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嫁の主張

正確には忘れてしまったが、夫とは一緒に暮らし始めて15年ほど経つ。
一緒にいて楽しいし、専業主婦をさせてくれるし、家事のクオリティがそこそこでも文句を言わないし、一緒に歩いていて私が遅れると先で待っていてくれるし、ほぼほぼ文句が無いどころか私にはもったいないくらいの夫なのだが、実はまだ慣れていないところがある。それは夫のテレビ習慣である。

こちとら好きな音楽を聞いて静かに過ごしているのに、夫は帰宅するやいなやテレビのスイッチをオンにする。そのまま寝る直前までテレビは付けっぱなしだ。
見る番組はニュースだったり音楽番組だったりバラエティ番組だったりスポーツ中継だったり様々で、中には見応えのある番組もあるのだが稀で、正直なところテレビ番組の何に価値を見いだしているのか理解できないでいる。

私にとってテレビは昭和の家族の団欒の象徴でしかない。日曜の午後一緒に笑点をみたり、大晦日に一緒に紅白をみたりの絵が浮かんでしまう。家族でひとつの価値観や体験を共有することの象徴であるテレビ、そこにはそれなりの価値があったのだろうが、家族の団結を、マスメディアの力を使って共有することに何か意味があるのだろうか?と考えてこんでしまう。家族旅行もまた(私にとっては)然りだ。夫の両親、妹家族と夏にゴルフ旅行をすることが恒例になっているのだが、一致団結してゴルフを楽しむことができないまま、15年が経ってしまった。

ここまでで私は団結するとか、一緒に何かに取り組むのが嫌いなのかと思われそうだがそうではない。夫と一緒に散歩をしたり、おいしいコーヒーを飲んだり、ビルボード東京でJazzを聞きながら食事をしたりすることは好きだ。

家族になって誰かと一緒に暮らすことは難しい。ひとりでいたほうが楽なこともあるかもしれないとも思う。嫌いなテレビも見なくてはいけないし、家族旅行も我慢していかなくてはならない。でも、誰かと一緒に暮らすことは楽しさ、嬉しさも併せ持つ。夫をかけがえのない家族だと認識することで自分自身も大切に思えることもできる。だから結婚してよかったと思うし、ずっと続けたいとおもう。
でも言わせてくれ夫よ、見てないテレビは消してくれ。