五輪とシュレッダー。

突然だけど、右手が傷だらけになった。

理由は『自業自得』、原因は『確認不足』『思い込み』である。
ここまで書いて理由と原因の違いについてふと考えた。
たぶん、あっていると思う。間違えてるかもしれないけど。

私は現在パートで事務作業をしている。
事務作業といえば、のシュレッダー作業である。個人情報の入ってる書類を紙吹雪にかえるあの機械と格闘したことのある女子は多いと思う。
今まさしく、オリンピック関係某元首相の女性蔑視発言でSNSもマスコミも大騒ぎだがあえて、いう。

シュレッダーをかけるというのはなぜか大概女子のする作業だ。
特に日本の会社においては。
怪我をするという話が後を絶たないというのに。
おそらく、深く考えなくても黙って大して力もいらない
単純作業だからときっと某オジサマ達は思っているだろう。
会議で喋りだしたら時間がかかるから(嫌味)
でも、考えてもみてほしい。個人情報はじめ機密情報をシュレッダーをかけながら抜き出すという危険性を世のおじさま方は感じなかったのかしら。もちろん、そんな危険を冒してまで得するようなことは何もないということを女子達のほうがよく知っているからだろうけど。

とはいえ、その日私がシュレッダーをかけていたのはそういう理由ではないし、そもそも私が現在いるオフィスは全員お母ちゃん。
「あ、ちょっとこれシュレッダーにかけてといてくれる?」とお願いできる女の子がいないからである。いや、事務作業で採用されている時点でそれ私の仕事や。女子というには憚れる年齢ではあるが。

長々と言い訳したけれどそういうわけで会社勤めの長かった私のシュレッダー歴も長いのだが
シュレッダーというのは機械なので当然ながらピンキリで紙吹雪になったあと保管される箱の許容量も違う。シュレッダーをする人が大概「(・д・)チッ」と思うであろう「オイ、箱の中イッパイでっせ」という機械からの文句の仕方も違う。

今回私が対峙したのは非常におとなしい小さな子だった。
おとなしく紙を吸い込みガタガタを音をたてて裁断していた。時々止まるのだが、スイッチを入れなおせばまたおとなしく動き出す。

でも、気づくべきだった。何故時々とまるのか。

しばらくしてからハタとそういえば箱の大きさの割にエラーメッセージが出ないな‥‥と気づき箱の中が見える窓の中を見れば紙吹雪で満杯になっているではないか。

やべえ、と思って中身を捨てようと引き出しを開け‥‥開かない。

中身が詰まりすぎて開かないというやつだ。
ガンと止まって一歩も動かないということもなく、
文句(エラーメッセージ)をいうこともなく、

がびーーーーーーーん。

lpwががh(←頭の中パニック)‥‥壊した!!

今まで使っていたことのあるシュレッダーはいっぱいになると動かない。
赤いランプと共に「ボックスが満杯です」のエラーが出る。
それはあくまで会社に置いてある大型のタイプだからだ。
今私が使っているのは家庭用にも使えるやつ。
ルンバのように、文句も言わず黙って飲み込んでまさに今窒息しようと
している。

ということで必死に引き出しをこじ開けてみると3㎝ほど開いた!
よし搔き出せ!
とばかりに必死に手を突っ込み書き出す。これを地道にやればいつかは引き出しが開けられるかも! 

約30分以上格闘の末、最後はお手伝いをしてくれる人もいて
何とか開いた!ものすごい達成感\(^o^)/
と共に何か手に違和感が。

3㎝のスキマに必死に突っ込んだ右手の甲や手首が擦り切れて傷まみれ。
やってるときは必死だったので全然気づかなかった‥‥。

そして、ハタと気づく。
もしかしたら、五輪組織委員会のあの方も今、まさにこんな心境なのではないかしら。

五輪なのだ。日本のムラ社会の中だけの世界じゃないのに
そこのトップという立場なのに、感覚が日本のムラ社会のままだった。
私がまるで昔の会社で使っていたシュレッダーと同じ感覚で使っていた
ように。

女性とは、と十把ひとからげで考えた思い込み。
あれ、マズいこと言ったかな、と気づいたあとの
「周りは引き止めるし何とかなるだろう」という読みの甘さ。
まさか、こんなに袋叩きにあうとは思いもしなかっただろう。

壊れたら
機械(女性)を代えればいいって話じゃない。
ボランティアをまた募集すればいいってもんじゃない。

大会まで半年というのにこの冷めた空気はどうなるんだろう。


右手の傷よりずっと深い見えない傷を負って今、何を考えているのかな。

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