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#003 言語習得と音楽(前編)

こんにちは。ノイジークローク藤岡です。

今回は「言語習得と音楽の関係」について書いてみたいと思います。かなり長くなってしまったので、前後編に分けたいと思います。今回は前編です。

私はベネズエラ人のハーフということと、フランス留学していたということと、大学で言語学等を専攻していたこともあり、多少専門的な話も交えて話せる言語はそのうち4か国語くらいですが、計10か国語くらいはかじってきました。多分かなり言語に触れてきている方だと思うので、その目線から、言語習得に難しさを感じている周りの人たちに、よく話していることをこちらにも公開してみようと思いました。せっかくなので音楽と絡めて、言語習得と音楽の持つ類似性、ひいては言語習得のすすめについて書いていきます。

1.どこを目指すか

よく「英語がしゃべれるようになりたい」という言葉を耳にします。
私は大抵「しゃべれるようになって、何がしたいの?」と聞きます。

例えば「かっこいいから」であれば、「外国人の発している音を自分も発する」ことが第一です。カタカナ英語をひけらかしても多分かっこいいとは思われません。なので、ひたすら「聞いて」「自分でその音を発してみる」以外にありません。とにかくネイティブを真似る。正しい文法なんて必要ありませんし、読み書きも要りません。極論、「話せなくても」いいわけです。

「外国人と会話がしたいから」であれば、スムーズな会話がしたければ発音の努力は必要ですが、多少の語彙力、日常会話程度なら身の回りのことと話したいモノについて言えれば充分です。内容によりけりですが、英検1級の問題集のように政治・経済・科学技術といったところにまで踏み込む必要はありません。

「外国語を使う仕事がしたいから」であれば、「日本語とほぼ同等にその言語を習得する」ことが必要で、あらゆる分野においての知識を要します。これはもはや言語の域を超えて、まずは自分自身の知識・教養を高めていかなければなりません

このように、自分がどんな取っ掛かりで何を習得しようとしているかによって、入口も、必要な要素も大きく変わっていきます。逆にここがはっきりしていないと、初期段階では見える必要のないものまで見えてしまい、やがてモチベーションを下げてしまいます。

そして、どのような道筋を通っていくかによって、やがて精神そのものに変化が起こり、目指すものが変わっていくかもしれません。だからこそ、今一度、言語習得のみならず、何かを始めようと思ったときに、自分はどこを目指すか?と問いかけてみることが大事だと思います。

2.言語習得は音楽とほぼ同じ?

さて、一言に言語と言っても、大きくは
リスニング・ライティング・スピーキング・リーディング」の4つの元素に分けられ、それぞれの元素を音楽に当てはめてみると、

リスニング = 音楽を聴く
ライティング = 譜面を書く
スピーキング = 音楽を作る(演奏する)
リーディング = 譜面を読む

にあたるかな、と思います。多少強引な所を見逃してください。

また、これらには、知らなくてもできる部分と、知らないとできない部分に分けられます。

リスニングは、誰にでもできます。これは、音楽を知らなくても聴くことはできる、言語を知らなくても聞くことはできる、という意味です。

それ以外は、それぞれに付随する知識がないとできません。ライティング = 譜面を書くことは楽典を知らないとできませんし、言語であれば文法やその言語の文字を知らないと書けませんスピーキング = 音楽を作る(演奏する)ことはものによりけりですが、きちんとしたものをやろうと思えば様々な知識が必要です。ただし、ライティングと違うのはどちらも「見よう見まね」でできる部分があるということです。リーディング = 譜面を読むことは書くことと近いですが、やはりある程度楽典を知らなければきちんと読めませんし、文章を読むのも文法やその言語の文字の知識を必要とします。

また、これらの元素は完全に独立しているわけではなく、完全に互いを切り離して学ぶことは難しいですが、それでも全てを同時に学ぶのは難しく、ある程度順序があります。それは、「リスニング」「スピーキング」「リーディング」「ライティング」という順序です。

例えば音楽制作や演奏に興味を持つ人の大半は、色々な音楽を「リスニング」していくうちに音楽制作や演奏そのものに興味を持ち、自分で「スピーキング」したいと思うようになり、とりあえずやってみるが、もっとちゃんとやるために音楽の知識や楽器の知識を深めるために必要な「リーディング」をやりはじめ、そして「ライティング」に行きつく、という具合です。

これは、私たちが赤ん坊の頃に誰もが経験する、言語習得過程にぴったり一致します。家族の発している音を「リスニング」し、それを真似て「スピーキング」し、絵本などで「リーディング」を覚え、そして学校で「ライティング」を学ぶ、というように。

そして最も大事なことは、言語習得を始めるには遅すぎることはないということです。もちろん社会人になれば赤ん坊や幼少期の頃のように自由な時間が潤沢にあるわけではないので、結果的に習得ペースは落ちますが、不可能ではありません。だからこそ、先述の通り、自分がどこを目指すかで、限られた時間を有効活用するために自分が必要とする要素を最低限に絞ることが大事です。

ところが、散々全て「リスニング」から始まる、と言ってきましたが、日本の学校では皆さんご存じの通り、私たちは英語をいきなり「ライティング」から始まります。アルファベットを書く。絵を見て、その単語をアルファベットで書くリスニングスピーキングも下手したらリーディングもすっ飛ばしています。皆さんが赤ん坊の頃、もしくは子育てされている方々、いきなりペンを持たせますか

日本の教育にケチをつけるわけではないですが、明らかに言語習得過程を逆に行っている為、「話す」ための言語習得になっていないのです。これはずっと言われてきていることですが。

いかがでしたでしょうか。さて、今回はここまでにし、後編では、上記のような観点から「話すための言語習得」を中心に、自分の考えを書いていきたいと思います。また、なぜ制作や演奏など、音楽に関わることをやっていく上で言語習得を奨めたいかも、書いていければと思います。

今回もお読みいただき、ありがとうございました!

それでは。

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ゲーム音楽制作会社ノイジークロークの作家です。広島出身。大学では歴史学・文化人類学・言語学などやってました。楽器・歴史・言語・野球。Japanese game music composer.