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会計事務所 1社目アルバイト

会計事務所に初めて勤務し始めたころのことを記しておきたいと思います。

アルバイトですが、試験の勉強しつつ、税理士としての修業時代の話です。

これから会計事務所で働く方の参考になればと思います。


大きな会計事務所で同期が20名近くいたと思います。普通の会計事務所だとそんなに大量に採用することはありえないと思いますが、2010年頃なのでまだ業界的にも深刻な人手不足になる前だったのでしょう。

社会人経験がある方もいれば、私のように初社会人、初会計事務所勤務という人もいます。年齢は上が30代前半で、下は24歳くらいだったと思います。

9月入社で、同期とともにひと月ほどの研修を受けました。普通の会計事務所だと研修など用意されてはいませんが、名刺の渡し方から電話の受け方までひと通りのマナー研修と、会計ソフトの使い方や簡単な税法の考え方なども研修で教えてもらいました。

研修は有難いことですが、その後はすぐに担当を持たされて、社会人一年目の同期は右も左もわからないまま配属。すぐに終電まで残業をしていました。事務所全体が忙しい雰囲気で、上司に質問しづらい空気感があったようです。

私はアルバイトだったので担当を持つことはなく上司からの指示で仕事をし、定時に帰っていました。お客様の窓口になることもなく、過度な責任もなく、今思えばかなりラクな待遇です。

ただ、その環境でも当時の私には大変でした。

すでに簿記と財務諸表は合格しており、法人税は二度受験した後ですが、会計ソフトの使い方を覚えること、実務ならではの効率よく仕訳の切ることなど覚えることだらけです。エクセルもこの時に本格的に学びました。

試験勉強で得た知識はあっても実務で使えるかは別で、知識を実務に落とし込む学びが必要でした。さらに慣れない人間関係もあり、アルバイトであっても試験勉強との両立は精一杯でした。勉強優先と考えていたので、水曜を休みにして週四勤務にしていたのは正解でした。

会計入力に慣れ始めたころの11月あたりからは年末調整の業務を専属でしました。扶養控除申告書や給与明細を指示通りに入力しました。所得税をかじっていたので、意味も考えながら指示されたこと以外にも気を付けながら処理をしていました。出来上がった源泉徴収簿を見ながら所得控除額が合っているかなど自分で検算しました。

上司からのフィードバックは無かったので自分の処理が正しいかの答え合わせはできず仕舞いでした。おそらく不備はあったのでしょうが、修正は上司自身でやったほうが早いという判断で進めていたのかもしれません。その後の支払調書の業務も同様に専属で行いましたが、結局、フィードバックは無く業務量だけこなしていきました。

支払調書を何のために提出するかはよくわかっていませんでしたが、何をやればいいのかという事だけやんわり理解して終了しました。

2月からは確定申告業務で、所得控除の入力と給与所得、配当所得など簡単な所得のみの確定申告書作成を専属で行いました。不動産所得や事業所得の決算書を伴うものはやらせてはもらえませんでしたが、それでも相当な数をこなしたと思います。確定申告もゆっくり教えてもらえたのは一度きりで、それでもマシな方だとは思いますが、自分が何をしているのか咀嚼して理解する時間はなく、目の前の業務をこなすだけの日々でした。

この頃に正社員の同期が残業中に倒れて病院搬送されました。過労が原因だったようですが、入院してその後に退職していました。また、12月入社の未経験の方は研修がないまま担当を持たされ1週間で退職していました。ブラックな環境が露わになってきました。

この職場で正社員になることは私にとっては自殺行為に思えたので、早々に辞めようと考え始めました。官報合格後は正社員になりたいと就職面接のときに伝えていましたが、実情を知れば知るほど気持ちはどんどん退職に向かい始めます。

確定申告の繁忙期も終え、5月申告の準備が始まります。11月以降、会計入力や法人決算から離れていたので、法人の仕事の仕方を忘れ始めていました。5月申告は入力のボリュームが多く、また締め切りもタイトだったのでてんやわんやでした。初めての法人の記帳を任されましたが、期限までに終えれずに大勢のスタッフのいる中で怒られたこともありました。ピリついた雰囲気は会計事務所あるあるだと思います。

仕事のモチベーションも下がり、試験勉強優先だった私は、模試の成績が落ち始めたのをきっかけに退職することを上司に伝えました。アルバイトなのであっさり辞めさせてくれるかと思いきや、かなり粘って説得されました。ただ、一度決めたら聞かない頑固な性格なので、説得に応じることなく5月末に退職することになりました。

わずか9か月間のアルバイト生活でしたが、会計ソフトの大体の使い方を学べたかな、という感じです。お客様を担当することはなく、法人の記帳から申告書作成までをひと通り経験することもできなかったので、経験値としてはかなり低いものだったと思いますが、試験との両立を考えるとこの程度しかできなかったように思います。試験後にさらに多くの業務を任されたとしても、この職場の環境では体調を壊すのが目に見えていました。振り返って考えても辞めて正解だったと思います。

結局辞めてはいますが、会計事務所のアルバイトをしてよかったかと聞かれれば、良かったと答えます。9か月間でしたが一般的な会計事務所で経験できる内容は網羅したと思います。月10万円程度のお給料はいただけましたし、同期がたくさんできる職場はそうそう多くないと思います。体調を崩した同期もいましたが、漆黒すぎるブラック環境に耐えられるメンタルと体力が必要な業界であると知ることができました。1年間を通して仕事をしているわけではないので、正直わからないことだらけで身についたことも多くはありませんが、触りとしてはいい経験だったと思います。

こんな感じで、二社目、三社目の経験も書いていきたいと思います。

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