第3回大文研実態調査(後編)~ソシャゲに関する調査~
大衆文化研究会(以下、大文研)の部員の実態を明らかにするための「大文研実態調査」の結果について紹介する記事です。これで4つ目の記事です。
第3回大文研実態調査では、鬼滅の刃とソシャゲに関する調査を行いました。先日投稿した前編の記事では「鬼滅の刃」に関する調査の結果を書きました。
後半の記事では「ソシャゲ」に関する調査の結果について書いていこうと思います。
序論:「ソシャゲ」の定義と歴史
まずは「ソーシャルゲーム (ソシャゲ)」の定義から考えてみたいと思います。国語辞書で意味を調べました。
ソーシャル‐ゲーム【social game】
主にパソコンや携帯電話のSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)で提供されるゲームの総称。ソーシャルアプリケーションの一種。SNSを通じて複数のプレーヤーとコミュニケーションをとり、協力や競争をしながらプレーできるなど、オンラインであることの特性を生かしたものが多い。ふつう、特別なアプリケーションソフトは必要とせず、ブラウザー上で楽しめる。
出展:デジタル大辞泉 (小学館)
この定義に従うと、SNS上で提供されるゲーム(GREE、Mobageなど)だけがソシャゲとなります。しかし一般的にはGoogle PlayやApp Store経由でインストールするアプリ(ネイティブアプリ)のゲームもソシャゲと呼ばれることが多いです。そのため、本稿ではネイティブアプリも含め主にスマホで遊ぶゲームをソシャゲと呼ぶことにします。
次にソシャゲの歴史について簡単に振り返りたいと思います。日本において「基本プレイ無料+アイテム課金制」というモデルを確立し、元祖ソシャゲとも言われているのが、2007年にリリースされたグリーの「釣り★スタ」です。現在もサービス提供中です。
ガチャのシステムを初めて導入したと考えられているのが、2010年にリリースされたコナミの「ドラゴンコレクション」です。こちらも現在もサービス提供中です。
2011年にはスマホの出荷数がガラケーの出荷数を上回り、スマホの普及が急速に進みます。2012年に「パズル&ドラゴンズ」が既存のSNSプラットフォームを介さずGoogle PlayやApp Store経由で大ヒットします。これ以降、スマホ用のゲームが中心となっていきました。
歴史については以下の「日本モバイルゲーム産業史」を参考にして書きました。
2019年には、スマホゲームの国内市場は約1.21兆円、スマホゲーム人口は1,866万人に達しています。
このように多くの人が遊んでいると思われるソシャゲの利用状況を調べることは重要だと考え、調査を実施することにしました。
方法
【目的】大文研部員がどのソシャゲを遊んでいるかを明らかにするため。
【調査方法】Googleフォームによるオンライン調査
【調査内容】遊んでいるソシャゲ/課金方法
【調査期間】2020年11月24日(火)~2020年12月20日(日)
【回答率】53%(部員49人中26人が回答)
ソシャゲの利用率の回答は不自然なものが1人分あったため、除外して25人の回答で集計しています。
調査対象ソシャゲの選定
今回の調査を実施するのにあたって、一番大変だったのは「どのソシャゲの利用率を調査するか」という点です。
少し古いですが、App Annieのレポートによると2018年までにGoogle Play内でリリースされたゲームのアプリは160万本を超えています。
世の中には膨大な数のソシャゲがリリースされており、すべてのソシャゲについて利用率を調査することは困難です。そこで、人気が高いと思われるソシャゲを選定して調査することにしました。選定基準は以下の通りです。
①2019年の消費支出額(≒課金額)が上位のゲームアプリ
以下の記事に掲載されている、App Annieの「モバイル市場年鑑 2020」を参考にしました。
②2020年上半期(1月~6月)の月間利用者数の平均が上位のゲームアプリ
App Apeが集計したデータを参考にしました。
総合ランキングは以下の通りです。
音楽・リズムアプリのランキングは以下の通りです。
③そのほかのゲームアプリ
①・②に関連するアプリ、最近の売上・ユーザー数、話題性、部員からの意見などを参考にして、筆者が独断と偏見で選んだものです。
①10個、②14個、③26個の計50個のソシャゲを調査対象としました。
結果(1):ソシャゲの利用率
①2019年の課金総額が上位のソシャゲの利用率です。
「Fate/Grand Order (FGO)」を遊んでいる人が20%強で、この中だと最も多いです。「パズル&ドラゴンズ (パズドラ)」や「モンスターストライク (モンスト)」は以前インストールしていた人が多いです。
②2020年上半期の利用者数が上位のソシャゲの利用率です。
「アイドルマスター ミリオンライブ! シアターデイズ (ミリシタ)」を遊んでいる人が20%強、「バンドリ! ガールズバンドパーティ! (ガルパ)」と「アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ (デレステ)」を遊んでいる人がそれぞれ20%弱で比較的多いです。
「どうぶつの森 ポケットキャンプ」は以前インストールしていた人が多く、現在遊んでいる人は少なめです。
③そのほかのソシャゲの利用率(前半)です。
「アイドルマスター シャイニーカラーズ (シャニマス)」を遊んでいる人が2割強で多いです。「刀剣乱舞」、「#コンパス【戦闘摂理解析システム】」を遊んでいる人もそれぞれ10%程度いて比較的多めです。
「ぷよぷよ!!クエスト」は以前インストールしていた人が多いようです。
