33歳、SSRガンを引く②(精巣腫瘍/造影CT)

続き物です。精巣腫瘍という希少なガンに関する概要は①で触れています。

というわけで本日から入院開始。精巣の摘除手術は明日行われるものの、事前の説明や造影CTスキャンによる現時点での転移の検査が行われた。
今週一杯の入院では大きな進展は基本的にないので、スーツケース一個持ち込んで悠々と遊ぶ気満々の布陣で突入。病院のロケーションが良い上に高層階なので
コロナ対策で開けられた風が爽やかで気持ちよく、オープンスペースの眺めがすごい。WIFIも通ってますからね!と言われて喜び勇んで今日配信が始まったFallout Shelter Onlineを落とそうとしたら全然繋がらなくて泣いた。どうして…

高位精巣摘除術

明日の手術について事前説明。コロナリスクを踏まえて慎重に判断するということだったが、結局全身麻酔とのこと。子供の時に経験して問題なかったので、まるまる時間をスキップできる分ありがたい。麻酔は手術の終了後、十分程度で覚醒するものらしい。
で、尿道カテーテル。やたらと違和感を強調されるが、要はオート放尿尿瓶なので、我慢せず流れるに任せろ、おもらしマシーンになれということらしい。合点だい!フォースも流れを自然に感じることが重要ってスターウォーズで言ってた。
切る系の手術後全般に言えることだが、切創の疼痛は痛くなりそうな時点でもう痛み止めを飲んでおくのが重要とのこと。効くまでに時間かかるからね。あまり我慢しないことが大事ということで、すぐ処方してもらえるようでありがたい。
ちなみに高位精巣摘除術とは、高い位置から精巣を引き出すように摘除する手術ということ。低位とか中位があるわけでもなく、時計塔で学べるものでもない。

造影CT検査

説明の後にメシを抜いて臨んだ造影CT検査。通常のCTと違ってヨードからなる造影剤を血管にものすごい勢いで流し込むことで体内を着色し精彩にマッピングするという代物。ちなみに造影剤は注入時に全身が熱くなるような感覚になるとのことで、キメッキメのWRYYYを期待していたが、正直そこまででもなく…ちょっとゆらゆらっとする感覚があったぐらいだろうか。検査自体も十分程度で終わってしまった。
CTというと土管に入るみたいなイメージだが、今回のはアーチみたいなサクッとした機材だった。うーむ。
これのために昼飯抜いたのだが、明日また手術で1日絶食なので今日の夕飯を食べたらまた空きっ腹アゲインである。そして検査後に気になっていた病院のパン屋に行ったら、コロナ対策のためかもう閉まっていた。最上階のレストランもコロナで休業。入り口に張り出された三元豚とんかつ定食の写真を虚無の目で見つめるしかない。どうして…

血液検査およびCT検査結果

落ち着いたところで先週の血液検査と今日の造影CTの結果を主治医さんから伺う。良いニュースと悪いニュース、どっちからにしようか?
造影CTでは全身の現在の転移状況を知ることができるが、今日の検査の時点では何もないことが確認された。少なくとも転移し別部で腫瘍ができるような進行度ではなく、ステージは早い段階であろう、とのこと。
一方で血液検査。今回の症例における腫瘍マーカーとされるのはLDH、AFP、HCGだが、残念ながら最後のHCGで40倍近い異常値が検出された。現時点では何を確定できるわけでもないのだが、伺った内容はこんな感じ。

●HCGは特殊な動きをするアイテムであるが、基本的にセミノーマでは高まることはない(セミノーマでも高まる場合はある)
●非セミノーマである場合でも、異常値は精巣腫瘍の直接的影響による場合もあり、摘除後の半減期中に値が半分また半分と下がっていく。最終的には月末の最終判断時の血液検査の状況と照らし合わせないと、潜在的な転移があるかどうかはわからない。

いろいろな可能性はあるにしろ、現時点での最有力は非セミノーマのステージ1−2だろう。早期のステージである時点で死亡の可能性はほぼほぼ排除できたとして、非セミノーマの場合、脈官侵襲が摘除後の病理検査で確認されるかどうかが1番の鍵となる。
考えられるシナリオは下記の通り。

