久米田先生、何やってんすか。

  先日「踊る!さんま御殿!!」に久米田康治先生がご出演されていて、大層驚いた。久米田先生といえば「かってに改蔵」「さよなら絶望先生」「かくしごと」などを代表作に持つ漫画家だ。
 一番最初は担当編集者さんのツイートによって知ったんだけど、ちょっとだけ映像が流れるとか、番組内で紹介されるとか、そういうレベルなんでしょ?出演ってまた大げさな、と思っていた。

 ここで久米田先生のことを知らない人のために少しだけ触れておこうと思う。久米田先生といえば非常にネガティブで、特に「さよなら絶望先生」連載時は自虐があまりに強烈で、この人大丈夫かなぁ?と不安を覚えるくらいの人物だった。自分をゴミムシと卑下し、人との関わりを極力避けたがる節もあるようにみえていた(あくまで読者目線だが)。

 それゆえにテレビ出演だなんてびっくりどころの話ではない。だってそこは久米田先生が最も苦手とする場所じゃなかったんですか?テレビはテレビでも、漫画ファン向けの番組じゃないんですよ?芸能界の頂点に君臨するおしゃべりモンスター、明石家さんまさんの御殿ですよ?

 もう、こっちとしては気が気でない。『あの子は漫画を読まない。』に出演したときとは話が違うのだ。こっちはこっちで出演の話を耳にした時は驚いたものだが、それでもまだかろうじてホームの雰囲気は漂わせてくれている。陰陽比率は3:7くらいだ。それが今回はどうだ。もう0:10で陽に偏っているのは誰の目にも明らかである。大丈夫なのか久米田先生。陽の波動に焼かれて消えてしまわないか。生きて帰ってこれるのか。

 で、迎えた当日。僕はテレビを持っていないため、やや遅れてTVerで放送を視聴したんだけど、最初の感想は「久米田先生、ほんとに出てる・・・(笑)」である。先生本人がめっちゃ嫌がりそうなリアクションをしてしまった。でもそうなるじゃん。あの久米田先生ですよ?

 案の定、借りてきた猫のようで、メインのトークにもほぼ絡むことなく、おそらく今回のテーマに関するエピソードもカットされていた。しかし、ただで終わらないのが久米田先生だ。ほとんど喋っていないのにちゃっかり「踊るヒット賞」はかっさらい、きっちりオチをつけるあたりが、非常に「らしい」結果となった。

 思えばこの人は単行本の著者近影で全裸になったり、講談社漫画賞の受賞パーティの二次会で生前葬を執り行ったり、度胸あるなぁ〜って感じることを平気でやるタイプの人物でもあった。そう考えると、ゴールデンのテレビ出演も突飛ではあるが、不思議ではないとも言える。

 何はともあれ、僕は地上波で喋っている久米田先生が見れてよかった。その事実だけでもう面白いし、なによりお元気そうでよかった。現在、週刊少年サンデーで絶賛連載中の『シブヤニアファミリー』も非常に面白い作品なので、興味のある方はぜひ読んでいただきたい。


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