見出し画像

ヒストリック:バントゴロスデッキ調整過程と今後のゴロスデッキの可能性

1.はじめに

こんにちは。ナヤ岡です。

8/2~8/3にアリーナ・オープンが開催されました。フォーマットはヒストリックです。結果は7-1の成績で、2,000ドルを手に入れることができました。

使用したデッキは、Jumpstartの実装を直後から愛用しているバントゴロスです。私はMTGに関するnoteの記事を読むのが好きで、自分でも書いてみたいと思っていました。バントゴロスで結果を出せたことは、そう滅多にないチャンスだと思い、今回の記事を書くことに決めました。

8/4に禁止改定があり、《荒野の再生》と《時を解す者、テフェリー》が禁止になりました。

荒野の再生

テフェリー

バントゴロスも《時を解す者、テフェリー》禁止の影響を受けますが、《死者の原野》が残っている限り、デッキは残り続けます。本記事では、バントゴロスの調整過程と、今後のゴロスデッキの可能性について書きます。禁止改定後でも役に立てるような記事を目指して書きますので、参考にして頂ければ幸いです。

2.アリーナ・オープン直前のヒストリックメタゲーム

2.1赤単ゴブリン

アリーナ・オープン約2週間前の7/16に、MTGアリーナへJumpstartが実装されました。様々なデッキが試される中、すぐに頭角を現したのは、赤単ゴブリンでした。

ゴブリン

赤単ゴブリンは、Jumpstartの恩恵を受けて、一気にトップメタに駆け上がりました。その原動力となっているのが《上流階級のゴブリン、マクサス》の存在です。

マクサス


どんなに負けてる盤面からでも、《上流階級のゴブリン、マクサス》さえ出せれば逆転の可能性があります。使用者に希望を、対戦相手に絶望をもたらすカードです。《スカークの探鉱者》からのブン回りは強烈で、最速3ターン目には《上流階級のゴブリン、マクサス》が出てきます。

また、部族デッキは横並びするため、全除去に弱い傾向があります。しかし、1枚で複数のクリーチャーを連れてくる《上流階級のゴブリン、マクサス》、速攻を与える《ゴブリンの酋長》と《ゴブリンの戦長》、それらををサーチしてくる《ゴブリンの女看守》の存在もあり、全除去を1回打ったくらいでは、止まってくれません。

回転効率のいいアグロデッキが好まれやすいというMTGアリーナランク戦プレイヤーの傾向もあってか、瞬く間にランク戦で対戦する回数が増えていきました。

2.2ティムール再生原野

アリーナ・オープン1週間前の7/26に、BO3ヒストリックのイベント「MTG Arena Zone Historic Open: MtGHistoric Subreddit Tournament #12 」が開催されました。参加者111人と、ヒストリックとしては大きな大会です。この大会の結果は、ヒストリックプレイヤーに大きな衝撃をもたらしました。

衝撃の理由は、ティムール再生原野です。本大会でティムール再生原野は優勝しました。それだけでなく、使用率と勝率でもトップとなりました。この時点でのベストデッキは、間違いなくティムール再生原野でした。

ティムール再生原野

スタンダードでも活躍中のティムール再生ですが、ヒストリックでの大きな特徴は、《死者の原野》が組み込まれている点です。

原野

《荒野の再生》と《死者の原野》はどちらも土地を伸ばすことがメリットとなるカードです。元々フラットに強かったティムール再生に《死者の原野》を加えることで、長期戦における更なる強みを手に入れました。

また、ティムール再生原野は、赤単ゴブリンに有利という点も活躍の一因となりました。前記した通り、赤単ゴブリンは全除去の返しのターンで《上流階級のゴブリン、マクサス》を出して、そのまま勝つこともあります。そんな赤単ゴブリンの爆発力を抑えられるカードが《溶岩震》です。

溶岩震

《溶岩震》はインスタントの全除去です。《上流階級のゴブリン、マクサス》でどんなカードがめくれても《溶岩震》さえ構えていれば、怖くありません。

長期戦に強く、アグロの筆頭デッキである赤単ゴブリンに強いティムール再生原野は、ヒストリック最強のデッキの風格がありました。

2.3白単オーラ

MTGアリーナで遊んでいて驚くことは、メタゲームの移り変わりが激しいことです。アリーナ・オープンの1週間前に流れていたティムール再生原野の1強という空気は、3日かからずに覆りました。ティムール再生原野の強烈なアンチデッキ、白単オーラが爆発的な勢いで環境に増えていきました。

