ミナリを見てきた「母の役割」「父の役割」

「ミナリ」を見てきました。予告編に対する文句は置いておくとして、映画そのものへの感想も置いておくとして、母親とは父親とは、自分は何を選択するべきかをとても考えさせられた映画でした。

ネタバレしてしまうとは思うのですが、少しボヤけさせて書いておこうと思います。大丈夫だよ、という人は続きをお読みください。

私は二人の男児を育てる母親なのですが、夫は仕事もしている主夫です。つまり私が稼ぎ頭。夫はいわゆる主婦のパートくらいの収入です。世界的にはどうか知りませんが、今の日本の一般家庭とは逆転状態にあります。

というわけで自分は母親でもあり、父親でもあるため、ミナリの内容はかなり刺さりました。

今、といいますか、もう何年も前から、自分の仕事の仕方に疑問を持っては、少しずつ方向転換をしてきました。それでもまだ180度回転予定だとしたら、やっと散々漕ぎまくって船が向きを変え始めたかな?いやひょっとしたら流れに逆らってすぐまた0度まで戻っちゃってる?のような状態が続いています。妊娠して戻されたり、出産して戻されたり、授乳期に戻されたり、まあいろいろ言い訳はありますが、とりあえず現状そんな感じ。

仕事の内容は、ミナリでいうところの「ヒヨコ」がずっと中心でした。でも私は「畑」がしたいのです。毎日毎日ヒヨコのお尻を見ていれば家族を安定して養っていける、それだけで十分じゃないか、さあもっと早くヒヨコの尻を見分けられるようにならなければ、そんなモニカのような気持ちでずっと働いてきました。

でも、私のなかにはジェイコブもいるわけで、おいおいヒヨコは確かに可愛いけど、ずっとヒヨコのお尻だけ見分けてる人生でいいのかい?本当は韓国の野菜をアメリカで売って一儲けして、「成功」を手に入れたかったんじゃないのかい?という気持ちが消えることはなく、毎日がヒヨコに埋め尽くされていくと、経済的には潤っても、だんだんと気持ちは消耗していくようになりました。

最近は畑でヒヨコを育てるような仕事も増えてきて、そういうのがもっと中心になっていくと家計も精神も安定するので、そういう暮らしが理想です。それじゃあ、そういう仕事だけを待って、日々は畑を耕していればいいか、と思い3月に納品の山を超えてから4月は割と好きに過ごしていました。

でも、やっぱり収入が足りないのです。

我が家は税金や保険、光熱費、などを考えると月に30万円くらいは必要になります。(国民年金+年金基金だけで月5万円以上)さらにこどもの将来の学費、国民年金の夫婦の老後、中古住宅のケア費用まで考えると、30万円+たくさんの貯金が必要となるのです。

この金額に達するには、たまにヒヨコしているだけでは全然足りません。畑で育つヒヨコを誰かが持ってきてくれるのを待っているわけにもいきません。もっと毎日クタクタになるまでヒヨコを見るか、畑で作物をちゃんと収穫して出荷までいきつくしかないのです。

ヒヨコはいいですよね、すぐお金になりますから。安心します。ヒヨコだけで家族が安定して暮らせるならヒヨコで十分じゃないか。私の中のモニカがいいます。

でもヒヨコだけでいいの?ひとつ終わるたびにあんなに消耗して辛かったじゃないか。畑に行こうよ。私の中のジェイコブが言います。

私の畑はまだまだです。種や苗の状態です。しかもここからの育て方がわからない。水をあげればいいのか、肥料を足せばいいのか、出荷先のあてもないまま育てる意味はあるのか。そんな状態です。そんな五里霧中な畑ながらに、土を耕して種を蒔いているのがせいぜいあちこちのSNSです。

いや、このままじゃ作物にならんだろう、出荷できんだろう、お金にならないだろう、という恐怖が早くもやってくるようになりました。まだ4月も下旬に入ったばかりなのにです。

私は社会的役割としては父親であると同時に、こどもたちにとっては母親なのでジェイコブのように突き進む力がどうも不足しているような気がします。母親気質を手放さないようにしながら、父親としての役割を果たしていくって結構大変です。

ところであのパンフレットみたいなの、自分だったらどんな風に作ったらいいかな。そうか、それを考えればいいのか。考えなくちゃ。

ま、やるだけやったあとにもし全てを失ったとしても、たぶんその前より少し清々しい気持ちでいられるよね。いえ絶対に火事にはなりたくないですが。

尚、うちのおばあちゃんはたいぶ動きが遅くはなってきましたが、まだまだとても元気です。

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