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あなたの志望理由書は〇〇が足りない!慶應合格者がAO入試の本質から優しく解説します。

はじめまして!

今回はどのAO入試でも必要となっている「志望理由書」について詳しく紹介していきたいと思います!どの問題にも「正解」が存在している一般入試とは異なり、AO入試には正解がありません。みなさん1人ひとりが自分自身の「納得解」を作り出さなくてはならないのです。「本当にこの志望理由書で受かるのかな…」と迷っている方も多いのではないでしょうか?今回はみなさんのそうした迷いを取り除いていきます!

1.受験生の大半が当てはまるダメな志望理由書の典型例

自分の志望理由書を見返してみましょう。あなたの志望理由書はこんな感じではないでしょうか?

①国政選挙における若者の投票率が低いことは問題だ。投票率向上のためには主権者教育の拡充が必要だと思う。だからA大学法学部で〇〇論を学んでいきたい。
②性的マイノリティが社会から排除されていることは問題だ。そのためには同性婚やパートナーシップ制度を整える必要があると思う。だからB大学で〇〇論を学んでいきたい。
③今の日本の若者は自己肯定感が低い。これを改善するために教育を変える必要があると思う。だからC大学で〇〇学を学んでいきたい。

みなさんの志望理由書と大まかには当てはまるのではないでしょうか?以下の3点に注目してください。

⑴自身の興味・関心分野に関する「問題発見」

「国政選挙における若者の投票率が低いことは問題だ」「性的マイノリティが社会から排除されていることは問題だ」「今の日本の若者は自己肯定感が低い」の部分です。自分が大学で主に研究・学習していきたい(研究テーマ)ことに関する問題意識を述べることは欠かせません。

⑵問題を解決する方法の提示

自分の経験や書籍、ネットサーフィングなどで見つけた「問題解決」を提示することも欠かせません。「投票率向上のためには主権者教育の拡充が必要だ」「そのためには同性婚やパートナーシップ制度を整える必要だ」「教育を変える必要がある」の部分です。

⑶志望大学での学習計画

その研究テーマを研究・勉強する上で、「どのように大学で学んでいくのか」ということを書くことも必要です。例のような具体的に学ぶ学問領域を述べても、「〇〇コースにおいて◎◎を学び、特設科目の**で△△を学んでいく」といった凝った学習計画を書いても構いません。

多くのAO入試受験生はこの3つしか書きません。しかし残念ながらこれでは合格することができません。AO入試の本質を捉えていないからです。

2.AO入試の本質とは?

合格する志望理由書はAO入試の本質を捉えています。そもそもAO入試とはどういうものなのでしょうか。

「AO」とは、Admission Office の略称です。AO入試はそのAdmission Office が決めた「アドミッションポリシー(大学の受け入れ方針)」に基づいて試験が行われています。各大学のアドミッションポリシー似合った受験生を探し出すことがAO入試に課せられた至上命題になっています。

裏を返すと、AO入試を受けるみなさんは「アドミッションポリシーとマッチングしているのか」と自問自答し続けることが大切です。AO入試は一種の恋愛です。一方的に「これに興味を持っています!」「貴学で〇〇を学びたいです!」と欲望を伝えるだけではないです。志望大学が求めていることを軸に自分の主張を調整する・捉えなおす必要があります

3.志望理由書に必要なたった2つの要素

では、志望理由書において大学側に「この人に来てもらいたい!」と思ってもらうために必要なことはなんでしょうか。大きく2つあります。

①あなたがその研究テーマを扱わなければならない必然性

そもそもみなさんが「合格したい!」「進学したい!」と思っている大学は研究機関です。決して勉強がメインのところではありません。

それでは研究と勉強の違いはなんでしょうか。これを見てみましょう。

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まず、「知のフロンティア」があるとしよう。こちら側には、人類が現在知ってる「既知」の領域が、そして向こう側には、人類がまだ知らない「未知」の領域が広がっている。これから研究を始めるとき、当然、僕らはフロンティアに立っているわけもなく、そこから遠いところにいるだろう。そして、少しずつ知識をつけて前に進んでいく。そしてあるとき、フロンティア・ラインの一地点に到達するだろう。このようにして、既知の領域を進んでいくことを「勉強」という。
これに対し、「研究」というのは、まったく異なるアクティビティだ。研究とは、フロンティアからさらに一歩前へ進み、既知の領域を広げるということ。ここで重要なのは、かならずフロンティアを開拓しなければならないということだ。すでに開拓されているところで、新たに開拓したとしても、それは「車輪の再発明」であり、研究にはならない。「研究とは、先端領域で創造を行うこと」なのだ。