白単オーラ


除去を《溶岩震》に頼っているティムール再生原野は、序盤に出てきた高タフネスクリーチャーを処理することが困難です。《コーの精霊の踊り手》にエンチャントを貼るシンプルなプランで、ティムール再生原野の弱点を突くことができます。

踊り手

赤単ゴブリンには、メインから採用された《静寂をもたらすもの》が刺さります。《上流階級のゴブリン、マクサス》はもちろん、《宝石の手の焼却者》をサーチしてくる《ゴブリンの女看守》にも効くため、場に出ると除去するのに手間取ります。

トップメタのティムール再生原野に強い白単オーラですが、ティムール再生原野もただやられているだけではなく、軽量火力やバウンス等で白単オーラに対抗できるよう調整をしています。さらに、白単オーラ側も《執着的探訪》やカウンターをタッチしたアゾリウスオーラという派生系が出てくるなど、目まぐるしくメタゲームが動いてきました。

まとめると、赤単ゴブリン<ティムール再生原野<白単オーラという流れで、メタゲームが動いてきました。これがアリーナ・オープン直前のメタゲームの認識です。アリーナ・オープンでもこれらのデッキが多いと想定してデッキの調整を進めました。

3.バントゴロスとは

ここからは私が使用したバントゴロスの解説になります。

バントゴロス

バントゴロスは《死者の原野》という対処されにくいフィニッシャーを採用したランプデッキです。《死者の原野》が機能し始めると、少数採用された全除去などの妨害カード以外の全てが有効牌となるため、長期戦に強いという特徴があります。前記したティムール再生原野に比べて、デッキ名にもなっている《不屈の巡礼者、ゴロス》で《死者の原野》をサーチすることもでき、より《死者の原野》というカードに特化したデッキになっています。

ゴロス

バントゴロスを選んだ理由は、メタに合わせてカード選択を変えられる柔軟性があるからです。《成長のらせん》と《探検》という2マナのマナ加速は4枚から減らすことはありませんが、他のカードは0枚〜4枚まで考えられます。バントカラー以外にもスゥルタイ、ティムールなど別の色も検討可能です。赤単ゴブリン、ティムール再生原野、白単オーラと仮想的が絞れていれば、それらに勝てる形も作れるのではないかと考えました。

3.1メイン

ここからは、個別のカード解説と合わせて、どういった流れで、今回のバントゴロスのリストが完成したのか解説します。

《成長のらせん》4枚、《探検》4枚

らせん

探検


必須枠です。減らすことはありません。

《時を解す者、テフェリー》4枚

テフェリー


最初に採用を決めたのは《時を解す者、テフェリー》です。ティムール再生原野には、その常在型能力が《荒野の再生》への抑止力となります。白単オーラには、常在型能力が《ケイラメトラの恩恵》への妨害となり、オーラを貼られたクリーチャーをバウンスする動きが効果的です。

赤単ゴブリンに対しては、そこまで有効ではありませんが、インスタントタイミングで《空の粉砕》が打てる状況になれば、《上流階級のゴブリン、マクサス》を出されても負けなくなるため、完全に腐ることはありません。仮想的2つに強く、残り1つにも完全に腐ることはないため4枚採用しています。このカードを軸に残りのカードも選択していくことにします。

《風景の変容》3枚

画像15


《時を解す者、テフェリー》は赤単ゴブリンに対して、そこまで有効ではありません。そこで、赤単ゴブリンに対して強いカードを採用したいと考えました。赤単ゴブリンの強みは全除去を打ったとしても《上流階級のゴブリン、マクサス》のめくれ次第で勝てる爆発力です。全除去も赤単ゴブリンに有効です。ただ、理想的なカードは、相手が《上流階級のゴブリン、マクサス》を出しても負けず、ターンが帰ってくれば勝てるような短期決戦用のフィニッシャーです。

