追憶ノ彼方 〜神社、同窓会、白鞘の短刀、暗示〜

大人数で集まる夢を見た。

どうやら僕が幹事らしい。
Aグループ、Bグループと分かれており、18時頃からぞろぞろと人が集まり始めた。
何やら同窓会の様だ。

会場は家の隣、R宅近くにある神社付近。(実際は神社などない)
駐車場にぽつぽつ人が集まり始めた。
僕は自撮り棒とiPhoneを片手に動画を撮っていたが、夜なので暗く、写りが悪い部分もあったのを覚えている。

友達の弟がアメリカンバイクを車に載せて持ってきていた。
兄から譲り受けたという。
昔仲の良かったHやTなども合流し、懐かしむ面子に、いよいよ宴会が始まるという所だった。

僕は来た人を屋内に招き入れてから、神官の洗礼(お祓いの様なもの)を受けるべく、1番から順に神官の元を廻っていた。
4番の窓口で神官に短刀を見せる様に言われた。
僕が持っていたのは白鞘の短刀だった。

神官はそれを抜くと暫し見つめ、切れ味が落ちている、そう僕に言った。
研いで来た筈なんだけど、と僕が答えたのも束の間、神官は丸い砥石で短刀を研ぎ直してくれた。

同時刻頃、何やら周りが騒がしくなってきた。
僕は白鞘を腰に差し込んで騒がしい方に向かった。

すると神社入り口の鳥居に人が集まっている。
吸い寄せられて動けない!誰かがそう言うと、僕の身体も自由を失い、石像の様に動けなくなった。

次第に人が集まり、人波が僕を飲み込んだ。
僕は背にした神社本殿まで押し返された。

すると鳥居が白く光り、大衆は怯んだ。
僕達は動ける様になり、神社を遠ざかりみんなを非難させたのだった。

離れの館では部屋を分けて大宴会が催されており、副幹事に先ほどあったことを相談した。
先程の衝撃的な事象にトイレで泣いている女性などもいた。

事の再発防止に対策しようと言う話になり、再び神社の本殿まで来た。
先ほどのひと気は嘘の様に神社は静まり返っていた。

何の変哲もなかった。
不思議な思いと共に空が明らみ始め、夜明けを告げる光が差し込んできた。

動画、撮れてるかなそんな事を思い、
事実は小説より奇なるものなのだ、と副幹事の言葉に僕は首を傾げた。
白鞘の短刀は僕の腰元で抜かれる事なく眠っていたのだった。

夢の中の疲労度とは裏腹に目覚めは良く、思考がクリアな朝を迎えた僕は、
様々な考察と意味の無い架空の事象の紐付けに必死になっている。

全ての事象に意味など無いのかもしれない。
全てそうだから、そうなのだ。
それ以上も以下もない。
人間は愚かな考える葦でしかないのだから。
運命には抗えど、さだめには抗えず、人は誰彼も輪廻に帰して行く。
思考や考察などは無意味なのだ。
大極を視よ。

そう自分に暗示していると解釈してこの夢は終わった。

2月も過ぎたある日の夢のお話。

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