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ガソリン。

楽なほうを選んでしまいそうになる。
ついつい。良くないのに。

楽。そう、楽なのだ。
私は曖昧なものにふらふら吸い寄せられる。
とっ、とっ、とっ。つま先立ちでくるくる踊りながら。
曖昧な物。人。場所。目に見えるものから見えないものまで全部、薄汚くて、綺麗で、心地よい。
ひらひら舞う。能面を被って。
「楽しいな♪」
口でそう言い笑顔を作る。本音なんてどこかにおいて。
だって、それが楽だから。

似てるものは引き合う。
だから曖昧な側からも、時々惹かれるようで。
チクタク、チクタク。時が進む。何の意味もなく。

グレーが好き。性格は白黒だけど。
どちらか一方なんて、生きてたらそんな割り切れるばかりじゃない。
そのグレーの中で、なるべく正直に。

昨日、親友から電話があった。途中からは堰を切ったように泣いていたが、私は気づかないフリして、いつもの調子で会話をした。

電話を切った後、ある考えが浮かんだ。
今朝になってもまだその案が消えないので、親友の予定を伺い、近く話してみることにする。
悪くない話だと思う。
明日なら時間を作れるそうだ。

昨日は土曜。
今日は日曜。
明日は月曜。
まだかな。明日。少しだけ楽しみができた。

毎日あっという間に過ぎてゆく。
気怠げでも、やる気に満ち満ちていても時は待ってくれない。

最近届いたカーペットと、何年も前に個展で買ったけれど箱から出せずにいるキャンパスアートを交互に見つめ、アルファ波の音楽に揺蕩っている。

目を閉じる。

とぷんっ。水中から見る景色も、曖昧だ。歪んでいて最高。気持ちいい。

この液が全てアルコールで、一気に火をつけられたら。
全身を灼熱に包まれたら。
火をつけた人を引きずり込むの。

そして、炎より燃えるキスをするの。

私は今、液になりたい。

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