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子育て#17息子の事~迷子~

主人がまだ会社員だった頃の話。

忘年会で遅く帰って来る予定だったあの日は、何時もよりちょっと遅めの就寝でも良いかなとTVでもと思い付けてみたのだった。チャンネルを回すと宇宙ステーションの様な壮大な映像が飛び込んできて息子が「これが見たい」と目をキラキラさせていた。

息子2歳。

その映像は『スター・ウォーズ』だった

私はそれまで名前こそ知ってはいたが見たことがなかった。息子本人が楽しそうだからまあいいかと見始めたのだが私にはちょっと退屈で暫く見ていたら寝てしまっていた。

まさか2時間以上の映画とは知らずに。

はっと気付けば時計は夜11時をとっくにすぎていたのだが『スター・ウォーズ』はまだ放送があっていた。

息子はなんと更に身を乗り出して真剣に見ていて…私には無い、何かを感じた

私の脳とは作りが違う…

もちろん、今でも息子はスター・ウォーズが大好きらしい。



そんな息子が少しだけ大きくなって下に妹が出来てお兄ちゃんになった。

赤ちゃんがえりもしたし「妹がとった~」「妹がこわした~」とごく当たり前の兄弟のアレコレも経験していた。

そんな頃に家族4人で市民の森へ遊びに行ったのだがその時の事は忘れられない。


私は娘を抱っこ紐で。

息子は主人が主に見守りながら涼しい森の中に。

「川のせせらぎが冷たくて気持ち良いね」

「こんな形の葉っぱがあった」

「ツルツルの石だ」

など自然と戯れ癒されてすごしていた。


そんな幸せな時間が一瞬で凍りついた。

息子は?何処?

辺りを見回してもいない。

此処は森の中。

木の後ろに行ってしまうとすっぽり隠れてしまう100cmの身体。私達を見失い探して森の奥へ行ってしまったのか。

どうしよう。

何処にもいない。

パニックになった。

じっとしていても仕方がない。

総合案内所へ行って、相談しようか。

主人とそんな風に話しあい、焦っている処に。


♬ピンポンパンポン♬

「○○君のお母様お父様、○○君が探しておられます。至急、総合案内所までお越し下さい。

繰り返します。

~○○君のお母様お父様~」との

アナウンスが森に響き渡った。

主人と私は顔を見合せ、息子だよね!とびっくりしながら慌てて5分程戻った所にある総合案内所へ向かった。

息子がいた。

眉間に皺を寄せ思い詰めた様子の息子が。

「すいません、本当に助かりました。ありがとうございました」とスタッフの皆様にお礼を云い、改めて息子の様子を聞いた。

スタッフの方から聞いたのは

息子は1人で総合案内所に来て。

「お父さん、お母さんがいなくなったから来ました」と云ったそうだ。

泣いてもおらず冷静で。

まるで困った親だと云うように。


しかし、本当に良かった。

無事でいてくれて。

そして頭のよい子で良かった。

最初到着してすぐの時、此処に案内所があるねーと話はしたものの、迷子になってしまうなんて一欠片も思っていなかった。

息子の中でこの場所がきっと重要な場所としてインプットされたのだろう。自分のピンチを救ってくれるかもしれない場所として。

私達両親を見失ったと思った瞬間、1人で探すのではなくて助けを求める判断をしてくれた。そして総合案内所がどちらの方角にあるのか理解していた。

息子がまだ幼稚園年少、5歳の頃の出来事だった。

全てが有り難く、ほっとして、力が抜けてしまいその後その日は自宅へ帰り、ゆっくり過ごした。

自宅へ帰ってから息子に聞くと、

「気が付いたらお父さんもお母さんも何処にもいないんだもん、探してもらわなくちゃ困ると思ってあそこに行った」



ずっとずっと息子の事が大好きだ。

無事でいてくれて良かった。

全てに感謝をします。

ありがとうございます。


読んで下さってありがとうございます

今日も明日も良いことがありますように(ひまわり)