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29﹏260﹏日記

(見出し写真は新幹線の車窓から静岡あたりの海を眺めるなぜちゃん(ぬいぐるみ))

「18時42分東京発に乗った。
湿った薄霧がかった梅雨のこの時間の変わりゆく青が何より好きだ。
空気がしっとりして冷たい。
新幹線の窓から時折空の色と同化したうすぼんやりした水色の海が遠くに浮かんでいるのがちらちらとみえる。」

これは数年前に 新幹線に乗り込んだときに書いた詩がメモアプリからでてきた。

祖母がゆるやかに だけど急ぎ足で老いていく感じがする。暑さのせいなのか。
8月は月末にしか帰れないので 、一旦慌ただしいけれど週末に帰ることにした。

退勤後に東海道新幹線へ乗り込み、新大阪をめざしている。
せっかく夏(初夏でもなく/夏の終わりでもなく/お盆でもなく 正式な夏)に帰るのだから、
淡路島の海辺で朝をむかえるために、新大阪で元パートナーと待ち合わせをする。
これから淡路島の端まで車を走らせる予定。
(わたしはペーパーなので島だと道も真っ直ぐだから練習も兼ねてくれるらしい)



それにしても新幹線の車窓が好きだ。
わたしは富士山が見える側よりも、海沿いの街が多く見える側が好きで、わざわざ3列シートを選ぶ。
こんなにも色んな場所で住んでる人がいるんだと到着するまでの車窓を永遠と眺めてしまう。
今日は日が長い夏の空の色が徐々に変わりゆくのを眺められるのだから、もうこれは仕方ない。


好きな景色がいくつもある。

小田原付近のトンネルとトンネルの間の0.5秒間くらいしか現れない海が頻発するところ|海を奥に並行する在来線や海辺の街|遠くにヤシの木らしきものが見えはじめると海が見え|海の向こうに浮かぶ島|オレンジ色に反射するいくつものばしょにいる観覧車たち|以前、夜に乗車した時に多治見行きの電車の中のおにぎりを頬張ってる人と 目が合ったことがある(気がしただけか)|山の形もゴツゴツしたものやなだらかなもの|綺麗な三角形だったり|名古屋から京都間の山の中に現れる(たぶん)蓮の池

2時間30分ほどのの間に街を通過したり
(それも開発されきった)
山の中に入ったり、この街は瓦屋根ばかりだなとかおもったり、農作業をしているひとの後ろ姿や、工場地帯、海辺の街を眺めたり...何度も現れる墓地、ずっと車窓を眺めないともったいない。
これはもう義務。
だけど、ずっとここで住んでるであろう人々の集落を目の前にすると 手放しにたのしい〜とおもえない自分もいる。
きっと去らなければいけなかった人も沢山いるだろう。
その上にわたしたちの「便利」は成り立っている。



ほんとうはいつも本を何冊も持ち込んで読もうとしてる。
仮眠の準備もする。
それをできる日は大体、景色が真っ暗な夜の中を走行する時のみ。
だけどそんな時でも夜も街に差し掛かるとネオンに興味をそそられてしまう...

ああもうすぐ終点の新大阪だ。
オレンジのひかりを浴びながら日記をかきはじめたけれど 淡い静かな青から深い群青色の空に変わりつつある。

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