【自分の”アレ”を斧で切断】マジックマッシュルームの恐ろしい幻覚症例!
薬物使用に伴う幻覚症状については、虫が這いずっていると幻覚を見て皮膚をかきむしってしまうなど恐ろしい話をよく聞きます。
しかしこうした幻覚症状でどの程度の悲劇が起きるのかという疑問については、実際発生した症例を集めていくしかありません。
そんな中、幻覚による非常に恐ろしい自傷の症例が報告されました。
オーストリア・フェルトキルヒ病院(Hospital Feldkirch)によると、うつ病とアルコール依存症を患っていた37歳の男性がマジックマッシュルームを過剰摂取したのち、強い幻覚症状に襲われ、斧で自らの性器を切断してしまったとのこと。
マジックマッシュルームの乱用による事故は多数知られていますが、医師チームは「これは過去に前例のない症例である」と報告しています。
男性の性器はその後どうなったのでしょうか?
研究の詳細は2024年9月21日付で医学雑誌『Mega Journal of Surgery』(PDF)に掲載されました。
※ こちらの症例報告内には実際の患部の画像が貼付されています。大変過激な内容のため、どうしてもという方以外は閲覧をお控えください。
参考文献
元論文
Penile Replantation after Self-Amputation Following Psilocybin-Induced Drug Psychosis(PDF)
https://megajournalofsurgery.com/wp-content/uploads/2024/09/MJS-79-2016.pdf
※切断部分や手術の写真などが含まれます。閲覧にはご注意ください。
ライター:大石 航樹(Koki Oishi)
愛媛県生まれ。大学で福岡に移り、大学院ではフランス哲学を学びました。 他に、生物学や歴史学が好きで、本サイトでは主に、動植物や歴史・考古学系の記事を担当しています。 趣味は映画鑑賞で、月に30〜40本観ることも。
人類はいつから「マジックマッシュルーム」を使ってきたのか?
マジックマッシュルームとは、シロシビン(サイロシビンとも)という麻薬成分を含んだキノコ類の俗称です。
マジックマッシュルームを摂取すると、シロシビンが脳に作用し、中枢神経の興奮や麻痺を引き起こします。
その結果、摂取後15〜60分ほどで幻覚や酩酊状態、発熱、狂乱といった症状が現れ始めます。
マジックマッシュルームの歴史はとても古く、人類は何千年も前から宗教的な儀式目的で使用してきました。
約7000〜9000年前のアルジェリアの壁画には、マジックマッシュルームと見られるキノコを持った踊り子の絵が描かれています。
また南米のマヤ・アステカ文明でもマジックマッシュルームが流通しており、宗教儀式や病気の治療に使われたことがわかっています。
日本でも古くからマジックマッシュルームが知られていたようで、12世紀の『今昔物語』には「山で道に迷った女たちが空腹のためにキノコを食べたところ、踊りたくてしょうがなくなった」との逸話が記されています。
このようにマジックマッシュルームは世界中の温暖・多湿な場所に広く自生しており、人々に向精神薬として用いられてきました。
特に医療が発達した現代では、マジックマッシュルームの治療効果が注目を集めており、適量の摂取であれば、うつ病や不安症、PTSD(心的外傷後ストレス障害)の改善に効果があることが示されつつあります。
ただ、毒と薬は紙一重の存在です。マジックマッシュルームの使用による深刻な幻覚作用と、それに伴い事故を招くケースも数多く報告されています。
例えば、日本で確認されているケースだと、
などが知られています(東京都保健医療局)。
日本ではかつてマジックマッシュルームを入手すること自体は合法でしたが、こうした一連の事故・事件を受けて、2002年(平成14年)からシロシビンを含有するキノコ類を「麻薬原料植物」と認定し、故意の使用・所持を「麻薬および向精神薬取締法」によって厳罰化しました。
マジックマッシュルームの法規制は世界でも広く進んでいますが、それでも法の網をすり抜けて個人的に入手し、幻覚作用による事件・事故が続いています。
そして今回、オーストリアで報告されたケースは過去に前例のない悲惨なものでした。
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