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いまさら聞けないキャッシュ・フロー計算書の話

『キャッシュ・フロー計算書』は、
上場企業など金融商品取引法のディスクロージャー制度の対象となる企業が
作成を義務付けられているものです。

そのため、あまり馴染みがない方もいらっしゃるかもしれません。

では、上場していない企業は
キャッシュ・フロー計算書が重要ではない、必要ないかというと
決してそうではありません。


キャッシュ・フロー計算書が日本で導入されたのは、
2000年3月期決算から。その歴史はまだ20年程です。

欧米諸国でも1980年代後半から
1990年代初頭にかけて制度化されたもので、
比較的新しい計算書です。

これに対し、貸借対照表・損益計算書の歴史は、
中世ヨーロッパ大航海時代(15世紀半ばから17世紀)にまで
さかのぼり、
400~500年程の歴史があります。


比較的新しい計算書である
キャッシュ・フロー計算書がなぜ重要か……。

それはキャッシュ・フロー計算書が導入された背景にあります。


キャッシュ・フロー計算書が導入される少し前、
1990年代はバブル崩壊後の時代でした。

バブルの時代はインフレによってモノの価値が上がり続け、
お金の価値が下がっている状態でしたので、
お金ではなく価値が上がり続けるモノに投資する企業が多くありました。

その後、ご存じのようにバブルが崩壊し、モノの価値が暴落。


企業が持っていた代表的なモノである
土地・建物などはその価値が激減し、
多くの会社が規模縮小、
もしくは倒産という未曽有の状態に陥ったのです。

バブルの崩壊によってインフレから一転、
デフレが進みだし、
モノの価値が下がりお金の価値が上がっていきました。


この頃から、欧米でも導入されていた
キャッシュ・フロー計算書の必要性が高まっていきました。

また、社会の国際化にともない
日本の会計制度を世界基準に合わせようとする
動き(会計ビックバン)が急速に進みました。


デフレにより、お金の価値が上がり、
企業もお金を如何に増やすかが重要となり、
グローバル化の流れも重なったことで、
キャッシュ・フロー計算書が義務付けられた訳です。

キャッシュ・フロー計算書の作成が義務付けられてから22年。

上場企業のキャッシュの流れは明確になり、
黒字であっても倒産してしまうメカニズムも
容易に分析できるようになりました。


一方、キャッシュ・フロー計算書の作成が
義務付けられていない中小企業では、
キャッシュの流れが分からず、
黒字の会社が急遽倒産してしまうような事例がいまだに多くあります。

経営者の方からすると、
黒字倒産ほど恐ろしいことはないのではないかと思います。

倒産を突き詰めていくと、
たどり着く理由はただ一つ、お金が無くなるからです。

だからこそ、今の時代はお金を減らさない経営をしなければならず、
お金を減らさないためには、
お金の流れ……すなわちキャッシュ・フロー計算書の
作成と理解が必要になってきます。

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