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カタチ


それは、言葉では表せないものであったり、なかったりしていた。


形をもたない者だった。


ただ、そんなあなたが私の一部であればいいと思ったり、そうではないことに安心したりもした。


私にはあなたが見えるのに、誰もが、あなたをいない者にしようとした。


でもただ、私にあなたが見えるのなら、それだけでよかった。


二人だけでこの世界を終わらせたいと思ったり、誰かが、それに気がついてしまうんじゃないかと怯えて過ごしたりもした。


それでも、私は、あなたの手を握るだけで良くて、私たちはそれだけで少し、安心することができた。


あなたの存在が誰かに脅かされても、私だけがあなたを知っているのなら、それでいいと思った。


それを最低だと思うのは私だけで、あなたはいつも何も言わないでいてくれた。



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