①非セミノーマで脈管侵襲ありの場合は潜在的転移ありのため化学療法へ移行。治癒率には期待できるが、ネックは副作用と入院期間だ。2クール行うのが通常のため、7月から二ヶ月は入院になる可能性が高い。通院治療の可能性を伺ったが、若いほど副作用の反応は強くなりがちなので基本的には入院推奨。少なくとも1クール(一ヶ月)は入院絶対だが、その時の状況によって、2クール目のどこかで通院に切り替えられる可能性はあるとのこと。
リモートワークで仕事を続けることも検討する必要があるが、それでも不定期に穴を開ける可能性があるのでまとめて傷病休職になるかも?このあたりは帰ってから就業規則を確認して、人事部と協議になるだろう。

②非セミノーマ早期で脈管侵襲なし、hcg正常化(転移なし)の場合。ガイドラインによればこの場合の再発率は3割ということで、依然として化学療法は選択肢に入ると思われるが、経過観察への移行も考えられる。7月から異動で新しいプロジェクトに関わるので、そことのバランスも考えながら判断だろうか。現時点でのグッドエンド。

③セミノーマの場合。あまり考えていないがHCG自体がやや特殊要素とのことで一応。ほぼほぼ経過観察に移行するベストエンド。

所謂最悪のシナリオの可能性は下がっており、現時点では化学療法への対応をどうするかという話になりそうだ。3割が5%未満になる話なので、基本的には叩ける時に叩きたいが、とにかく最終決定がなされないとなんともいえない。

経済的対策

抗がん剤治療や長期入院の際に気になるのが経済的な影響。ここまでに確認できた対策を整理したい。

・高額療養費制度

保険適用が可能な治療である場合には治療費の3割負担で済ませることができるが、さらにそこから月々の自己負担が概ね十万円以内(高齢か否か、年収等によっても変わるが)に収まるよう、3割適用後の総額と自身の適用限度額との差額を支給する制度。入院時にも案内がある。
申請先は健保または国保だが、事前に申請したかどうかで大きく差が出る。入院が確定した段階で健保から限度額適用認定証を送付してもらえるよう申請することが非常に大切だ。何故なら、この制度自体は本来後から差額分を支給するという性質上、一時的にでも3割適用後の額面で自己負担する必要がありキャッシュに痛い。給付も数ヶ月かかるのでよろしくないのである。一方で限度額適用認定証の申請を迅速に行うことで、発行月から本証が適用され、請求時の時点で既に差分を引いた限度額内での自己負担で済む
自分の場合、先週木曜に診察後すぐ健保へ電話し、来週月曜から緊急入院となった旨を連絡した。本来申請には原本の郵送が必要だが、こうした場合ではPDFの送付で手続きが進められるとのことで、金曜にPDFを提出し先方からも速達を同日送付。無事週末に限度額適用認定証が届き、入院時に提出できた。
尚、入院時に間に合わない場合でも当月内に提出できれば適用されるようだ。これでイニシャルの負担はかなり抑えられる。

・医療保険
高額療養費制度の落とし穴というわけではないが、保険代理店でいくつか留意点を聞いた。この制度は毎月で区切るため、例えば入院期間が中途半端に月またぎになって各月の負担額が適用限度額を越えない場合は適用されない。本来総額18万円が10万円に減るべきところ、9万・9万だとダメ、とか。また抗がん剤の月内の投与数によっては・・・など、入院という枠の中で固定的にかかる費用以外の部分では小回りが効きにくい。こうした部分は医療保険の一括給付金や通院オプション等でカバーしたいところだ。
自分の場合は保険料免除特約、一括給付金がダイレクトに効果があり、入院の場合は入院給付で少し戻ってくるイメージ。貯金の出動はあるだろうが幸い夏のボーナスと貯金の合わせ技で概ね問題ないと見ている。

・傷病手当金
長期入院などにより休職する場合、給与は支払われないが代わりに傷病手当金が支給される。概ね通常時の3分の2程度の額面になるようだ。長期的にみると冬のボーナスなどに響いてしまうのだが、短期的にはありがたい。地味に一年半は給付資格があるらしい。

今日のところはこんなもんだ。
リスクとはうまく付き合いつつ、不労所得の拡大やリモートの利点を活かした副業等も考慮して調整しながら生きていきたいところ。
まずはFallout Shelterのローンチキャンペーンが終わる前にWIFIルータ直してくれ、頼む!

サポートいただいた方、誠にありがとうございます。サポートいただいた分はすべて精巣がんの治療費に充てさせていただいております。