連載小説『ネアンデルタールの朝』㉑(第一部第4章-6)
6、
夜、布団に横になりながら、民喜は考え続けていた。
顔をゆがめて涙を流す母の顔が浮かんでくる。
「あなたたちの体が、心配なの」――
母の言っていたこと、あれは紛れもない現実なのだ、と思う。
翼がB判定になったこと。
同じようにB判定になった子どもが県内に2300人近くいること。
「帰れるわけねえべな」――
駿と将人の声がよみがえってくる。
「いつ帰れるんだ? それとも、もう帰れねえのか? はっきりしてくれ! はっきり教えてくれよ!」
思わずそう怒鳴ってしまった自分に対し、