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マインドフルネスは続けないと効果がないのか?知っておきたい研究報告

マインドフルネスで一番難しいのは「瞑想」でも「ボディスキャン」でもなく、「続けること」だそうです。

マインドフルネスに限らず、すぐに効果が出ないならやりたくない、やろうと思えない、ということはありますよね。また、最初はやる気満々だったとしても、だんだん面倒になって、言い訳してしまってやらなくなったりすることもある。
マインドフルネスの効果がまだよく体感できていない方が、どうやったらマインドフルネスを始められて、続けられるのか。マインドフルネス講師としても悩むところです。

そこで、マインドフルネスを続けることの裏付け、ヒントになりそうな論文を紹介します。

なお、マインドフルネスといってもたくさんの方法がありますし、今回ご紹介する論文は2万報以上ともいわれる論文のなかから選んだ、限られたものであることをご理解いただけたらと思います。

論文1:8週間であいまいさをポジティブに受け止められるようになっていく

論文内容の概要

マインドフルネスベースストレス低減(MBSR)の短期および長期のトレーニングを実施してもらった人が、あいまいな顔の表情についてどのような評価を下すか調べたものです。

MBSRを始めて、1週間から8週間後にかけて、あいまいな表情に対してより肯定的にとらえるようになった。という結果が報告されています。
また、短期間では効果がみられなかったそうです。

あいまいなことを受け入れる大切さ

白黒思考、0か100か思考、怒りと喜びといった二項対立の考え方は、すっきりとわかりやすいですが、往々にして、世界はあいまいなもの。どっちなんだよ!と白黒つけようとすると、極端に走ったり、ストレスを抱えたり、人間関係でトラブルを抱えたりする可能性もあります。
あいまいさを受け入れる余裕、つまり「あいまいさ耐性」というのは心理学用語で、”Tolerance of Ambiguity”とされています。
60年以上前は、あいまいさ耐性が低い人は心理的に弱い人だ、とされていたようですが、現在は、そうではありません。あいまいさ耐性は不確実な環境、時代、考え、すべてに耐え、そのなかでも最適な判断をしようと努めること、あいまいなことはあいまいなままにしておいて心の健康を保つなど、バランスを取るのに必要な考えとされています。

VUCAの時代

昨今、VUCAの時代と言われるようになりました。
もともとVUCAというのは1987年に、
「リーダーシップに関する理論」
で使われたのが始まりと言われています。

Volatility(変動性)
Uncertainty(不確実性)
Complexity(複雑性)
Ambiguity(あいまい性)

アメリカで軍事用語として取り入れられ、昨今よく聞くようになりました。ここ2年で、目まぐるしく世界が変わってきました。「あいまいさ」という考えもますます大切になってくると思います。

この論文では、マインドフルネスストレス低減であいまいさを肯定的にとらえられるようになるけれど、短期間ではあまり効果がみられなかったと報告しています。
長期にマインドフルネス続けていくことでこそ、効果が得られるというひとつの裏付けになると思います。

Harp, N. R., Freeman, J. B., & Neta, M. (2022). Mindfulness-based stress reduction triggers a long-term shift toward more positive appraisals of emotional ambiguity. Journal of experimental psychology. General, 10.1037/xge0001173. Advance online publication. https://doi.org/10.1037/xge0001173

論文2:低用量マインドフルベースストレス低減法の効果

論文内容の概要

もう1つの論文は、普通のマインドフルベースストレス低減(MBSR)は大変だから、少し時間数を減らしたらどうか?という論文です。
8週間で合計10時間
8週間で合計8時間
6週間で合計8時間
これらのプログラムでも一定の効果がみられたので、今後は人数を増やして検証したい、と論文は締めくくっています。

通常のMBSRとの比較

一般的なMBSRのプログラムを
おさらいしてみます。

8週間で合計26時間以上、
1週間に1回2.5時間のセッション
自主トレーニング
6〜7週目の間に
1日終日のリトリートプログラム

もちろん、全部やってこそ、効果があるんだよ!とおっしゃるかたもいらっしゃると思いますし、実際MBSRを学んだので、確かにそうだな、と思います。否定いたしません。

継続の力

低用量MBSRでは、通常のMBSRの26時間以上の合計時間を10時間や8時間、つまり半分以下に圧縮しています。
でも、週数は半分以下になっていない。6~8週間なんですね。
つまり時間は短くても継続することが大切という考えかたに基づいて、低用量MBSRプログラムが組まれていることが分かります。

まずは続けること。
これを伝えられる研究成果だと思いますので、今後が楽しみです。

Xia, T., Lopes, S., Chen, L., Roth, R., Zinzow, H., Jones, K., Zhang, L., Shi, L., & Jindal, M. (2022). A feasibility study on low-dose mindfulness-based stress reduction intervention among prediabetes and diabetes patients. Complementary therapies in medicine, 65, 102810. Advance online publication. https://doi.org/10.1016/j.ctim.2022.102810

結論

マインドフルネスは続けることが大切です。
理論で納得する方、実感で納得するかた、仕組みで続けられる方、
いろいろなかたがいらっしゃいます。
それぞれに、それぞれのやり方を提示できるマインドフルネス講師のかたが増えることを祈ります。




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