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写真を読みたい

「写真を批評するだけでうまくなってりゃ評論家はみんなプロ並みのはず」みたいなタイトルの記事を読んだ。タイトルずばりの論旨で、「写真を見て批評することは、上達に関係ない」というもの。色々無理があると感じたので、書く。

他人の作品を批評的に読む(けなす行為とは別の問題なので置いておく)には、一定の撮影技量が必要だ。

光質を見て光源や当て方を理解するとか、背景の流れ具合でシャッター速度、ストロボの強さ、絞りを判別するとか、ある程度トライアル&エラーを繰り返して経験を積んでいないと不可能だろう。そのレベルに至っていなければまともな批評はできない。

「批評ではうまくならない論」には、「因数分解が社会で役に立たないから勉強しない」と駄々をこねる子供のような幼稚さを感じる。

私は、他人の作品に接するとき、「撮影と表現の意図」→「被写体、構図、光源・光線、機材」を念頭に拝見するようにしている。自分の撮影のバリエーションを増やす近道だからだ。

写真作品には、撮影者のセンスに加えて「機械と光の物理的なはたらき」が必ず介在する。好きだと思った写真から、撮影者の意図と、作品を構成する要素を読み解いて、自分の脳内の引き出しに整理する。自分の撮影にあたって、引き出しから再現を試みれば、自分にできることがひとつ増える。この繰り返しで、幅を広げている。

常に求めに応じられる撮影者になるのが理想だ。だから、たくさんの写真を読みたい。

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