金融投資と自己投資

 こんにちは!

 今日はお金の使い方について、最近感じていることを書こうと思います。FIREという言葉が数年前に流行りましたよね。今の生活の中で節約をしつつ、浮いたお金は積立投資に回して、経済的な自立(Financial Independence)を成し遂げ、早期引退(Retire Early)を目指すというアレです。
 僕も結構興味があって、書籍も何冊か読みました。だけど、過度な節約を通してFIREを達成することについては、正直イマイチなのでは?という結論に達したんですよね。

 理由は2つあって、ひとつは若いときの時間を犠牲にし過ぎている点です。FIREは複利の力を使って資産形成をすることになりますが、普通の人は長期投資が前提です。それはすなわち、若いときに使えるお金の大半を、将来の経済的自由のために投資するということを意味します。
 僕はここが結構致命的だと思っていて、いち早く経済的な自立を達成したいがために、若いときに得られる経験をどんどん犠牲にしてしまう怖さがあるなと思っているんですよね。
 知識や経験は、お金と同じように複利の力が利きます。そしてそれは人生すら変えうる可能性があり、お金が生み出す複利の力よりも、はるかに利回りがいい。一方で現時点で得られるはずの知識や経験を、金銭的な制約のために長期にわたって先延ばしにすることのリスクというものは、計り知れません。場合によっては、人生の時間でかなり重要な前半部分のうち、相当程度の割合を放棄してしまっていることにもなりかねません。

 もう一つの理由は、将来の不確実性です。長期分散投資は、経済の持続的な成長を前提としています。S&P500なら米国の成長に投資していることになりますし、全世界株式(オールカントリー)の場合は、世界全体の成長に投資していることになりますよね。しかし、それはあくまでも、今ある世界の延長線上に未来があるという重要な仮定のもとに、投資の意思決定をしていることになるはずです。しかし、そうなる保証はどこにもないというのも、また事実。
 「歴史的に見れば経済は成長し続けている」という意見もあるかもしれませんが、かのガンディーは以下のようなことばを残しています。

歴史を学んで分かるのは、今まで歴史で起こったことのないことが、未来永劫起こらないとは限らないことです。

マハトマ・ガンディー

 ガンディー以前は、暴力を伴わない社会変革というものがなかったわけですが、彼はのちに「非暴力・不服従」を掲げて、イギリスからの独立を勝ち取ることになります。当時の社会ではあり得ないことが起こったんですね。

 このように、人間の認識というものは、今ある現実から強いバイアスを受けて駆動しています。未来に何が起こるかなんて、そもそも予測不可能なはずなんですが、人間はなぜかそれができると思い込んでいる。

 そんな予測不可能性の中で生きている我々が、自己を軽視して他者にフルベットするということ自体、大きなリスクをはらんでいます。万が一、持続的な経済成長という前提が崩れた場合、自分で生きる術を持たないまま、延々と株式に投資してきた人はどうなるでしょうか。

 僕はFIRE自体には否定的ではありません。だけど、自分の価値を軽視するのは非常にもったいないことだと思うんですよね。自分に対して、もっと時間とお金をかけてあげれば、きっと今とは違う何か新しいことができるはずなんです。

 人間の力というのは、本来もっと多様性に富んでいて、強力なはず。それを全く活かせていない社会に、大きな問題があると思っています。そういった課題を、どうにか解決できないか、これからも考えていきたいなぁと思っています。

 お金の使い方から少し話が外れてしまいましたが、僕が言いたいのは、金融商品ではなく、もっと自分に投資してもいいんじゃない?ということです。
 それではまた!

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