そこで、採用したのが《風景の変容》です。土地8枚から《風景の変容》を打ち、《死者の原野》を2枚と、その他6種類の土地を持ってくれば、2×8=16体のゾンビトークンが湧き出ます。ライフ20の相手でも6体のブロッカーを用意できなければ殴り勝てるため、早期にゲームを終わらせることができます。

《風景の変容》のいいところは、大量のブロッカーを用意できることです。赤単ゴブリンが《上流階級のゴブリン、マクサス》を出してきても、《群衆の親分、クレンコ》と《ゴブリンの酋長》が揃わない限りは突破することは難しいでしょう。

また、前記の《時を解す者、テフェリー》と相性がいいです。本来は全除去が取られているため、ティムール再生原野には腐りますが、《時を解す者、テフェリー》さえいれば、エンド前に《風景の変容》を唱えて、ターンをもらってそのまま勝つことも可能です。

《エルフの再生者》4枚、《自然の怒りのタイタン、ウーロ》3枚

再生者

ウーロ


3マナのマナ加速は、2マナのマナ加速8枚と合わせて、キープ基準となります。そのため、これらの合計枚数を最低14枚は確保したいと考えています。今回は15枚採用しています。墓地に落ちるカードが少ないため、バントゴロスの《自然の怒りのタイタン、ウーロ》は少し使い難いですが、《風景の変容》を打つとだいたい1.5回分の脱出コストを確保できるため、《風景の変容》を採用することで、少し使い勝手が向上しています。

《不屈の巡礼者、ゴロス》4枚

ゴロス

このデッキのキーカードである《死者の原野》をサーチできるカードです。《死者の原野》以外にも、状況に応じて、《ボジューカの沼》や《爆発域》をサーチできるため、相手のデッキや盤面などを選ばず活躍できる対応力が魅力です。

ただ、このデッキはマナベースの安定性を重視していて、《山》と《沼》を採用していないため、起動型能力はすぐに使えないことが多いです。(マナベースについては3.2マナベースで後記)

4マナ域のマナ加速をほぼ採用していないこともあり、《不屈の巡礼者、ゴロス》を減らすとマナ加速の枚数が足りないと感じたため、4枚採用です。

《空の粉砕》2枚

画像19

4マナ全体除去です。赤単ゴブリンには何度も打ちたくなります。しかし、白単オーラには《無私の救助犬》や《ケイラメトラの恩恵》などで躱されるため打てるタイミングが限られ、ティムール再生にはほぼ役に立ちません。
赤単ゴブリン相手には、マナ加速からの《風景の変容》というプランを取っているため、採用枚数を2枚まで抑えました。

《移動経路》1枚

移動経路


このデッキにおいて最も弱いカードです。マナベースの安定のため《山》と《沼》を採用していないため、《不屈の巡礼者、ゴロス》の起動型能力用のマナ確保にも役立ちません。4マナのマナ加速だと《ムル・ダヤの巫女》の方が強力だと思いますが、《ムル・ダヤの巫女》が環境に合っていないと思い、《移動経路》を採用しています。(《ムル・ダヤの巫女》については3.4未採用カードで解説します。)

0枚にして、4枚目の《自然の怒りのタイタン、ウーロ》を採用することも考えましたが、手札から追加で土地を出すカードばかりかさばるのも使い辛いなと思い、1枚だけ採用しました。

3.2マナベース

土地は31枚採用しています。初めは30枚で回していましたが、色マナが足りていないことと、入れたい無色土地があることを考慮して31枚目の土地を入れました。32枚目の土地も入る可能性はあります。

色マナカウントは緑16、青16、白15、黒4、赤3です。(《寓話の小道》は3色、《興隆する木立》は5色換算のため、実際より盛っています。)土地が31枚も入っているにも関わらずギリギリの枚数です。これは《死者の原野》誘発のため、極力土地を散らしていることと、効果付きの土地を6枚(《死者の原野》4枚、《爆発域》1枚、《ボジューカの沼》1枚)入れていることに起因します。

色マナカウントもギリギリ、効果付きの土地も減らしたくないため、《山》と《沼》は不採用になっています。また、一般的なバントゴロスは、色マナが足りていないリストが多いため、適当にコピーして使うことはおすすめしません。

