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ゲーフラ達20周年。その②産みの苦しみ悩みながらも※花沢さん登場

2004年 2回目のゲーフラ作り

ゲーフラ中島君の誕生によりテンションが上がり続けていた当時の自分は、試合前も含め、何か事がある毎に中島君を掲げていた。
新しいおもちゃを手にした子供のように無邪気にやってしまっていた。
そんな調子乗りな自分ではあったが、周りのみんなのリアクションもどちらかと言えばポジティブな感じであったと思う。

しかし、すぐに気づいてしまう。
基本的にゴールした時や、勝った時にしか出せない。という事を。。。
負けた時に【GJ】など出せるはずがない。
それは当たり前の話である。
そしてだんだん引き分けや負けた時にも出せるようなゲーフラが必要ではないかと思い始めていた。
ただし、根本的な問題があり、
『最初から引き分ける事、負ける事を想定したゲーフラを作るのか?』
という事である。
サポーターという生き物であるからには、
【まず勝つ事を考える】のが当たり前であり、ごく自然な考え方であった。

困窮を極めるデザイン作成

【まず勝つ事を考える】という基本的な考えが邪魔をして、なかなか下絵やアイデアが出てこない状態が続いたと思う。
その記憶は今でも覚えている。
相反する思考では、作品創りが進まないのも当たり前な話だ。
そして最初に【中島君】という、言ってみれば偶然の産物、自分でも思いもよらない良いゲーフラが誕生してしまった為、
それを超えるゲーフラを作りたい。
そんな気持ちも第二弾ゲーフラ作りには重い足かせとなってしまっていた。もう完全に何を描いたらいいのか分からない状態に陥っていた。

自分の閃きの無さ、
そして発想する才能の無さを嘆く、
という負のスパイラルに陥り、
ふと、大学時代を思い出していた。

【エヴァンゲリオンを超える作品を作り出してやる】ギラついていた学生時代


【エヴァを超える】という
今、冷静に考えても、とんでもない目標を掲げ飛び込んだ大阪芸大。
それを伝えるには、更にさかのぼる中学~高校時代があった。
思い出せば中学2年の時、
当時、ビデオテープに録画しながらもTV東京で【新世紀エヴァンゲリオン】を見てしまった影響があったのは確実だった。
中学・高校と毎日必死に部活の野球に打ち込み、
白球を追いかけていたものの、
ゲームはサターンやドリームキャストをやり込むマニアでもあった。
当時、セガからしか販売されないようなエヴァンゲリオンのゲームをとにかくやり込んでいた。ファーストインプレッション、セカンドインププレッション、そして鋼鉄のガールフレンドらがそれである。またTV版25話26話のビデオテープを繰り返し何度も見て、とにかく答えを探していた。

高校野球を引退後、
何故かそのエヴァンゲリオンに対する思いだけが爆発してしまい、
高校の普通科だった人間が、
いきなり【芸術大学】を目指し出してしまう。
日本大学の芸術学部、多摩美術大学、武蔵野美術大学、という軒並み関東圏の芸大受験を受けたものの、当然、現役で受かるはずがない。
というか、試験科目にデッサンやアイデアスケッチなどがあり、普通科の高校生が、しかも美術が得意な訳では無いただの元高校球児が受かるはずはないのだ。本当に全く絵が描けなかったのだ。

残念ながら浪人生活がスタートした。
ガソリンスタンドでバイトをしながら、新宿の代ゼミに通い、通常5科目の勉強をしながらも、
代ゼミ内にあった芸大系合格を目指すコースにも通って、デッサンやアイデアスケッチ、絵コンテなど、芸大系の試験に必要な、基本的な技術を現役の芸大生/卒業生の講師達が色々とレクチャーしてくれて、本当によく練習した。
そのお陰もあり、何とか大阪芸大に合格する事が出来たが、、、
実は、関東圏の芸大系は全滅・不合格で、
二浪して関東圏の芸大を再び目指すのか。
大阪芸大へ行くのか。
という二択を迫られてしまう。
しかし、エヴァの生みの親【庵野秀明監督】が
大阪芸大出身である事もあり、自分的には大阪に出る事を即決した。
両親も、ばあちゃんも色々と思う事はあったと思うが、
快く送り出してくれた事は今でも本当に感謝している。

大阪芸大には、驚くほど才能に溢れたもう別次元の人間がゴロゴロいた。
同じ大学生なのか?と疑うほど、突拍子もない事を考え出し、
それを表現出来る、人間なのか、宇宙人なのか分からないようなヤツラが本当にいっぱいいたのである。
何とか自分も、と、自分なりに映画・映像作品を創って頑張るのだが、同世代との【才能の差】は努力で埋まるようなものでは無かった。

一大決心して出てきた大阪だったが、
自分はプロデューサーやディレクター、
監督や演出家にはなれない、向いていないと、
そんな挫折を味わっていた。
それでも映像作品創りには関わりたいという気持ちから、カメラや音声や照明や小道具という技術派を目指す事で何とか自分を保っていた。
それが卒業後の仕事へ繋がるのだが、、、その話は割愛する。

