地獄組取り付けプロジェクト -進行の様子編-
こんにちは、ND3MのAZUです。
今回は、Emarf学生アンバサダーとして取り組んでいる地獄組取り付けプロジェクトの概要をまとめていきます。全体の流れを紹介していなかったので、概要といいつつかなり長くなってしまいましたが、このプロジェクトが何をやっているのか、わかっていただけるのではと思います。
具体的な設計やEmarfの操作などについては、ほかの記事で紹介していきます。
関連noteはこちらのマガジンにまとめていきます。
地獄組取り付けプロジェクトとは
構造設計やコンピュテーショナルデザイン、BIM、生産設計などの業務を専業とする株式会社ディックス様のオフィス天井に、愛知県芸術大学の学生が制作した地獄組の作品を設置するプロジェクトです。ND3Mとして初めて、施工まで実際に行います。
こちらの木組みを、奥の天井に固定します。
地獄組は、隈研吾氏がスターバックス太宰府天満宮表参道店や、サニーヒルズ南青山で用いられていることで有名です。
プロジェクトの開始は2月からですが、設計に苦戦したり、某ウイルスの影響などでなかなか進めることができていませんでした。
そんななかで、ND3MとしてEmarf学生アンバサダーを務めさせていただくこととなり、最初に目をつけたのがこのプロジェクトです。
詳しいことは後述しますが、Emarfを使えば自由な形状で部材を制作でき、今回のようなすべてが異なる寸法の部材を大量につくる場面にもってこいで、さらには施工を簡単にする工夫もできます。
Emarfを用いることで、これまでプロジェクトの遅延の原因となっていた問題から解消され、スムーズにすすめることが可能となりました。
プロジェクトの流れ
構想から現在まで、どのように取り組んできたかを紹介します。
・デザインの案出し
まずは、地獄組と設置予定の天井部分を3Dモデルにします。
こちらはスタッフの方がイメージをGrasshopperのみでモデリングしてくださったものです。これを参考にしながら、ブレースや照明なども実測、モデリングし、この中に配置をデザインしていきます。
メンバーで案を出し、4パターンに絞りモデリングしました。
このデザインをクライアントに提案し、デザインを検討します。
・VRを用いたデザイン検討
こちらについては、別noteに詳しくまとめてあります。
VRで空間を体験してもらい、ベースとなるデザインを決定しました。
・Grasshopperで配置の調整
デザインの大枠は、こちらに決まりましたが、さらに配置を検討するため、Grasshopperで間隔や角度を調整できるようにし、デザインを詰めていきます。
そして、最終的なデザインはこちらに決定。
奥に行くほど幅が狭くなり、奥行き感が強調されます。
しかし、このデザインを実現するために検討を進めていきますが、問題点が山積みなことが発覚します…
・固定方法の検討
配置パターンが決まったので、具体的な固定方法を考えていきます。
天井には、照明やブレースなど、設置の障害になるようなものがたくさんあるので、これを避けながら、地獄組を活かしたデザインをしたいところです。
考えていたスケッチの一部です。天井に固定するということで、揺れたりして落下することのないような方法ということで、ワイヤーと吊りボルトで吊るして固定するなどを考えていました。しかし、干渉しないようにするためには部材の長さを一本一本調整する必要があったり、地獄組本体にもかなり加工する必要があるなど、施工時の問題が多くあることがわかりました。(前から気づいてはいましたが、いい案がでてなんとかなるだろう、がなんとかならなかった状態ですね。)
他の配置案の場合、その問題が少ないものもあるため、他のデザインに変更しようか、なども考えていたところ、目をつけたのが、EMARFでした。
なぜEMARFが適しているか
今回、EMARFを用いたのは、次のような利点があると考えたためです。
・複雑な形状の加工ができる
・オンラインで設計から発注までが完結する
・費用が明確である
・慣れ親しんだ木材である
・施工を簡単にする工夫ができる
・とにかくわかりやすい
こちらに関しては、設計編noteで詳しく説明していきます。
部材の設計・試作品の発注
こちらも、詳しくは設計編を参照してください。
EMARFを使うと決まれば、EMARFで実現できる形を考えながら、固定する部材を設計していきます。EMARFの自由度と加工の制限もあり、だんだんと見通しが立ってきました。
地獄組の形状を活かしながら、施工も簡単になるような形をデザインしました。デザインがある程度決まったので、全20本中最初の1つ目を試作品として発注することにしました。
取り付けてみたところがこちら。実際に設置してみると、問題点や、もっとこうしたい、というものも出てきたので、設計をブラッシュアップしていきます。
今後の予定
現在進行しているのはここまでです。次はすべての部材のデータをつくり、いよいよ施工となります。
ここで、高所での作業が必要なこと、そして天井に取り付けるということもあり、施工をND3Mのみで行うのではなく、大工さんにアドバイスを受けながら、足場を組むなどしながら施工をしていくということになりました。
また、今回のチャレンジとして、ARを用いた施工支援を考えています。
複雑に入り組んだ形状で、取り付け位置もまちまちなため、Hololensを活用し、部材の位置をあわせながらの施工ができないかと計画しています。
9月までにすべての施工が終了することを目標に取り組んでいきます。
プロジェクトの様子はTwitterとnoteで発信していくので、よろしくおねがいします。
文責:AZU