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深夜バスと誕生日

今日はわしの誕生日だ。
51歳になった。

51は17で割れるから好きだ。
きっといい1年になる。

わしは今朝深夜バスで実家に帰ってきた。
とくに用事などないのだが、でも用事を思い出した。

わしを産んで育ててくれた両親に、ありがとうを言いたい。


わしと両親は今までずっと仲が悪かった。
何度も何度も絶縁した。

いろいろな理由があったが、
もうそんなことは本当にどうでもいい。

父親のほうはかなりボケてしまって、
わしのことがわからなくなっている。
でもたまに思い出す。

母親は頭はしっかりしているが、
腰が曲がりずいぶん歳をとった。

そんな彼らに今さら恨み言など言うつもりはないし、
それにもう、まったく彼らを恨んでない。

おれが「こんなふうに生きるしかなかった」のと同じように、
彼らもまた、「あんなふうに生きるしかなかった」のだ。

それをただ、受け止めたい。

自分を許し、おとうさんを、おかあさんを、ゆるしたい。
そして労いたい。

いままでありがとう、と。

どうせ時間はまだまだ腐るほどある。
おれはまだまだ働かんからな。

だったら、お礼くらい言いに行ってもいいだろう。

おれの実家は関東よりも西の方角にある。
深夜バスに乗って里帰りするおれのための歌。

ちょうど雨も降ってるしな。


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