3.3サイドボード

サイドボードも赤単ゴブリン、ティムール再生原野、白単オーラ用のサイドプランを考えたの後に、余った枠で他のデッキに対するサイドプランを考えています。

3.3.1対ティムール再生原野

in : 3《ドビンの拒否権》、2《厚かましい借り手》、2《絶え間ない飢餓、ウラモグ》

out : 1《自然の怒りのタイタン、ウーロ》、3《風景の変容》、2《空の粉砕》、1《移動経路》

キーカードは《時を解す者、テフェリー》です。メインはあまりカウンターが入っていない、もしくは少ないことが多いため、早いターンに《時を解す者、テフェリー》を出していきます。テフェリーの対処に戸惑っているうちに、土地を8枚揃えて《風景の変容》を打つことができれば勝利です。

サイド後も《時を解す者、テフェリー》を巡る攻防になります。相手は《神秘の論争》をサイドインして来ることが多いので、《時を解す者、テフェリー》は3マナ以上払える状態で出します。

《絶え間ない飢餓、ウラモグ》

ウラモグ


サイド後のフィニッシャーです。《風景の変容》より状況を選ばなくなっています。フルタップで出す場合、相手のターンに《荒野の再生》→《発展+発破》と動かれて負けないかを考慮します。

《厚かましい借り手》

借り手

《サメ台風》のトークン用です。《些細な盗み》で1体を処理して、《厚かましい借り手》で2体目をチャンプブロックすることを想定してます。安易に殴りには行けません。

《ドビンの拒否権》

拒否権

頼れる確定カウンターです。こちらの脅威を出すために構えるより、相手の脅威を通さないことに使うことが多いです。枚数は少ないため、気軽に打てないです。《時を解す者、テフェリー》を除去するために打たれた《発展+発破》や《溶岩震》などに備えて、ギリギリまで使用を我慢しましょう。

3.3.2対白単オーラ

in : 2《不可解な終焉》、2《厚かましい借り手》、2《空の粉砕》、2《精霊龍、ウギン》

out : 3《自然の怒りのタイタン、ウーロ》、3《風景の変容》、1《移動経路》、1《不屈の巡礼者、ゴロス》

このマッチもキーカードは《時を解す者、テフェリー》です。《時を解す者、テフェリー》を維持できれば、除去のタイミングを自分で決めることができ、ゲームの主導権を握れます。《時を解す者、テフェリー》を唱えた際にスタックで《ケイラメトラの恩恵》を打たれると、バウンスの対象に取れなくなり、概ね返しのターンで、落とされます。とはいえ、躱すことは難しいので、どんどん《ケイラメトラの恩恵》を打たせて、フォグとして使っていきます。

サイド後は、除去とフィニッシャーが追加され、《時を解す者、テフェリー》への依存度が減ります。除去で時間を稼ぎ、《精霊龍、ウギン》にたどり着けば勝ちです。

《不可解な終焉》

終焉

追加の除去です。追放除去のため、破壊不能では対処されないところが評価できます。《精霊龍、ウギン》の追放に巻き込まれて、トークンが出てしまうのは、相性悪い気もしますが、序盤の除去は変えが効かないため、目を瞑っています。

《厚かましい借り手》

借り手

《些細な盗み》もバウンスのため、破壊不能では対処されません。《厚かましい借り手》本体が殴る展開は少ないです。《天使の贈り物》で飛行を付けて殴られた時に、チャンプブロックするのが仕事です。

《空の粉砕》

画像26

追加の全体除去です。こちらはプロテクションや呪禁で対処されません。対象方法の異なる除去を使い分けることで、相手に楽をさせないようにします。

《精霊龍、ウギン》

ウギン

白単オーラのサイド後のキーカードです。《精霊龍、ウギン》の制圧力は、文字通り出せば勝つほど圧倒的なため、如何に《精霊龍、ウギン》にたどり着くまで生き延びるのか考えるゲームになります。

3.3.3対赤単ゴブリン

in : 2《不可解な終焉》、2《空の粉砕》、1《精霊龍、ウギン》

out : 1《自然の怒りのタイタン、ウーロ》、2《時を解す者、テフェリー》、1《移動経路》、1《ボジューカの沼》

赤単ゴブリンでのキーカードは《風景の変容》です。土地が8枚並んだ状態から打って、ターンが帰ってくれば勝てます。緊急避難として土地が7枚からでも打つことがあります。

