ジョブ理論で考える、TANPACTがただのザバスの下位互換じゃない話
概要
ごく似たプロダクトでも解決するジョブが明確に異なることでそれぞれに存在意義がある、ということを実例で説明した記事です。
ジョブ理論って何?
「顧客は、ジョブを解決するためにプロダクトを雇用する」という考え方です。どんな課題を解決するか?という問いに近からず遠からずな概念です。
ジョブとは「どんな進歩を遂げたいか」であり、ジョブは「特定の状況下においてのみ」定義されます。「特定の状況下」というところが大事です。
TANPACTというプロテイン飲料
TANPACTというプロテイン飲料があります。ザバスを売ってる明治が開発していて、コンビニなどでパック飲料のコーナーに置かれています。
でも、タンパク質推しで10gって少なくて、存在意義に疑問を感じていました。インスタントで飲めるタンパク質飲料は15gが基準みたいなところがあります。しかも、明治、15gのザバス出してるし。
ともあれ、試しに飲んでみると、結構ちゃんとコーヒーの風味がします。
これは「ダイエット中という状況下に置いて、普段からカフェラテを飲んでる人が脂質制限で飲めなくなった時の代替品を探している」というジョブをピンポイントで解決しているのだと考えました。
ジョブを「進歩」と「状況」に分解
TANPACTが解決するジョブは以下と言えます。
遂げたい進歩:いつものようにカフェラテやカフェオレを飲みたい
状況:ダイエット中である(= 脂質を控えている、適量のタンパク質をとる必要がある)
状況を加味しない場合、ただの下位互換に見える
たとえば、状況を加味しない、あくまでニーズとしての「タンパク質をとりたい」というものがあったとして、このプロダクトはおそらく採用されません。
10gは少ないし(ボディメイク中って体重の1.5~2倍。女性でも100g程度とることになる。)、そんなんなら明治のザバスプロテインが15gを含有しています。大体隣り合わせに置いてあります。
特定の状況におけるジョブを解決しているから雇用される
しかし、「ダイエット中だけどカフェオレ飲みたい」に対してはおそらく雇用されます。
ちゃんとコーヒーの風味はあるし、タンパク質「も」とれると考えれば10gはイケていると言えます。これはダイエット中という状況下だからこそ効果のあるダメ押しになっているとも言えます。
そんな色眼鏡をかけると、パッケージデザインも、そもそもボディメイクに関する話は別にされていないことに気づきます。ザバスは「理想のカラダへ」とまで書かれていますが、TANPACTは「カラダにダイジ」という程度。むしろダイエッターにだけタンパク質含有量のカラーバス効果がかかるようになっているのではないでしょうか。
まとめ
ということで、自社内に競合プロダクトがあるのに存在意義があるのだろうか?と疑問のプロダクトであったTANPACTは、その競合とはまったく違うジョブを解決しているのだな、という気づきでした。
また、解決するジョブが異なることで、競合との差別化をはかるというのはこういうことなのだなという腹落ちがありました。
最後に
ダイエット中は採用されないプロダクトから脂質を抜いてタンパク質を足すと大体同じようなことできると思うので、いちダイエッターとして切実にお待ちしています🙏
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