見出し画像

ヤングNazca海外出張ソウル編⑥

子供の頃 ご飯に味噌汁をかけて食べていたら親に怒られた記憶がある。
ウチの親はご飯の食べ方には人一倍厳しかった。


ソウルスタッフと挨拶を交わした僕と岩巻課長は早速軽い打ち合わせを行った。

.展示会サンプルの納期確認
.製品納期確認
.製品先上げ確認

確認 確認である。

打ち合わせ後、ランチをしてから14:00にホテルにチェックインをしに行く予定となっている。

ソウル事務所は色々な種類の反物やボタン等の付属品が乱雑に置かれており
この事務所も縫製工場ではないかと思うくらいある種の「現場感」を醸し出していた。

会議の椅子につき、しばらくするとスタッフからある飲み物を頂いた。

それは黄色い可愛らしいひし形の容器に入っており、飲み口はヤクルトと同じアルミで密閉されていた。
ストローをさして飲んでみると、日本でも飲み慣れたバナナミルクのような味だった。
普通に美味い。

この可愛らしい飲み物を
ヒッピーのような長髪で髭面の岩巻課長が飲んでいると少しファニーだ。

岩巻課長はそんな僕の気持ちも知らずに上海とは別人のような積極性でこの会議を回していった。

翻訳の女子スタッフに愛想を振りまき常に饒舌である。
もはや自身にプレッシャーを与える人間等おらぬと踏んでいるようだ。

大まかな打ち合わせが終わり
現地スタッフがよく利用する食堂でランチをすることになった。


2000年 7月の韓国
日本と同じくらいの猛暑 
徒歩で移動するだけでどっと玉のような汗が流れてきた。

食堂の中はとても冷えておりこの高低差で身体を壊してしまいそうだった。

ランチは現地スタッフ達が適当に頼んでくれた物を食べた。

驚いたことに数種類の小鉢がドンドンテーブルに置かれていき、各一品料理がテーブルに置かれた頃は、法事もしくは宴会のような状態になっていた。

黒い器に入った熱々の味噌汁 チヂミ 冷麺
色々な物を食べた。
もちろんキムチも。

僕と岩巻課長はもうお腹いっぱいである。

岩巻課長
「昼からこんなに食べたら仕事にならないよ」

同感である。

だが僕たちとは反してスタッフの女子達は
「パッピンス」と呼ばれるカキ氷までシメで食べていた。

皆とにかくよく食べる。

パッピンスは日本のカキ氷とは違いフルーツやその他甘味料をふんだんに使うスウィーツだった。

女性スタッフのイ.ボン.キムは
そのパッピンスを脚の長いスプーンで全体的に混ぜ始めていた。

いや、混ぜるという表現では優しすぎる
「こねくり混ぜる」という表現がぴったりである。

出てきたばかりのパッピンスは見た目も鮮やかで美味しそうに見えていたのに
今ではグッチャグッチャに混ざり合っており
食べた後の胃の中を見させられているようで少々不快な感じがした。

「どうしてそんなに混ぜてしまうの?」

僕はイ課長に問いかけた。

イ課長
「韓国ではなんでも良く混ぜて食べるんですぅ」


どうやら良く混ぜたほうが全体的に味が均等になって美味しく食べれるそうだ。

そう言えば誰かがビビンパを食べている時も
脚の長いスプーンで念入りに
「こねくり混ぜて」いたのを目撃した。

なるほど…
納豆をご飯の上に掛けて
その後ご飯と良く混ぜ合わて食べた方が
美味いと感じるタイプの集まりだ。

もし韓国人が
ネギトロ丼や
ミートソースパスタ
カレーライスを注文したら
最初の儀式として「こねくり混ぜる」作業を終えてから食べるのだろう。
メイビー。

生粋の韓国人アジョシと
フランス料理を食べに行ったら
やっぱり「こねくり混ぜる」のだろうか?

⑦へつづく

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?