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里山と関わる市民として。 ー読書記録 #1

どこにも行けない連休なのを良いことに、髭伸ばしをちょっとした楽しみにしている世の男性の皆さん。私も仲間です、もう似合わな過ぎて!!
死ぬまでに、竹野内豊のような髭ダンディズムが漂う男になりたい。

仙台はびっくりするくらい天気が良くて暑いくらいの連休です。新型コロナの影響で外出を控える休日が続きます。この前の冬までは、海岸林のクロマツの世話をしたり、山で伐倒した杉の運搬のお手伝いしたりと、サークルメンバーとあちこちお手伝いに出かけていたのですが、それもお休み中です。

フィールド活動ばかりで、知識のインプットを怠ってきたなーと常々感じていたので(眠くなっちゃうんだもの)、休日は読書にだいぶ時間を割いています。もともと読むのは好きなのですが、如何せん緊張が解ける休日に読み出すと眠くなってちっとも進まなかったので(どんだけ眠いんだ)、いくらでも読める最近は気分がいいです。

図書館に返す本が溜まってきたので、ぼちぼち紹介していきたいと思います!

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今回ご紹介するのは、「森づくりテキストブック 市民による里山林・人工林管理マニュアル」(中川重年 著,2004;山と渓谷社)

里山林の保全にこれからどっぷり携わっていこうという今、広めにざっくりと知識を吸収できたらと思い、手に取りました。結論から言うと、大正解でした。 著者の中川重年さんは、神奈川県自然環境保全センター研究部専門研究員をなさっていたそうです。

以下、特に勉強になったことを自分なりに組み合わせて整理すると、

市民で管理できる森は1%に過ぎない。仮に里山林1haの管理につき10人(かなり楽)必要だとすると、日本全体の広葉樹林面積の10%をカバーする管理には、単純計算で150万人を動員しなければならない。
現代の日本において、燃料として利用される木材は、全体の1%に過ぎない。全世界平均は55%、途上国では80%、先進国でも15%。森林のバイオマス利用は、森林のもつ公益的機能増強にも繋がるため、極めて重要。
国土に占める森林面積が広く、また木の家に住み、大量の紙を日々消費している日本。森を自然保護的な立場だけでとらえるのは限界がある。考えなければならないのは森林からの生産物の利用の仕方であり、森から社会への出口に対するソフトが不足している
里山林から生まれるバイオマス利用法としては、薪や木炭だけでなく、ソダ(細い枝や木材加工の際に出る残材)を利用した河川の護岸や柴づけ漁、落葉堆肥、チップのマルチ材などが考えられる。
市民が携わる人工林づくりは、純粋な木材生産を目的とした林業(本書では"ピュア林業"と表現)ではなく、「環境」もしくは「環境と共に資源も」という育て方が主になるだろう。ただ、目的がそうであっても、現実的に行う手入れが木材生産のための技術ばかり、というケースが多いのが気になる。もちろんそういう活動もあるし、否定はしない。しかし、市民参加の森づくりは、森との多様な関わりを大切にするべきで、特定の人だけが関われるような活動は控えるべきだろう。
人工林整備のプランニングで大切なことは、作業によって出てきた材の処置・処遇を、ラフで構わないので決めておくこと

特に最後の2点は、自身が常々感じていたこととも重なり、印象に残りました。

私も山仕事の手伝いをする前は、何だか難しそうというイメージがあって誘われなければやらなかったと思います。逆に慣れてきた今では、活動の説明を初めての人にすると、「林業じゃん。プロっぽいね」とあたかも特別な趣味のように括られる気がします。この意識のギャップをいかに埋めて、里山林の保全もとい活用を、暮らしの中に取り入れるかが課題なんだろうけど・・・

作業によって出たものの処遇をどうするか考えておけ、というのは、以前うちのサークルの活動の話をしたときに植木屋さんから言われたことに少し似ていると思いました。その時は、地元のどんぐりから苗木を育てて植樹したいと語ったけど、「きちんと植え先を確保してあげることが大事だ」と。


総じて。市民レベルでの活動は、経済活動が最優先ではないからこそ、多くの人が森の大切さを五感で感じられるようなフィールドづくりがしやすいのだと思います。それも、美しく変わっていく里山の景色と美味しいものを楽しみながら。そして「里山林の保全」=「里山資源の活用」なのだということを改めて確認できました。易しい分、文献やデータの出典は詳しく記載されておらず、ソースには注意する必要があると感じましたが、今後の活動のヒントを手広く得られたと思います。

図書館から借りた本でしたが、購入して何かにつけて読み返したいと思います!


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