![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/147150162/rectangle_large_type_2_09dd0bca9ba4eb31f93a9a0ceb4df7ac.png?width=800)
真夜中読書倶楽部 2024年6月
これはJ-WAVEで毎週火曜日の深夜に放送中のラジオ「BEFORE DAWN」の人気コーナー「真夜中読書倶楽部」で紹介された推薦図書の記録です。
私が読んだ本には感想や備忘録を付けています。
6/6 私という運命について/白石一文
白石さんの本について燃え殻さんからも読んだ本の紹介があった。
ほかならぬ人へ/白石一文
文庫版の解説が良いって言ってた。
こうしたリスナーからの推薦図書の紹介に連鎖反応を起こすみたいにして、他の本の話が出てくるのが私は好きだ。同じ著者の別のタイトルや近い雰囲気の作品、まったく関係ないけど同時期に読んでた本や観た映画のタイトルとか。
自分とは違う人間の人生(時間)を少し拝借して、他の物語を知ることができる欲張りが叶っている気がして。積読リストin.
6/12 真夜中読書倶楽部 風待月の部
半年に一回くらいのペースで開催される、コーナー時間拡張の回。
こういうタイミングで投稿が採用されると、番組特製ステッカーがプレゼントされるので、毎回頭を捻りながらお便りをするけれど、採用されたことはない。いや、番組がはじまってそんなに経ってない頃に燃え殻さんが映画や本のおすすめをお便りして、と話したのを聞いて、歌人・木下龍也さんの「あなたのための短歌集」を紹介するお便りを読んでもらえたことがある。
真夜中読書倶楽部が設立する前、今のところ、その一度だけ。
だから忘れられない。嬉しかったから。
もしかして、この話って、前にも書いたっけ。
まあいいか。だって嬉しかったから。
この歌集は本当に色んな人に贈っているし、おすすめしている。木下さんが31音を組み立てて短歌で表現する情景描写と依頼主からのお題の組み合わせが謎解きのパズルのように感じる。
まるで刑事コロンボや古畑任三郎みたいに、最初に犯人と犯行手口はわかっている(依頼主のお題を先に読む)状態で、短歌を読むと「うわー!すげー!」となる(語彙)し、逆に短歌から先に味わって、圧縮された情景を脳内で解凍してからお題を読むと、「そういうことー!」となる(語彙)
とても良い歌集なので、味わってほしい。
この表紙にある青字の短歌と赤字のお題は何パターンかある。
ナナロク社の本は趣向を凝らした装丁が多い。
大切な中身(物語)に本という物理的な形を与えるために、紙や製本方法、デザインを丁寧にこだわる感じがして好きだ。
私が物理的に一番好きな歌集は、同じく木下龍也さんの「オールアラウンドユー」だ。この歌集は表紙の色が5色ある。購入時に指定はできないので、欲しい色は自分で買い求めに書店を巡るべし。私は黄色の一冊を愛してる。
話がそれた。真夜中読書倶楽部の推薦図書に戻そう。
クワイエットルームにようこそ/松尾スズキ
愛と幻想のファシズム/村上龍
コインロッカーベイビーズ/村上龍
トパーズ/村上龍
5分後の世界/村上龍
これらは燃え殻さんからの紹介と、余談の中で挙げたタイトル。
これは私の印象だけど、燃え殻さんは頭の中に映像を思い起こさせるような小説が好きなんだなと思う。SFも星新一作品のように具体的な描写、自分の頭の中に思い浮かべられるくらいに具象な表現が好きなのかもしれない。
映画やドラマなどで映像化された作品を好んで読んでいるのがわかる。
いつだったか、どこかの何かのインタビューで燃え殻さんが、スマホが普及してYouTubeやSNSなどの動画・画像・短文がスタンダードになった若い世代には長い文章を読むのが苦痛で、小説を読む機会がなくなっているから、そうした本を避けている人にも届くように興味関心を引くフックを仕掛けたり、他の媒体とコラボしたり、物語(創作)への扉へと続く入り口的なものを書いていきたいというようなことを言っていた気がする。
燃え殻さんが新刊を出す時にPVを自分で作る(映像作家やミュージシャンに頼む)のも、俳優を起用した朗読劇の原作を書いたり、ドラマ化や映画化を許諾しつつ、原作が好きな人にとっても「これはこれでありだな」という形にちゃんと持っていく(ドラマの原作となったエッセイはキャラクターの原案とエピソード程度の要素であって、主軸の物語は脚本家が書いていたし、映画は原作の小説ベースだけどアレンジ要素が多かった。でも、私は観て「良い」と思った)
自分の書いたものに責任を持っているんだと勝手に私は思っている。
物事を続ける人は、紙一枚ずつでも積み重ねたものの重みを知っているのだろうなと。
いかんいかん、私は燃え殻さんをすごい人のように崇拝してはいない。
時々こぼす、ご自身のエピソードから想像する限り、真面目で立派な人でも努力家で清廉潔白な人でもない”人間くささ”のある人だ。
私は生身の人間に対して信仰も崇拝もしない。
創作される物語の向こう側を個人的な観点で見れば、”蠱惑的な人”の匂いすらする。
人間関係はフェードアウトが常套手段で、寂しくなったら自分から連絡して相手を振り回したり、応答がないと勝手に落ち込んだりするような人。
自分からは「さようなら」を言わずに、相手に立ち去らせるような、「今度、飲みにいきましょう」を別れの挨拶にするような人を想像する。
私にとって、燃え殻さんはSNSの片隅に見つけた北極星みたいなもので、物書きとして、ずっとそこに在り続けてくれることがありがたいというか。
ひーしんどい、と思った時に燃え殻さんを見ると、なんだかそっちも大変そうだなあ、不器用だな。でも、頑張ってんな。新刊出るのか、連載も始まるのか、そりゃ楽しみだ。頑張ろう…と、勝手にencouragementされるから。
真っ暗闇の夜の海で、見上げた空に北極星を見つけたときは方角が判って安堵するでしょう?落ち着いて航路を再設定できる。
誰もいない、見渡す限り何もない、砂漠に広がる雲ひとつない星空の中で北極星を見つけたら、帰る方角が定まるでしょう?