#コンパス【戦闘摂理解析システム】はMOBA(マルチプレイヤーオンラインバトルアリーナ)に分類されるゲームです。先程の「日本モバイルゲーム産業史」では、日本で多くのMOBAが短命で終わる中、「#コンパス」は日本単体でも運営可能な収益を得ることに成功したと評されています。
③そのほかのソシャゲの利用率(後半)です。
2020年9月にリリースされた「プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク (プロセカ)」を遊んでいる人が20%強で多いです。2020年3月にリリースされた「ディズニー ツイステッドワンダーランド (ツイステ)」を遊んでいる人も15%程度で多めです。
一方、2020年10月にリリースされた「D4DJ Groovy Mix (グルミク)」を遊んでいる人はいませんでした。カバー曲に80年代や90年代の曲を多く取り入れており、我々より上の年齢層の方がユーザーが多いのかもしれません。
「よく遊んでいる」または「たまに遊ぶ」の回答を「遊んでいる」と定義して、現在遊んでいる人が3人以上のソシャゲを集計すると、以下のようになります。
6人(24%)
Fate/Grand Order (FGO)、アイドルマスター ミリオンライブ! シアターデイズ (ミリシタ)、アイドルマスター シャイニーカラーズ (シャニマス)、プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク (プロセカ)
4人(16%)
バンドリ! ガールズバンドパーティ! (ガルパ)、アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ (デレステ)、ディズニー ツイステッドワンダーランド (ツイステ)
3人(12%)
刀剣乱舞、#コンパス【戦闘摂理解析システム】
遊んでいる人が多かったこれらのソシャゲについて、男女別解析を実施しました。
男性の方が特に多いと考えられるのが、ミリシタ、デレステ、シャニマスです。
女性の方が特に多いと考えられるのは、プロセカ、ツイステ、刀剣乱舞です。
プロセカは女性での利用率が圧倒的に高いです。ネット上でも女性ユーザーが比較的多いことが指摘されていますが、リリースされたばかりのゲームでユーザー層に関するデータがまだないので、データが出されたらこの件については検討を深めたいと思います。
続いて、この50個の選択肢以外でよく遊んでいるソシャゲ(現在もサービス提供中)を自由記述で挙げてもらいました。
「クラッシュ・オブ・クラン」が2人回答されていたのを除くと、どのゲームも1人だけの回答でした。特定のジャンルに偏ることなく、幅広い回答がありました。
最後に、よく遊んでいたサービス終了したソシャゲを自由記述で挙げてもらいました。
結果(2):課金の方法
ソシャゲで課金する際の方法について質問しました。
課金を経験したことがある人が約半分でした。課金方法で最も多かったのは、POSAカード(App Store & iTunes ギフトカード、Google Play ギフトカードなど)でした。
まとめ
今回の調査で明らかになったことをまとめると、以下のようになります。
1.世間で人気があると考えられているソシャゲのうち一部は大文研でもある程度普及していたが、多くはあまり普及していない。
2.大文研で最も利用率が高いソシャゲでも、利用率は25%程度である。
3.女性部員のプロセカの利用率がとても高い。
4.約半分の部員が課金を経験したことがある。課金方法で最も多いのはPOSAカードだった。
今回の調査で、現在1つ以上のソシャゲを遊んでいると回答した部員は88%でした。一方で最も利用率が高いソシャゲでも、その利用率は25%程度でした。よく遊ぶソシャゲが自由記述欄に多く挙げられていたことも考慮すると、大文研部員は他の人に合わせるのではなく、各々の興味に基づいて遊ぶソシャゲを選択している傾向が強いと考えられます。
アイドルマスター関連のソシャゲ(デレマス、Mマス、デレステ、ミリシタ、エムステ、シャニマス)を少なくとも1つ遊んでいる部員の割合は男性の方が高く、過半数を占めていました。(男性:58%、女性:17%)
ラブライブ関連のソシャゲ(スクスタ、スクフェス)を少なくとも1つ遊んでいると回答した部員は女性だけでした。(17%)
今回の調査ではソシャゲの利用率だけを調査しています。近年では、ソシャゲだけではなく、音楽、ライブ、舞台、アニメ、漫画、小説など様々な媒体で展開されるメディアミックスが増えてきています。そのため、このソシャゲの利用率だけでそのコンテンツを見ている人がどれくらいいるかを判断するのは難しいと考えています。
おまけ:2021冬アニメ人気投票
dアニメストアが「2021冬アニメ人気投票」を実施していました。(投票期間:12/25~1/1)
以下が総合ランキングの1~5位を抜粋したものです。
1位:転生したらスライムだった件 第2期 9,637票
2位:Re:ゼロから始める異世界生活 2nd season 後半クール 7,300票
3位:はたらく細胞!! 6,064票
4位:五等分の花嫁∬ 5,675票
5位:ゆるキャン△ SEASON2 5,548票
全体的にシリーズ物の第2期以降の作品が上位を占めています。筆者は何を見るかはまだ決めていません。(2020秋アニメですが、)まずは複数の友人から薦められた「呪術廻戦」を早く見ようと思います。(Amazonプライム・ビデオなどで視聴可能です。)
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
(文責:ざっくぅ)
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