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真夜中読書倶楽部 2024年2月

これはJ-WAVEで毎週火曜日の深夜に放送中のラジオ「BEFORE DAWN」の人気コーナー「真夜中読書倶楽部」で紹介された推薦図書の記録です。

私が読んだ本には感想や備忘録を付けています。


2/7 注文の多い注文書/小川洋子、クラフトエヴィング商會

注文書にあるのは、この世に存在しない物。
それを探し出す物語というのが、なんだか「私立探偵 濱マイク」を彷彿して気になっているけど、まだ読んでない。どこか遠くへ行った日の夜に旅先で読みたいな。「肺に咲く睡蓮」が気になる。

恋は底ぢから/中島らも

その日の天使/中島らも

私の中で燃え殻さんと中島らもさん、そして大槻ケンヂさんの書くものは匂いや風味が近い感じがする。それぞれの出汁。

2/14 プレーンソング/保坂和志

特別な事件は起こらず、何気ない日常生活が続く話だと紹介していた。
やらなければならないこと、やりたいこと、そのどちらとも距離を置くことができたときに、この本を読もうと決めている。
そうじゃないと、私は読めないだろうと思うから。

そういえば、昔の私は何も起こらない映画が好きだった。
二村ヒトシさんと燃え殻さんの深夜ラジオ「夜のまたたび(AuDee)」で紹介された映画「C'mon C'mon」をとても気に入って、劇場公開終了間際までに2回観て、売り切れで買えなかったパンフレットが付属したBlu-rayを買ったくらい好き。この映画も特別な事件は起こらない。
だからこそ、心の揺れが浮かび上がる。小さな傷に気付けるのだと思う。

「夜のまたたび」は最初何回かを書籍化している。この番組は放送を重ねるうちに段々と人間の心を考える、人間の本質を問うような哲学的な時間が増えていくのだけど、本はその冒頭部分が載っている。

哲学的といっても、あんまり深刻になりすぎないように終始エロばか話で笑って終わったりして、私は本当にこの番組が私は大好きだった。
コロナ禍の真っ最中に、人と会うことを自粛して他人との距離感がわからなくなっていく日々を過ごす私にとって、深夜にこの番組が公開されることがどんなに救いになっていたか。
私の投稿を二村さんが優しい声で読んでくれた回は、私の一生の宝物だ。今でも時々聴き返す。風呂の電気を消して、アロマキャンドルの炎のゆらめきを眺めながら、湯船に体を沈ませて聴き返す。涙は湯船に溶けていく。

2/21 晴れた日にかなしみの一つ/上原隆

確か、群像劇のおすすめとして紹介された本だ。
私もさまざまな人達が同じ時間にどこで何をしていたのか、何が起きていたのかを時間を巻き戻して各人の物語にスポットライトを当てて読み解く群像劇は大好きだ。現実では決して味わえない神の視点で世界を観れるから。
先述の「プレーンソング」と合わせて読みたい本。
つまり、まだ読んでない。読む準備が整ってない。

2/28 40歳がくる!/雨宮まみ

雨宮まみさんの最後の書籍。
私は雨宮さんを知ったのは、彼女が亡くなったニュースだった。
Twitter上で私のタイムラインに流れてきて、どんな人なのだろう?と思ったのがきっかけで、雨宮さんの「女子をこじらせて」を初めて読んだ。

自分が好きかどうかより「好きにならねばならない」「これがわかんなきゃオシャレ失格」という思いでいっぱいで、いつもそのことを誰かに見抜かれるんじゃないかとビクビクしていました。 そんな風に外見だけでなく、内面や音楽の趣味までもとりつくろうのに必死でした。

そうやって自分をとりつくろいまくっていると、恋愛どころか人と話してぼろが出るのが非常に怖くなりました。

「女子をこじらせて」より引用

読んで、他人からどう見られるかを気にする部分と自分がわからなくなる部分や「こうなりたい」という自分像を認めきれない、馬鹿みたいって思ってしまう所も含めて、親近感を覚えた。
そして、雨宮さんがもうこの世にいないことを惜しんだ。

東京を生きる/雨宮まみ

雨宮さんを知りたくて、続けて読んだ。
何者かになろうとして、何にもなれない自分に対する劣等感や自己愛の葛藤と苦しみを痛々しいほどに感じた。まるで、腹をかっ裂いて内臓に顔を埋めるような感覚になった。湿っていて血生臭い、だけど柔らかくて温かい。

「40歳がくる!」の前に「女の子よ銃を取れ」を読みたい。
最後の本だから、初めて読む時は著作の一番最後に読みたいという我儘だ。


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