マイクロコンバージョンで機械学習を促進!それ、本当にうまく使えてる?
※この記事は中級者向けの記事です。
自動入札を使ってみたい!でも機械学習ためのCV数が足りない…
運用型広告には人間が自らの判断のもと入札調整を行う通常の入札戦略に加えて、機械(AI)に統計データを学習させ、入札調整を機械に行わせる「自動入札」があります。
GoogleやYahooをはじめとした媒体社も「ぜひ自動入札を活用しましょう!」「自動入札が最適化されればCPAが改善しますよ」と自動入札の活用を推奨しています。
こうした背景があるため、各広告主・広告代理店で「いかに自動入札を活用するか?導入するか?」ということが議論されることが増えています。
しかし、これらの議論の際に同時に課題になるのが「機械学習には学習を担保するデータ量が必要」ということです。
というのも、運用型広告で使用されるAIはある程度のデータを学習させなければ、自動入札の精度が向上せず、思ったようなパフォーマンスをしてくれません。
なので「AIに精度の高い入札をさせるために、いかに多くの質の良いデータを学習させるか?」ということが課題になります。
そして、この「多くの質の良いデータ」を集めることが意外と難しいです。
特にコンバージョン(CV)を最適化させる自動入札「目標CPA」「CV最大化」を活用する際に「CV数が少なくて機械学習の精度が上がらない!だから自動入札が使えない!」という大きな壁が立ちはだかります。
※目安として30日で30CV以上のCVがなければ自動入札の精度は向上しないといわれています。
CV数が足りなければ、マイクロCVで機械学習を促進だ!
こうした「CV数が少なくて機械学習が進まない!」という課題をう回する方法としてよく用いられるのが「マイクロCV」を使った機械学習の促進です。
マイクロCVとは「”問い合わせフォーム到達”をCVとしてカウントさせる」といった方法などで、本来のCVポイントと違う地点にCVポイントを設定することです。
マイクロCVを設定することで、フォームや特定のページに到達するだけで管理画面にCVが蓄積されるため、実際のCV数が少なくても「目標CPA」や「CV最大化」といった自動入札を使えるようになります。
マイクロCVで確かにデータは溜まる!…けど気を付けることもある
マイクロCV導入には下記の2つのことに気を付ける必要があります。
適切な個所をCVポイントに設定すること
CV内容の管理指標が増える
1.適切な個所をCVポイントに設定すること
マイクロCVを設定する際に「フォーム到達まで来るユーザーは問い合わせする意思のあったユーザーだろう」と仮説を立てて設定することが多いです。
CVまでのサイト内動線上には必ず問い合わせフォームが存在するため、一見すると正しく確率の高い仮説のように感じます。
しかし「問い合わせフォームまで到達するユーザー=CV見込みの高いユーザー」と本当にいえるのでしょうか?
ざっと思いつく限りでも、フォームまで到達するユーザーには下記のようなタイプが想定されます。
本気で問い合わせするつもりのユーザー
なんとなくサイトの全体の情報を見に来ているユーザー
サイトの使い方がわからず、迷った末になぜかフォームに到達したユーザー
などなど
例えば、フォームまで到達するユーザーが20%いたとしても、サンクスページまで到達するユーザーがそのうちの5%程度だとしたら、フォーム到達は確率の高い指標とは言えません。
このようにフォーム到達ユーザー=CV見込みユーザーと言い切れないため、マイクロCVを設定する前に「この行動をとったユーザーは本当に見込みの高いユーザーだろうか?」と深く検討する必要があります。
この検討の際には必ずGAを確認したうえで設定すべきです。
ユーザーエクスプローラや行動フローなどでデータを確認したうえで、信頼のおける仮説をもとにマイクロCVポイントを設定すべきでしょう。
2.CV内容の管理指標が増える
マイクロCVを設定することで、これまでに管理していた最終CV以外にも管理すべき指標が増えます。
指標が増えることで、レポーティングの際にマイクロCVを除外するなどの手間が増えるため、想定以上に工数が発生する可能性があります。
(意外とこういった細々した手間が時間を奪ったりします)
また、自動入札の学習にマイクロCVを活用する場合は、CV列に含める設定をするなどの処理を忘れないようにしましょう。
手段の目的化には気を付けよう
ここまで「CV数が足りなくて自動入札が機能しないからマイクロCVを使う」ケースについてお話してきました。
しかし、改めて考えてみると「自動入札を使うこと」が主目的になっていませんか?
そもそも広告運用の本来の目的は何だったのでしょうか?
多くの場合は「反響(CV)を獲得すること」を目的に運用型広告を使っているはずです。
そして、自動入札はCV獲得のための一つの”手段”でしかありません。
本来の目的を忘れて「自動入札を使う!」といった「手段の目的化」が起こると、かけるべきでない箇所に時間やエネルギーを使ってしまい、成果改善につながる重要なところに手が入らなくなります。
これでは本末転倒でしょう。
CV獲得のために自動入札を使うことが合理的か?
実は人間の手で運用調整をしたほうが良いんじゃないか?
広告運用の問題ではなく、実はサイトに大きなボトルネックはないか?
というところまで検討のうえで、導入の可否を判断をしましょう。
まとめ
自動入札にはAIに学習させるだけのデータ量が必要
商材・サービスによっては機械学習に十分なCV数が担保できないケースがある
CV数が担保できない場合、マイクロCVを使うことがある
マイクロCVは決して精度高く運用できるとは限らない
マイクロCVを使うことで工数増加のリスクがある
「自動入札を使うこと」を目的にしない!
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この記事でも紹介したように、近年は自動入札の活用に加えて、サイトの表示速度、ユーザービリティなど広告以外の領域まで改善しなければ、CV獲得増加・CPA抑制を実現することが難しくなっています。
つまり、リスティング広告だけでなく、GAやタグマネージャーまで含めた複合的な視点での分析・改善施策展開の重要度が高まってきているのです。
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それではまた次回!
Written By K/M