとして業務遂行しているのではないでしょうか。そうすると、自身のやるべきことがプレーヤーの役割から生じていることなのか、マネジャーの役割から生じていることなのかを切り分けて考えられていないように感じます。

そこで、プレーヤーになれないプロ野球のコーチに置き換えて考えてもらうことで、マネジャーとしての役割ややるべきことのヒントを得やすいと考えています。また、もしプロ野球のコーチが指導もせずに選手を放置していたとしたら、直ぐにクビになるでしょう(笑)そのようなことから「自分がやる」「部下に任せる(放置)」以外の寄り添い方を見出だしやすいのではないかと思っています。

また、プロ野球のコーチはチームを勝たせるために選手に結果を出させる役割を担っています。つまり、選手の能力を引き出し、実力を向上させることが仕事です。これはミドルマネジャーに求められていることに近く、コーチが選手の実力を上げるためやっていることを考えることで、上司が部下を成長させるためにやることのヒントを得られると思っています。

3.「プロ野球のコーチ」に置き換えて考えてみる

では具体的に「自分がやる」「部下に任せる(放置)」以外の寄り添い方を見出す一つのやり方、「プロ野球のコーチ」に置き換えて考えるやり方をご紹介したいと思います。

基本的なプロセスは以下の通りです。
①プロ野球のコーチの役割を定義する
②コーチがやっていることを洗い出してみる
③自身の役割、やるべきことに照らし合わせてみる

①プロ野球のコーチの役割を定義する

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これに照らし合わせると「部下に成果を出させ、チームの目標を達成させること」と見出すことができます。ということで、上司は部下に焦点を当てる必要があることが見えてきます。

②コーチがやっていることを洗い出してみる

スライド2

③自身の役割、やるべきことに照らし合わせてみる

スライド3

こうして考えてみることで、プレーヤーの役割とマネジャーの役割を切り分けて考えやすくなりますし、「自分がやる」「部下に任せる(放置)」以外の寄り添い方を見出せるようになります。

ここで、上司の方々にも同じことをやってもらったときの気づきを一部ご紹介したいと思います。
・自分がやっていることの多くはプレーヤーの役割から生じることだった。マネジャーがやるべきことをもっと意識しないといけないと感じた
・もっとメンバーに目を向けないといけないと思った
・メンバーができていないことを責めるだけで、もっとメンバーの実力アップに貢献していかないといけないと感じた
・自分がやっていたことは本来メンバーがやるべきことで、それを奪ってしまっていました。もっとメンバーが成果を出せるようにサポートしていきます
・マネジャーの役割を果たせている気になっていましたが、全然できていないと気づきました。もっとメンバーが成果を出せるように練習に付き合っていくようにします

実はわざわざこのような方法を取るのには別の意味もあります。それは自身で答えを導き出せるようになるということです。「マネジャーの役割はこうだ」という唯一絶対的な答えがあるわけではなく、立場や環境、状況によっても変わります。

ですから、「プロ野球のコーチ」に照らし合わせたときの自身のやるべきことはその都度変わってきたりします。そうやって立場や環境、状況が変わっても自身で答えを導き出せるようになることは、今後、より一層マネジャーに求められることではないでしょうか。

4.最後に

このようにチームに対する寄り添い方も、メンバーに対する寄り添い方も、さまざまな方法があります。また、絶対的な答えもなく、いつもモヤモヤが消えないかもしれません。

ただ、重要なのは、マネジャーの役割/やるべきことにおいても成果を出すことと同様、“試行錯誤できる力” ではないかと思うのです。

VUCAの時代に必要なマネジャーの力とは、何が正解なのか、どこに答えがあるのかと探すことができる力ではなく、答えを導き出せる方法をいくつか持ちながら、モヤモヤしながらでもそれを決め、前に進むことができる力ではないでしょうか。

是非、今回の「プロ野球のコーチ」に置き換えて考えることは一つの例として、色々な方法を持つことでモヤモヤしながらでも突き進める力を高めるようにしましょう!

別の方法もたくさん共有されることを期待したいと思います。

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