相手のキーカードは《上流階級のゴブリン、マクサス》です。《スカークの探鉱者》や《ゴブリンの戦長》で《上流階級のゴブリン、マクサス》が早出しされそうな場合は、全体除去を打って《上流階級のゴブリン、マクサス》が出るターンを少しでも遅らせます。

サイド後もやることに違いはありません。相手は《ゴブリンの廃墟飛ばし》を入れてきます。実は《死者の原野》より色マナ潰される方が嫌な状況は多いです。《ゴブリンの廃墟飛ばし》が出されそうな状況では、潰されたくない土地を最後まで取っておくようにします。

《不可解な終焉》

終焉

除去です。可能なら《ゴブリンの酋長》や《ゴブリンの戦長》を除去したいです。

《空の粉砕》

画像29

追加の全体除去です。《上流階級のゴブリン、マクサス》は出て即負けの場合もあるため、出された返しのターンのことを考えて温存するよりは2、3体クリーチャーが並んだ段階で打つ方がいいと思います。

《精霊龍、ウギン》

ウギン

追加の全体除去です。赤単ゴブリンは速攻クリーチャーがいるため、白単オーラほど出しても勝ちに繋がりません。重い割にただの全体除去で終わることもあるため、入れる枚数を1枚に抑えています。

残り2枚枠があったのでケシスを意識して、《魂標ランタン》を採用しました。

ランタン

アリーナ・オープンの初日をケシスで抜けた方をTwitterでよく見かけたため、BO3でも使う人が増えるかもしれないなと思い少し意識しました。ただ、ケシスとの相性は悪いので、できれば対戦したくないです。

3.4未採用カード

《ムル・ダヤの巫女》

ムルダヤ

上振れ下振れが激しいですが、上振れした時のリターンがとんでもないカードです。特に同型戦ではこのカードと《絶え間ない飢餓、ウラモグ》の合計枚数が勝率に直結します。今回は同型は少ないと予想して採用してませんが、常に採用を検討できるカードです。

《帰還した王、ケンリス》

ケンリス

土地を伸ばすこともなく、フィニッシャーとして単体で強いこともない、帯に短し襷に長しという使用感です。このカードを活かすには、《山》を入れてゾンビトークンに速攻を与えることが大切だと思いますが、それがマナベースの負担になるのもよくないと思いました。

《一瞬》

画像34

《厚かましい借り手》との選択になります。キッカー込みだと4マナと重い点、バウンスを入れたい相手には、《厚かましい借り手》でチャンプブロックする展開があることを考慮して、《厚かましい借り手》を採用しました。

《霊気の疾風》

画像35


ティムール再生原野に対して入れても、1ターン稼いだだけで終わってしまうことが多いと思いました。赤単ゴブリンには、かなり有効です。《上流階級のゴブリン、マクサス》の早出しのために、リソースを使った場合、数ターン稼げることがあります。現状のサイドプランでも赤単ゴブリンに勝てていたため、今回は採用を見送りました。

《神秘の論争》

画像36

ヒストリックには、《探検》と《成長のらせん》という強力なマナ加速を使ったデッキが多く、他のフォーマットほど使い勝手が良くないと感じました。

《変容するケラトプス》

ケラトプス

青単に勝てないため、青単専用で一時期採用してましたが、数枚入れても相性が改善できない上に、そもそも5マナに到達しても緑マナ16枚では緑のトリプルシンボルが払えないことに気がついて採用を諦めました。青単は諦めることをおすすめします。どうしても抵抗したい場合は、《神秘の論争》と《クロールの銛撃ち》をたくさん採用しましょう。

4.大会結果

大会の結果は、以下の通りです。
R1 ティムール再生原野〇〇
R2 赤単ゴブリン〇〇
R3 赤単ゴブリン×〇〇
R4 バント原野×〇〇
R5 黒単〇〇
R6 赤単バーン〇〇
R7 赤単××
R8 白単オーラ〇〇

