宮澤なずな

『未次元』というエッセイを勝手に描いてます

宮澤なずな

『未次元』というエッセイを勝手に描いてます

最近の記事

未次元vol.29/インスタレーションで思った事

 前回のインスタレーション企画をおこなった時、「なぜ喪失の体験が重要だと考えるんですか?」ときかれた。その言葉がずっと引っ掛かっている。会話でパッと返せなかった事を、この雑文の中で、整理するというのも、なんとも情けない話だ。  聞かれた際の私は、なんやらわけのわからん事を、拙いながらに答えた。現代に置いて喪失を体験するタイミングはないし、それが逆に、私たちを空っぽにしているのではないか、と。  するとその人は、「もう空白として現代が成り立っているのだから、そこからどうする

    • 未次元vol.28/朗読公演のテーマについて

       近年、多様化が進む社会では、人それぞれが違う意見を持つこと、違う向きを見ることが肯定されています。ですが、多様を成立させるためには、まず、多様に存在する個人がいなければいけません。その個人を形作る軸は、現代に存在しているのでしょうか。  世界が多様であれという反面で、誰も、私たちは何者なのかという問いについて、答えてくれません。クロタージュのように、黒塗りにされた世界の真ん中にいる、空白が私たちです。自己の存在は希薄で、生は失われている。世間が唱える多様化とは、無干渉の言い

      • 未次元vol.27/肥やし

        評論が書き終わってから、もう1週間も経ってしまったことに驚く。 今週は愛知旅行に行っていて、現実から遠く離れてい。そのため、しっかり時間感覚がバグった。旅中は何も考えないと決めていたが、すっかり置いてけぼりにした不安や課題は、家につくとすぐ襲いかかってきた。現実とのコネクトに少々時間はかかりつつ、また新しい気持ちで歩み始めるこの頃である。 この前もそうだが、評論を書き終えると、今まで通底して考えていた事柄が一気に収束して外に放出されるため、残された私の中は空っぽになる。言

        • 未次元vol.26/立原道造論を終えての心境

          立原道造論を終えて。 ちゃんと下準備までして書く評論は初めてで、とても仕上げるのは大変だった。直したいところや伝えたい所ばかりが出てきて、自分の力量不足や自信のなさに、ぐらぐらとふらつきながら最後まで書き上げた評論だった。自分に対しても、他人に対しても思うが、一つの事をやり遂げると言うのは周りが想像している以上に、本当に大変な事である。 友人の方が言ってくれたのだが、本当にやった、という既成事実を作る事のほうが結果より大事だと思う。特に私のような地位も名誉もないような人間が

        未次元vol.29/インスタレーションで思った事

          未次元,25/脳止

          立原道造論をnow執筆中なのですが、書いても書いても書いても終わらなくて発狂しそうですnow!oh,now!つれえええ 昨日は気分転換したすぎて、崎山蒼志さんのライブ行ってきました。元気貰いすぎたし、現実逃避が完了しましたので、頑張らんといけんなあああああああ

          未次元,25/脳止

          未次元vol,24/真夏の通り雨

          最近、サブ垢を作った。 個人作品とは別に、おすすめの作品や活動について呟く用だ。 私は好きなアーティストのプレイリストやインタビューで答えていた作品とかを見たり、きいたりするのが好きだ。そこで新しい作品に出会い、助けられたことが何度もあった。その人が他の人の作品に感動して生まれたものに、今度は私が感動する。 かつて同い年だった彼女が電車の中で聴いていた曲に、今、少女が、ベッドの中で耳を傾けている。 作品が呼び起こす心象風景には、一定に進む時間軸なんてものはなく、現在、過

          未次元vol,24/真夏の通り雨

          未次元vol.23/下り

          自己開示しようと思い立って始めてから何気に23週も続いているのは、すごいなと自分でも感心する。 夏休み中は、もっぱら映画を観て、読みたい本を読み、音楽を聴いている。 交流関係が少ない私は学校に行ってないと、他の人と文学や作品について語り合う場をそれほど持たない。一般家庭で生まれ育ったのもあって日常的に感想を言い合ったり議論したりはしない。 創作をしたいという気持ちが強すぎると、アイデンティティがそちらに傾いていって、ただ生きている私の存在が薄くなる。 家族や友達と話すと、何

          未次元vol.23/下り

          未次元vol.22/少女

          一年は早いが、また悩んだり悲しんだり、時々いい事があったりそういうのを毎日繰り返していくたびに、初めて創作したいと願った自分から、どんどん離れていって、違う私に変わっていく。 伝えたい事はたくさんあるはずなのに、伝える前にうつろってゆく。 メイクは鎧だと、耳にすることが増えたが、それと同じように幼い頃の私は言葉の美しさを信じて、そういう鎧を纏って、空白だった15歳のあの日から、憧れた人々に向かって歩いてきた。それが最初の約束だった。 けれどもそれは呪いでもあって、いつしかア

