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最近楽しかったこと

最近、楽しかったこと。
探してはみたものの、はっきり言って、見つからなかった。
だから今日は、好きなことをやってみようと思う。

わたしは、簡単なお菓子を作ることが好き。

簡単なお菓子とは、粉をふるったり、角が立つまで泡立てたり、そうしたことを一切やらないレシピで作るもの(自分基準)だ。

作る場所は、自宅。いちばん安心できるところ。
誰と作るかでちょっと悩んで、子どもを誘った。

でも子どもの返事は「めんどくさいから嫌」。
まあ、その気持ちはよくわかる。わたしも、仕事以外で何かを人にやらされるのが苦手だ。
子どもは、手伝ってくれることもある。やりたいときにやればいい。今日はひとりでやることにする。

本当は、ひとりのほうが楽だ。やり方を教えなくていいし、ミスをしても自分の責任にできるし、空気が悪くならない。

キッチンの窓を、風がごうっと叩いていく。最近は風が強い。
どこかでバケツか何かが倒れたような音もした。

さて、レシピはどうしよう。ちょうどオートミールを買ってあったところだ。
冷蔵庫に木綿豆腐があるから、オートミールと混ぜてドーナツを作るレシピにしようかな。

ばくばクックさんのレシピ動画は、面倒な作業をなるたけ省いた、材料の少ないレシピが多いのでとても助かる。

バランスボールに乗って跳ねている子どもをよそに、材料をあらかじめ出しておく。クッキングペーパーを小さく切っておくのと、お皿を出すのも忘れずに。

オートミール、砂糖、ベーキングパウダー。そして、軽く水切りをした木綿豆腐。材料は計りながらボウルにじゃんじゃん入れていき、調理用の手袋をして混ぜていく。

この作業は、粘土みたいで楽しい。硬さも、ちょうどそのくらいなのだ。
粘土板の上で、ばちん!ばちん!と粘土をこねくり回していた記憶が蘇ってくる。

材料が混ざりあったらボウルの中で平たくして、6等分。
なんとなく、1個1個が小さいほうが、たくさん食べている気分になれる。

タネを1つずつ丸めて、真ん中に指を入れてドーナツ状にする。
クッキングペーパーにドーナツをのせて、ひとつずつ電子レンジにかける。

電子レンジから取り出すと、それまで白かった見た目がすこし茶色く、またベーキングパウダーのおかげですこしふくらむ。

出来上がったドーナツを冷凍していたら、子どもが「オートミールのクッキー食べたい!」と言ってきた。前に作ったとき、やたら気に入っていたのだ。

「おっ、じゃあ一緒にやろうぜ」と誘うと、サーッと逃げていく。今日はどうしても手伝いたくない気分のようだ。

誘い方がまずかったかな。「やろうぜ」じゃなく、「やろっか!」と楽しげに? 「手伝ってくれるならいいよ」だと、もう「食べたい」とも言わなくなりそう。

そんなことを考えながら、ブックマークしておいたレシピを探す。

それじゃあ、オートミールのクッキーを作ろう。

さっきドーナツを作ったボウルに、またオートミールをざざざっと入れていく。
火を通すから、ちょっとぐらいドーナツの具が残ってても良かろう。

このレシピも簡単。オートミールを入れて、はちみつと油と牛乳は同じ分量。お好みで塩、あとは混ぜるだけ。
なんて楽なんだろうか。感動すら覚える。

今回のタネは10等分にする。
丸めてから平たくつぶし、形を整えると、油とはちみつでぴかぴかしている。
それを予熱したオーブンで焼いたら出来上がり。
見た目も味も上級を求めない、楽ちんお菓子作り。

オーブンを開いたとき、ふわっと上がってくる香りと熱気が好きだ。

もちろん、バターとか生クリームとかバニラエッセンスとか、材料を揃えて手間暇かけて計量もきっちりやって、レシピ通りに作るお菓子は美味しい。
ただ、わたしがそれをすると疲れてしまうだけで。

ざっくり目分量で、工程も少なくて、ちょっと材料が足りなくてもフォローできるレシピのほうが性に合っている。

ものを作ることは、楽しい。
誰かと何かを作りあげることも嫌いではないけれど、わたしは基本的にはひとりでの作業が好き。
ただ、それも市販品や電化製品の力を借りてのこと。
今日参考にしたレシピの動画だって、たくさんの試行を重ねて、撮影や編集を経て、公開されたものだ。

わたしは自力で火を起こすこともできないのに、ひとりで作るのが好きなんて言えるのかな、とも思う。

窓の外では、風が強くなってきた。

クッキーを金網にのせてぼんやりしていると、抜かりなくやってきた子どもが、あつあつのクッキーに手を伸ばす。
はふはふしながら「美味しい」と言う子どもの顔を見て、作って良かったなと思った。

「今度は手伝ってあげてもいいよ」

なぜか偉そうに言う子どもに、笑ってしまう。

でも、そうだな。
自分の作ったお菓子を食べてもらって、美味しいと言ってもらえるのは、嬉しい。
それは、ひとりでは味わえない類の感情だ。

わたしは、ひとりのほうが楽だけれど。
ほんとうにひとりで作っているとは、言い切れないけれど。

時には誰かと一緒に何かを作って、楽しいとか嬉しいとかを感じてもいい。
たとえ上手くいかなくても、後から振り返ってみたら、それはそれでいい思い出になるのだろう。

日曜日の午後。
春の嵐は激しいものの、日差しはやわく、あたたかい。

オートミールはまだ残っている。
子どもと何のお菓子を作るか、レシピを探しておかなくちゃな。



読んでくださってありがとうございます。
この記事は、無名人インタビューさんのオンラインライティング講座「筆と鍵」の1回目の宿題として書きました。

こちら、無料で参加できるので、気になる方はぜひぜひ。

When:今日(日曜日の午後)
Where:自宅で
Who:わたしが
What:オートミールのお菓子を
Why:食べたかったので
How:作って食べた
〔気づいたこと〕:ひとりもいいけど、ひとりじゃなくてもいい

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