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カウンセラーのための社会構成主義入門その4(止)

 というわけで、カウンセリング業界で社会構成主義というと、社会構成主義を絶対変わらない固定的なものというよりも「見方を変えれば変わるもの」「クライエントの自己評価や自己の周囲の環境への評価の見方を変えることを支援するもの」として扱います。

 先の学校であれるAくんの例であれば、問題が起こっている状態(原因)に焦点を当てるのではなく、「問題が起こっていない、あるいは軽い時」に焦点を当てることで、Aくん自身の問題よりもむしろ環境の問題に
焦点を当てることができ、そうなるとAくん自身も自分が責められているという感覚が減り、支援者と協力体制を築きやすくなります。

 例えば「自信がないので行動できない」という学生が来たら、「過去に自信があったこと、あるい自信がないとは思っていなかったこと」「自信があってもなくても、これまで行動してきたこと」などを質問すればいいことになります。そうすると「自信がなくて行動できない(悪い)自分」に無駄に焦点を当てることなく話を進めることができます。
 もちろん話はそう常に簡単ではなく「これまでも行動できていなかった」という若者には「では未来に自信をつけるためにこれからどうしていくか」という問いに変える必要があるかもしれません。

 このようにカウンセリング分野の社会構成主義というのは「自分や自分の周りの環境の見方を変える手伝いをする」「過去現在に立ち止まっているクライエントに対して、「理想の未来は何か」を問う」技法の背景として理解されていると考えています。
 そしてその技法としては「問題を含まない語りを導くような質問、ワークを行う」ということが用いられているのだと思っています。

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