宝くじが当たった。500万。
宝くじが当たった。3等。500万。
忘れもしない、2006年12月31日。
南海難波駅の宝くじ売り場で買った。
年末ジャンボ、バラ10枚。
まあ、別に当たらなくても良いし、と
欲がないアピールをしながら買った。
買った時点で欲があるんだが。
日本橋の築40年のボロマンション。
名前は「幸福荘」というふざけた名前。
こんなボロマンションで幸福もクソもない。
とにかくパソコン画面で宝くじ片手に
当選番号確認をしていた。後ろには彼女が
寝転んでいる。色白でスレンダーで
大きな目と黒髪。昼はホテルで事務。
夜はバニーガールのバイトをしていた。
下着はいつもTバックで、バニーの衣装を
着る時には都合が良いらしい。
「あっ!当たった、当たった!500万!」
血が身体中を駆け巡る感覚。興奮状態。
これで抜け出せる!どん底から抜け出せる!
今思うと500万で抜け出すも何もないが
当時は鬱でゲーム会社を休職中で、判断力が
鈍っていた、いや、単なる屑だったので
目先の小金に舞い上がっていたのだ。
舞い上がった自分は彼女にも「これ結婚資金にできるね」などと言っていた。
鬱で休職中で結婚もクソもない。
ともかく、正月明けにみずほ銀行に向かった。
当選確認してもらい、受付ブースに通された。
噂に聞く奥の部屋には通されなかった。
どうやら1等当選で億当てないと入れないらしい。受付窓口のお姉さんが「羨ましいですぅ!何に使うんですかぁ?」などと言ってくる。
曖昧な返事をしつつ手続きを済ませると
実際の受け取りは5日後の事。500万の為なら
5日くらいどうって事ない。
先の事など考えず、本当に舞い上がっていた。
これが転落の始まりと知らずに。
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