【短話】九州で釣り初め【夜会⑤】
北部九州の自宅に帰ったのが6月下旬。其からの一月は久しぶりの自宅と家族との穏やかな時間を満喫した。有り得ないぐらい穏やかな時間が流れる。
それでも次の東部九州での仕事に備えての活動も始まる。府任地での生活の為アパートを探し契約、一人暮らしの準備など。ソコソコ動かざる得ないのだが、単身での引っ越しは関東の荷物があり、細々下物を購入する程度で済んだのは幸いだ。
社会人生活で最も穏やかな一月が終わり新たな生活が始まる。また、単身での生活だ。しかし、今回は自宅から近い(とは言え高速で2時間と少し)ので自家用車を持ち込めた。
8月は府任地で慣れる為に使い、その合間の時間で新たな趣味を初める。フィルムカメラや読書 、それに動画撮影など興味があったが今まで手が出せなかった諸々だ。
そんな中、引っ越しは道具の整理中に釣竿が出てくる。
関東で買った道具だ。夏は余りメバルは釣れないと聞くが、海で日の出を待つまでの時間を潰すのに丁度良いかな?早速準備を初める、釣り針やワーム等少ないものを補充しようと釣具屋を探すとなんと!通勤路途中に在るではないか!
仕事帰りに最寄りの釣具屋を覗くと、こじんまりとした店だが品揃えは良いようだ。初めてみる釣具も沢山有る、何となくで選んだワームと1.0gを中心に3種類程ジグヘットを購入した。何となく道具が揃うとソワソワしてくる、今日は時間もあるし挑戦してみるか?
そのままの足で大きな埠頭に行く此処はこの辺でも有名な釣りスポットだ。埠頭には車で入れ釣り場に横付けできる。
ネットで釣り場情報を検索しながらタバコを一服する。海風が気持ち良い。夕方の日暮れポツポツと釣り人が入れ替わる。ネットの情報では北側メインの釣り場の様だが南側も釣りが出来る様だ。
人の多い北側を避け南側へ、人は疎らだ。
人が少なく助かる。初心者の練習で他者に迷惑を掛ける恐れが少なくて済む。ホットしながら車から釣竿を下ろし準備を初める。久々の釣でメインラインとリーダーの結束が上手く行かない、電車結びを2〜3度繰り返しやっとこ結べる。今度はリーダーに1gのジグヘットを取り付けるのだが上手く行かない、クリンチノットを試すが釣り針で指を刺す 、結べたと思い試しに強く引くとほどける・・・不器用で嫌になる・・・
悪戦苦闘しながら何とか結べると後はワームをセットするだけだ!
真っ直ぐ付けられない・・・此処で新品のワームを2つ消費する。勿体ない・・・不器用すぎて涙が出そうだ。3っつめで何とか調子が分かると準備完了だ。
辺りを見渡すと他の釣り人とは十分距離が離れている10メートルは優に越えている。風は南風微風なので概ね正面から吹いている。19時前だが十分明るいので投げた先はまだ見える。
内心上手く出来るとは思っていないがドキドキする、不恰好過ぎて笑われるのはやっぱり嫌だ・・・
まぁ、ドが付く素人なので仕方ない。えいやとキャストしてみる。真っ直ぐ投げたつもりが左側へと・・・コッチに狙ったのですよーーーっという振りをしながらゆっくりリールを巻く。次にキャストしてみるすると右側へ・・むむ!狙った方へ飛ばない!!
体の向きか足の向きか?ボーリングでボールを送りたい方へ足を向けると良いと昔テレビで観たぞ等と思い出しながら調整してみる。
キャスト!ヒュっと竿が鳴り今度は思った方へ・・・10メートル位先でチャンポンと・・・
んん?こんなもんか?いや、最も飛ばせる気がする。
来間の影に隠れタバコ休憩する振りをしながら動画サイトで検索。短い釣り動画を観ながらキャスト方法を確認する。
キャスト!今度は距離が出たが狙った向きではない
キャスト!ライナーで足元にドボン!赤面
キャスト!キャスト!キャスト!・・・タバコ休憩&動画!そしてキャスト!
そうこうするウチに辺りは真っ暗になり、キャストしても何処に落ちたか分からなくなった。ライトも無いし帰るか。程よく疲れが右肩を重くする、
こうして九州での釣り初めは坊主で始まった。アタリすら無かった。
帰り道気が付いたのだが、
「あれ?今日は只のキャスト練習しかしてなくね?」
車内では平沢進のルクトゥンオアダイと失笑が響いていた。
たのしいは正義!この言葉を胸に楽しめるコンテンツで在りたいとおもいます。(*´ー`*)