8戦中4戦が想定したデッキで、全て勝つことができました。さらに相性が悪いケシス、青単と当たっていないのは幸運でした。

R7の赤単は、ゴブリンでもバーンでもなく《遁走する蒸気族》が入ったスタンダードの赤単に近い構成のデッキでした。G1は土地が止まり、《空の粉砕》を打つターンが遅れ、《死者の原野》が誘発する頃には、火力を本体に打ち込まれて削り切られました。G2は、ワンマリ後《成長のらせん》、《自然の怒りのタイタン、ウーロ》、《不屈の巡礼者、ゴロス》、土地3枚と悪くないバントをキープしました。相手は1、2ターン目をパスして、やったか!と思っていると、3ターン目《暴れ回るフェロキドン》、4ターン目《暴れ回るフェロキドン》でぼこぼこにされました。相手のサイドプランにしてやられました。

5.今後のゴロスデッキの可能性

ここからは新環境について考えていきます。

新環境で活躍するデッキの筆頭は赤単ゴブリンです。赤単ゴブリンは目の上のたんこぶだったティムール再生原野がいなくなったことにより、立ち位置がよくなりました。新環境では今まで以上に暴れ回ることが考えられる。

また、白単オーラも活躍が予想されます。仮想敵のティムール再生原野がいなくなりましたが、同時に苦手だった《時を解す者、テフェリー》もいなくなりました。増えることが予想される赤単ゴブリンにも相性は悪くなく、引き続き活躍が予想されます。

ここまで活躍を予想しているデッキは、どちらもクリーチャーが主体のデッキです。そうなるとラクドスサクリファイスにも、チャンスがあるかもしれません。ラクドスサクリファイスは、ティムール再生原野が出てくるまでは、赤単ゴブリンに強いデッキとして環境にいました。その後、ティムール再生原野の数が増えると徐々にその数を減らしていきましたが、天敵が消えた今こそ再浮上してくるのでないかと思います。

まとめると、新環境は赤単ゴブリンと白オーラ、それらに強いラクドスサクリファイスが活躍するのではないかと予想します。

次にバントゴロスですが、《時を解す者、テフェリー》が禁止されてしまったため、バントにする理由が薄いと思います。そこで、今回はスゥルタイゴロスとティムールゴロスを紹介します。

5.1スゥルタイゴロス

スゥルタイ原野

想定した3デッキの内、白単オーラとラクドスサクリファイスには《精霊龍、ウギン》がゴールに想定できるため、3枚採用しています。以前よりは同系戦が増えることも想定して《ムル・ダヤの巫女》も採用しました。メインは比較的よくある構成だと思います。

メインには黒の恩恵は特にありませんが、サイドボードは黒の利点があります。《魔女の復讐》は赤単ゴブリン用の3マナで打てる全体除去です。3マナである利点は大きく、マナ加速を打ちながら全体除去を打つ動きは強力です。

魔女の復讐

《絶滅の契機》は白単オーラ用のカードです。対象を取らない追放除去のため、白単オーラでは回避する方法はありません。タフネスが上がると《衰滅》で落とせなくなってしまうため、4枚取って《絶滅の契機》で除去していくプランです。

絶滅の契機

黒いカードではありませんが、《白金の天使》も白単オーラに強いカードです。一般的な白単オーラのリストでは、《白金の天使》を除去する手段がないため、場に出ればいずれ相手のライブラリーが無くなり勝ちます。白単オーラ側が、対策カードを入れてくるようであれば別のカードに変える予定です。

白金の天使

5.2ティムールゴロス

ティムール原野

ティムールゴロスの特徴は《溶岩震》です。ティムール再生原野の紹介でも触れましたが、《溶岩震》は赤単ゴブリンに対して強いカードです。

溶岩震

赤単ゴブリンには相性がいいですが、《溶岩震》がほぼ効かない白単オーラとのメインの相性は悪いです。サイド後は3枚入れた《白金の天使》で勝つことを想定しているため、このプランが通用しないと厳しいかなと思います。

6.最後に

禁止改定前のヒストリックというとんでもなく需要のない上に、とても長い記事を読んでくれて、ありがとうございます。今後も記事を書いていこうと思うので、感想があれば、Twitterで教えて下さい。とても喜びます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?