最近の記事

赤い樂茶碗を見ていると、私はなぜかいつも、サーモンを思い出す。「茶碗が紡ぐものがたり」#樂美術館

京都でいちばんすきな美術館。いつも前を通ると、必ずあの石畳へ吸い込まれてしまう。 多くの美術館は、中に入った瞬間、下界から隔絶されたような気分になる。一歩踏み入れるときの気分は、まるで大きなあぶくの中へ、ぶるんと潜りこむ感じだ。ただ、樂美術館は、ちょっと違う。石畳を歩いて、靴を履き替え、受付を通ると、竹の椅子が並んだお休みどころのような場所があって、今の季節は瑞々しい新緑の庭が迎えてくれる。あの、「ぶるん」という固く濃密なあぶくはそこになく、水が小川を流れるように、空間に入

    • 「森村泰昌 ワタシの迷宮劇場」#東山キューブ

      初めて入る空間だった。高いところからつるされたカーテンのドレープが、カタツムリの殻のように、いや、もっと複雑な形で一部屋を間仕切っていた。 カーテンは、暗めの浅葱色。ちょっと病院みたいだった。洗練された雰囲気で、豊かな量感とは対照的に、無機質な印象もあった。順路はない。四つの入り口の中から好きなところから入り、好きなところから出て行く。 タイトルに引っ張られる性格である。頭の片隅で「迷宮」と言う言葉をずっと意識していた。「迷宮は何処」と、探していた。 勿論、探さずとも部

      • "MAISON & OBJET PARIS DESIGN DIALOGUES" #京都髙島屋

        毎年パリで開催される、インテリアデザインの展示会「メゾン・エ・オブジェ」が当別編集された展覧会。実際の商品が、そっくりそのままアートの文脈にやってきたのは、初めての体験だった! 会場は3部構成。 ①"Designer of the year"に輝いた21名の作品 ②メゾン・エ・オブジェ出品者の新作コレクション ③"Rising talent award"日本版に選ばれた次世代クリエイターの作品 作品のほとんどは、椅子や花瓶、テーブルや皿など、インテリアだった。よく考えてみ

        • Exhibition "Irving Penn : Works 1939-2007. Masterpieces from the MEP Collection" #京都市美術館別館 #KYOTOGRAPHIE

          お昼過ぎに入館。入口は暗かった。受付を抜け、リュックを預けると、明るい光の入る美しい木の階段があった。いい香りだった。 展示室前の受付にて、スマホケースに入れた「コロナ安心登録カード」を見せて、入室。暗くなった。ここから先、展示室は基本、薄暗い照明だった。モノクローム写真の白が照って、写真の艶が際立っていたように思う。 余談だが、ある学芸員の方のお話を思い出した。彼が、何もないフツーの公民館で展示を行わなければならなくなった時、とりあえず電気を消して、作品にスポットライト

        赤い樂茶碗を見ていると、私はなぜかいつも、サーモンを思い出す。「茶碗が紡ぐものがたり」#樂美術館

        • 「森村泰昌 ワタシの迷宮劇場」#東山キューブ

        • "MAISON & OBJET PARIS DESIGN DIALOGUES" #京都髙島屋

        • Exhibition "Irving Penn : Works 1939-2007. Masterpieces from the MEP Collection" #京都市美術館別館 #KYOTOGRAPHIE