話は、かなり逸れてしまったが
【アイデアを作り出して、表現するのが苦手】
という学生時代に断念し、諦め、苦汁を舐めた課題に、このゲーフラ作りで、再び向かい合う事となってしまったのである。

初心に戻る

何を描けばいいのか分からなくなっていたが、
またボーっとサザエさんを流し見ていた。
中島君はやっぱり野球しようぜ磯野!である。

やっぱり中島君に続くゲーフラはサザエさんの登場キャラにしよう。

とにかくその軸だけは決まった。
何か怒っている感じがイメージされるのは、
カツオをよく怒る波平、
そしてサザエ、この辺りかと、
とりあえず鉛筆を走らせてみるものの、
決定力を欠いていた。何かパッとしないのである。
更に悪い事にセレッソ大阪の成績も段々と下降していき、
負ける試合も増え、中島君の出番も減っていた中、
やはり負けた時こそ、
【チーム・選手を鼓舞出来るゲーフラが必要だ】
との思いは日々強くなっていた。

そんなある日、とある某本部長や、
周りのみんなに言われていた事が
「町子に消されるかもな・・・」である。

そう、町子とはサザエさんの生みの親:長谷川町子先生の事である。
サザエさんは特にアニメの中でも著作権に厳しいイメージがあり、
中島君をゲーフラにした自分は罰せられる、
社会的に消されるかもしれないと周りから軽く脅されていた。
もちろん営利目的で何か利益を得ている訳では無く、たぶん二次創造範囲で大丈夫かと思っていたが、だんだん怖くなってきていた。

メインキャラクターをゲーフラにするのはやめよう

波平やサザエをゲーフラ化するのは怖いのでやめる事にした。
磯野家以外にしよう、と小心者となった自分は、
またサザエさんをじっくり見ていた。
じっくり見て辿り着いたのが
救世主の【花沢さん】である。
中島君とセットでも、同じカツオの同級生で違和感は無く、
ポイントであった磯野家というメインキャラクターではない。
そして、時々怒るというイメージが
求めていたイメージに完璧に合致したのである。
とうとう、グッドアイデアが【下りてきてくれた】。
早速、怒っている場面でビデオを止め、花沢さんの表情をスケッチした。
服はどうしようかと思ったが、
女の子サポーターとしてユニホームを着てもらう事とし、
女の子らしく、当時背番号が20番のアキ(西澤明訓)の追っかけサポーター、という裏設定も付け加える事とした。

何を伝えるか

絵のイメージはだいたい出来たが、
メッセージをどうするか、
花沢さんに何を伝えてもらうのか?という問題が残ってしまった。
単純に【勝て】にするか。
と思いながらも、またアイデアがしっくりこない状態が続く。
そんな状態でも、セレッソ大阪の試合は容赦なくやってくる。

とある負けた試合の後だったか、
とにかく内容が酷く結果も酷い試合だった為、
その場のモドカシイ感情のままに何か言いたくなり
とにかくデカい声で
「ちゃんとやれーーー」と叫んでいた。
ちゃんとやれ】
そう、感情のまま叫んだこの言葉。
何故かこれが自分の中では、
花沢さんにピッタリとハマったのである。

そして、
試合終了の最後の笛が鳴るまで諦めずに戦う事、
戦い抜く事、それが大切だと思っていた自分は、
願いも込めて【戦え】
この二つの言葉を描く事にした。

今回は、ユニホームを描く為、
当時ユニホームの胸スポンサーだった、
日本ハムの【NIPPON HAM】を描くのに、
緑が足りないと思い、
また梅田の画材屋にリキテックスの緑を買いに走った後、
二回目でもあったので、布への下書きから、マッキーでの本線。
そして、色塗りはスムーズに作業出来た。
そして、とうとう花沢さんが完成した。

アイデアスケッチからの作成時間・期間としては、そんなに時間が掛かっていないかもしれないが、あまりにも葛藤していた、悩んでいた時間が途方もなく長く感じていたので、めちゃくちゃ時間を掛けて作ったような感覚があった。産みの苦しみとはこういう事かと。
【アイデアを作り出して、表現するのが苦手】
という自分への課題は、花沢さんの誕生と共に何とか乗り越えたという感覚があった。

今となっては、中島君同様にどの試合でデビューをしたのかを全く覚えていない。
だが、一番最初に花沢さんゲーフラを掲げた時の周りの目線が、
えっ?!Σ(゚Д゚)
となって、かなり注目されたような気がする。

こうして無事?に、たとえ試合に負けたとしても、出せるゲーフラが誕生した訳だが、「ちゃんとやれ」とまではいかないが、内容的には「GJ」でもない、そんな試合内容・結果もサッカーであれば当然出てくる。

となると、第三の作品の必要性を考え出すのだが、これは、また次回書き起こす事とする。

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