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マイケル・ホワイトとデイビッド・エプストンからキャリアカウンセリングのナラティブアプローチを考える

 マイケル・ホワイト(1948~2008)はオーストラリアのアデレード生まれ、1972年に結婚し、1979年に南オーストラリア大学で学士号を取得した後、小児病院で精神保健福祉士として働いていたそうです。1983年にダルウィックセンターを創設、ナラティブセラピーの創始者として知られています。
 デイビッド・エプストン(1944~)は、カナダのオンタリオ州生まれで19歳でカナダを離れ、1969年にオークランド大学で社会学と人類学の学士号を、エディンバラ大学でコミュニティ開発を学び、1976年にイギリスのワーウィック大学で応用社会学の修士号を取得し、ニュージーランドでソーシャルワーカーあるいは家族療法士として働いていたそうです。

 彼らは70年代後半から協力して、のちにナラティブセラピーと呼ばれる「家族療法技法」を開発しました。外在化、例外探し、スケーリング、ミラクルクエスチョンなどの技法が開発されています。
 繰り返しになりますが、ナラティブアプローチというのは自分の発言や行動を外在化し、「メタ認知」することがミソなんだと思っています。外在化で有名なナラティブセラピーですが、外在化とは例えば症状に「妖怪ぐずり虫」とか名前を付けて、「問題を持つクライエントが悪い、症状はクライエントの責任だ」ではなくて「妖怪ぐずり虫が悪いのであって、クライエントが悪いわけではない。クライエントとセラピストと一緒になって、妖怪ぐずり虫と戦おう」という感じで治療同盟を作りやすくするものです。ただナラティブセラピーでは当初の「外在化」が後期ではあまり重視されていないところには注目すべきと思います。外在化は必ずしも必須ではないのです。こういった点も難解さを感じさせるところではないかと思いますが、個人的にはそれは「技法の自由度」と呼んだほうがいいように思います(ルールが少ないほうができる人にはやりやすい)。
 でもこうした技法はあくまでサイコセラピー(心理療法)であって、カウンセリング技法ではないんですよね。もちろん使いようによってカウンセリングやキャリアカウンセリングでも使えますけれども。例外探し、スケーリング、ミラクルクエスチョンと同様の技法はワタシもキャリアカウンセリングで活用しています。

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