          未次元vol.22/少女

          未次元vol,21:自意識過剰/自己肯定感

          うむー、夏休みに入りました🌻 私、夏大好き。海大好きだし、夏生まれだし、植物綺麗だし。 毎日休みなので好きなことに時間が使える。けど割と、やらなくちゃいけない事と、休む時のバランスを自分で調整しないといけないのがムズイ。バランスを探しているこの頃です。 今日は本当に書くことがない。今週したことといえば、友達の作品と私の尊敬している崎山蒼志さんの作品に批評を書いた事と、餃子作ったくらいだ。あとは詩集の編纂を進めつつ、挿絵を描いたり、、、 結構やれることはやっているのだけど、

          未次元vol,21:自意識過剰/自己肯定感

          崎山蒼志「ビジョン」批評

          先日のkhakiさんとのLiveで崎山くんが「ビジョン」を歌ったという事で、くるものがあったので少し書きたいと思う。「ビジョン」という楽曲を見つめて思ったことを書きます。 この楽曲は、反戦歌ではあるけれど、政治的な思想を感じさせない、純粋な叫びになっている。ここにこの曲の輝きがある。 反戦を考える時、私は、嘘をついているのではないかと不安になってしまう時がある。 食卓につきながら、ニュースで戦争をみて悲しくなる時など、本当に悲しくなっていたら、こんな風に生活してはいけないん

          崎山蒼志「ビジョン」批評

          未次元vol.20/海

          月曜の夜中、全然眠れなくなり、「あれ?なんで眠れないの??というか、どうして、何も無いのに(何も無いから、、、?)こんな悩んでるの」と思って、「あ!疲れてるんだ。なるほど海行こう」と思って逗子へ行ってきました。 私は「ノクティルーカ」という曲が好きで兼ねてから夜の海へ行きたい、、、という欲望を日々積もらせていた。先日Orangestarさんのライブがあったこともあいまって、もう向かうしかないという決死の思い。 また、電車がとても好き。 というのも、必ず乗っていれば何処かに

          未次元vol.20/海

          未次元vol,18/帰還

          この前友達と話していたら号泣してしまった。 私は普段人前で泣けないし、泣かない。泣きそうになるとすっと自分が自分から引いてしまう。何でも入らないように俯瞰してしまう癖がある。どんなことでも。 それは気持ちが揺れないように、ずっと暮らしてきたからで、そうしなければ何処かで壊れて死んでいたのではないかと思う。それくらいギリギリだった。 だから恋愛できる人が凄いなと思う。恋愛するのも才能が必要で、心を動かすのって、思っているよりも誰でもできることではない。世の中では、キラキラし

          未次元vol,18/帰還

          未次元vol.17

          景色の中で私だけが剥がれてしまったみたいに、ぽつーんっとあるような気分だ。 土曜のバイトが終わって、電車がくるまでの間、エッセイに何を書こうか考えながらぼんやり待つ。 雨が続いているからなのか、ここ二、三日はふとすると行くあてもない淋しさや不安が溢れてくる。近頃は、草いきれや夏の雨の匂いにワクワクするいい気分だったのに、周期がやってくると塞ぎ込んでしまう。 こういう時、私以外の誰かの力が欲しくなる。でも、声が出せなくなってしまう。 私は今月で21になるのだけど、全然18か

          未次元vol.16

          歴史の文脈が汲み取れてないっていう、実力不足からくる不安がある。何か発言をする時にそれがどれくらい考え抜かれたもので、どれくらい文脈に沿っているか、はとても大事だと思う。 私は、自意識過剰ゆえに自己の来歴みたいなものにはとても敏感に生きてきた。どうしてこの行動をして、どうしてこの行動をしなかった。それは過去のトラウマからくる自戒も半分あって、できるだけ感じたことを率直に、出せるように心がけてきた。 当たり前だけど、これは個人史からくる体験談であって、抽象化されうるものでは

          未次元 vol.15

          言葉が口をついてでたとたん、それが全部ひっくり返って離れていくような感覚が私にはある。 とおい。 何をしても遠く、言葉は私のものではない。詩作の限界地というか、私の限界地、進んでいるはずなのに、頭打ちになってゆく感覚が、毎日毎日毎日続く。あってる、間違ってるではないはずだし、結局私は文学がやりたくて続けているだけだ。 創作を続けることで、どん底な私が、ひっくり返るようなことはなく、続けていると余計に、この不安はより鮮明に加速してゆくのだと感じる。 私が深淵を覗く時、深淵

          未次元vol.14

          先週勝手に休んだ罪悪感。 誰に見せようと思って書いているわけではないから、いいのだけれど、法事や何やらですっかり書くのを忘れていた。 只今は深夜4時。友達と飲んで帰って、お風呂に入るのがめんどーくさく、そのまま寝たら変な時間に目が覚めた。身体はだるくて仕方ない。入らなかった事を後悔する毎度のパターン。 その後もうまく寝付けず、何度も寝返りをうち諦めて風呂に入ることを決めた。 意味わからないくらい暑い湯煎に浸かり、好きな曲をかける。終始真面目に生きてきたので、こういう日常