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変わりゆくもの

世の中が昔と変わったなぁと思うことがあるけれど、果たして世の中は本当に変わったのだろうか。
それを自分で判断するのは意外と難しい。

時の流れと共に歳を取り、世間での立ち位置や暮らしは変化する。
立ち位置や暮らしで世の中を見る目は変化する。

自己のアイデンティティは、今この瞬間の「自分が自分である」という認識の連続で保たれているために、10年前の自分と今現在の自分を同じだと考えてしまう。

いつだって自分は自分なのだから、矛盾することはないだろう、と。
考え方が180°変わったと自覚するような特別な出来事でもない限り、今現在の自分が当たり前だと信じている常識や価値観を、10年前の自分も同じように持っていただろう、と。


けれども、人間の思考は思ったよりもコロコロと変わるし、記憶を都合の良いように書き換えてしまう。
10年日記というものをやっていると、それをひしひしと感じる。

世の中が変わったと思うのは、自分の見方が変わったからであって、実際のところ世の中は何も変わっていないんじゃないか。


自分が変わったのか、世の中が変わったのか。
答えは多分両方だろう。


自分の変化の影響を一切なくして、世の中が本当に変わったのか、という検証しようもないことがたまに気になって仕方がなくなるのは、おそらく自分だけだろうけれども。

でも、思考が変わりゆくことは悪いことではない。
この歳に、こんな思考を持ち、この時代を生きたということが、一期一会のようなかけがえのないものに思えてくるから。

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