方角が定まれば、あとは自信を持って自分が進むべき方向へと歩き出せる。
今から約14年前、Google Map目当てに(それまではゼンリンのiモードアプリを契約していた)iPhone 3GSを手にした私は、聡明期のTwitterで後に燃え殻さんになる人のつぶやきを見つけて以来、勝手に道しるべにしてきた。
私にとっての作家・燃え殻さんは、勝手にそういう存在なのである。
だから、これからも見失わずにいたい。
でも、多分、いなくなってもきっと、私の中でそこに光り続けそうな気もする。
ほら!脱線がひどい。
放送のリアルタイムに追いついちゃうから、感慨深いのかもしれない。
リスナーの推薦図書に私が読んだことがある本は一冊もなかった。楽しい。
二番目の悪者 / 林木林、庄野ナホコ
悲しみの秘義 / 若松英輔
ナナロク社の本だ。表紙のパターンが複数種類あるみたい。遊び心、好き。
いねむり先生 / 伊集院静
私は周囲からは読書家だと思われているけれど、伊集院静の本を読んだことがない。あらすじを見て師弟もの?心に師を持てたらなら、人は変われるのかもしれないな。と思ったけど、このミリしらが読了後にどうなるか。
犬が星見た: ロシア旅行 / 武田百合子
ここまで書いてきて気づいたけど、私は紹介文をほとんどメモってない。
リスナーやゲストが何を思ってその本を薦めたのか、次からはその辺も書き留めてみよう(今までは見知らぬ人への関心が弱かったけど、最近、自分との違いや「その人」を知ること自体の面白さに気づいて楽しくなってきた)
いとしいたべもの / 森下典子
こいしいたべもの / 森下典子
食べ物が触媒となって綴られるエッセイの連載が始まったから、リスナーから食べ物エッセイが紹介されたのだったと思う(うっすらの記憶…)
記憶の中の食べ物って、どうしてあんなに美味しいんだろう。
6/19 わたしを空腹にしないほうがいい/くどうれいん
盛岡の書店「BOOKNERD」と宮沢賢治記念館に行ったという話があった。
この二箇所は電車で1時間以上離れている。体力あるなあ。
私も一人で花巻へ行ったとき、宮沢賢治童話村、宮沢賢治記念館、山猫軒、イギリス海岸…と巡ったことがある。楽しかったな。私も体力あったね。
今度、盛岡に行くときはこの書店に寄ってみよう。
6/26 海の見える風景/早川義夫
作家の爪切男さんがゲストの回。この本は爪さんの推薦図書。
たましいの場所/早川義夫
早川義夫さんといえば、でこのタイトルも出た。
表紙の写真がいい。私はまだ読んでない。積読in.
爪さんと燃えさんの会話はゆるくて良い。よく笑うし、聴いてて楽しい。
昔、新宿で主に燃え殻さんの愚痴を聞くトークイベントを開催してくれて、面白かったのを思い出した。イベント開始前にガソリンを入れるみたいにレモン酎ハイを飲んで酔いが回った燃え殻さんと、世話の焼ける先輩を持った面倒見の良い後輩みたいな役回りの爪切男さん。
私の目に見えるのは、そんなでこぼこフレンズ。
爪さんは許容範囲が広い人なんだなと思う。色んな意味で。
だから、他人と分かり合えなくて傷ついてきた人たちが他人に受容されたくて爪さんの元に寄ってくるのだと思うし、だから、どこまで許容されるのか、受け入れてもらえるのかわからない不安感から人が離れていくんじゃないかと思った。
どんな人でも飛び込めるプールみたいな。
誰でも入れるけれど、水深は不明で、プールサイドが見えない。
飛び込んで受け入れてもらえて、好きなだけ泳いで、ふと気づく。
足が付かない。岸が見えない。力を抜けば浮いてられるけど、いつまで浮いてられるのかわからない、この先どうなるかわからない。怖い。そんな風にして、ずっとは一緒にいられない感じがするのかもしれない(失礼な)
私は著作を通して感じたのは、登場人物たちは主人公を「卒業」していくこと。一緒に過ごす時間を経て変化していき、巣立っていく感じがする。
エッセイが100%本当な訳がないし、私はただの一読者に過ぎないので、あくまでも著作(物語)を介して、その向こう側にいる著者を想像しただけ。
私の手の届くところにあるのは、必ず創作された物語だけ。勝手な憶測。
さあ、次回からは月イチ更新だ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?