▶︎参考:「研究」と「勉強」の違い

これは慶應義塾大学の井庭崇教授のブログから引用しました。「大学は研究機関である」という前提に立てば、大学受験生は「先端領域」に達しているか、またそれに資する人財である必要があります。特にAO入試受験生であるみなさんは「研究の領域に踏み入れていこうとする姿勢」が求められています。その姿勢が本物であるか否か、志望理由書や面接、小論文試験など様々な方法で見極めているのです。

そのため、「あなたがそのテーマを研究する妥当性」をしっかり伝える必要性があります。

例えば、

①国政選挙における若者の投票率が低いことは問題だ
②性的マイノリティが社会から排除されていることは問題だ。
③今の日本の若者は自己肯定感が低い。

といったように、ただ自分の興味関心を伝えるだけではなく、

①私は多くの政策立案・提言に携わり国政選挙のマニフェスト掲載にも成功した。国会議員へ政策提言を行った際、「今の日本の若者は選挙に行かないため、政策を実現するインセンティブがない」と言われた。選挙における若者の投票率が低いことは政策決定における非常に重要な問題だ。
②当事者として、精神的苦痛や社会的排除を肌で感じてきた。
③生徒1人ひとりが夢に向かって主体的に動けるよう、キャリア教育の観点から支援してきた。しかし、日本全体を見渡すとまだまだ自己効力感を得ている若者が少ない。

といったように、自分自身の体験や当事者性に言及し、「研究の領域に踏み入れていこうとする姿勢」があることを伝えるとより一層、志望理由書は良くなります。

ポイント!

・合言葉は「他者との差異化」、原体験や活動実績に基づいて志望理由書を書こう。研究は「先端」だ!
・一般的に言われている問題解決策ではなく、自分自身の観点に基づいて書こう。研究は「創造」だ!

②この大学でないといけない必然性

例えばみなさんが法学部志望だとしましょう。日本にはたくさんの大学に法学部があります。関東だけでも慶應義塾大学法学部・早稲田大学法学部・中大学法学部・青山学院法学部などなど...。極論、法学という1つの体系化された学問領域を勉強・研究するためならばどの大学でも構いません。なぜあなたはその志望大学に拘るのでしょうか?

AO入試の本質は「マッチング」、それも「この大学じゃないとだめなんだ」という所まで突き詰める必要があります。好きな人に「顔面偏差値が高いって言われてるからあなたがいい」と伝えたら殴られます。「あなたじゃないといけないんだ」と伝えるべきです。

では、マッチングをするためにはどうすれば良いのでしょうか。

その大学でしか得られない学び」を盛り込みましょう。具体的には、その大学にしか設置されていないカリキュラムや研究機関です。

例えば、

①だからA大学法学部で〇〇論を学んでいきたい。
②だからB大学で〇〇論を学んでいきたい。
③だからC大学で〇〇学を学んでいきたい。

といったように、ただみなさんが学びたいことを取り上げるのではなく、

①1年生から研究会に入ることができるA大学で、4年間を通じて〇〇論に関する知見を深めていきたい。
②専門的な研究を行なっており、政府有識者会議にも出席されているX教授のもとで〇〇論について学んでいきたい。
③Y研究室が設置されるほど、先端的な研究が行われて研究蓄積がたくさんあるC大学において〇〇学について学んでいきたい。

といったように、「その大学でしか得られない学び」を盛り込みましょう。“大学ブランド”への憧れがスケスケだったり、「学びたい学問領域を取り扱っているから」といった“軽い理由”しか書いていないのでは、「ぜひ来てもらいたい!」と思ってくれるでしょうか。

ポイント!

・「その大学でしか得られない学び」に着目し、「この大学でないといけない必然性」を高めましょう。
・具体的には、教授や研究会、研究ラボを要所要所に取り上げると良いです。

4.最後に

今回は志望理由書で求められる要素をAO入試の本質から解説しました。それではまた次回の記事でお会いしましょう。

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